重賞ウィナーレポート

2025年10月05日 毎日王冠 G2

2025年10月05日 東京競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レーベンスティール

プロフィール

生年月日
2020年03月08日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:13戦6勝
総収得賞金
263,544,000円
リアルスティール
母 (母父)
トウカイライフ  by  トウカイテイオー
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
広富牧場 (門別)
調教師
田中 博康
騎手
津村 明秀

 天皇賞(秋)(G1)やマイルChS(G1)に向けた重要な前哨戦として位置付けられている毎日王冠 (G2)は、好位を進んだ津村明秀騎手騎乗の5番人気レーベンスティールが、最後はゴール前で測ったように捉えて優勝。自身にとって4つ目の重賞タイトルを、コースレコードに0.1秒差と迫る1分44秒0(良)で記録した。管理する田中博康調教師にとっては4月のアンタレスS (G3)優勝馬ミッキーファイトに続くJRA重賞勝利で通算12勝目。津村明秀騎手にとっては8月の新潟2歳S (G3)リアライズシリウスに続くJRA重賞勝利で通算21勝目となった。

 レーベンスティールの生まれ故郷は日高町の広富牧場。1973年(昭和48年)に、現在代表を務める高橋裕子さんの亡夫の修さんによって牧場の歴史がスタートし、現在は長女の高橋三千代さんを中心に数名のスタッフで丈夫で強い馬づくりに励んでいる。これまで、1988年の小倉3歳S(G3)優勝馬ダンデイアポロや2016年のクローバー賞に勝ち札幌2歳S (G3)2着ブラックオニキス、2012年の九州ダービー 栄城賞など重賞10勝エスワンプリンスなどを送りだしている。

 この日、高橋三千代さんは高橋裕子代表と牧場スタッフとともに東京競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会う事が出来た。

 「久しぶりに会ったレーベンスティールは、ひと言でいえば、大人になったなぁと感じました。良い意味で若々しさが抜けて穏やかな肉質になり、馬自身が周りを見ることが出来るようになってきたと思いました。それも厩舎の方々が、精神面も含めて馬を理解し、能力を発揮できるように導いてくださったおかげだと思います」と喜びを表現した。

 パドックでは、完歩の大きなレーベンスティールのリズムに合わせるように大外を周り、必要以上に馬を刺激しないように隊列の最後方を進んだ。それは、ややもすると気持ちが入りすぎてしまうレーベンスティールを落ち着かせるための策だったが「それだけではなく、パドックを出る時、馬場入りの際、そして返し馬に入ってからも気合が入りすぎないように色々と工夫をして下さったおかげで、落ち着いた状態でゲートに入ることが出来たと思います」と厩舎スタッフ、手綱を取った津村明秀騎手に対しても感謝の言葉を重ねた。そして、さらに高橋三千代さんの心を打ったのは、高齢の高橋裕子代表が表彰台に立った際、安全面に配慮したJRA職員のサポートと、オーナーであるキャロットファームの心遣いだったという。「感謝という言葉だけでは表現できないほど嬉しかったです」と、そのシーンを振り返った。

 「母のトウカイライフは、良い意味でも悪い意味でもトウカイテイオー産駒らしい馬で、レーベンスティールもそういうところを受け継いだ馬でした。すらっと背が高く、やや薄手の馬体で、成長もゆっくり目。牧場としては大切にしている血統なのですが、トレーニングを進めると難しいところが出てくるので、色々と苦労を掛けていると思います。でも、そう言った〝今〟があるのも、母トウカイライフやその母ファヴォリを牧場に戻していただいたオーナーがいたからだと思っています。もう私たちの手を離れてしまっているレーベンスティールに対しては応援する事しか出来ませんが、関係するすべての方々への感謝を忘れず、これからの私たちの馬に期待して下っている方々のためにも、しっかりと日々馬と向き合っていきたいと思っています」と第2、第3のレーベンスティール生産に向けて、前を向いている。