重賞ウィナーレポート

2025年09月28日 スプリンターズS G1

2025年09月28日 中山競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ウインカーネリアン

プロフィール

生年月日
2017年04月16日 08歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:30戦9勝
総収得賞金
469,992,000円
スクリーンヒーロー
母 (母父)
コスモクリスタル  by  マイネルラヴ(USA)
馬主
(株) ウイン
生産者
コスモヴューファーム (新冠)
調教師
鹿戸 雄一
騎手
三浦 皇成

 秋のG1シリーズ開幕を告げるスプリンターズS (G1)は、連覇を狙うルガルや春秋スプリント王を目指すサトノレーヴ、一昨年の優勝馬ママコチャに加えて、2023年香港スプリント(G1)の覇者香港からラッキースワイネスなどが参戦する豪華メンバーで行われ、逃げたジューンブレアを追いかけるように2番手を進んだ三浦皇成騎手騎乗の11番人気ウインカーネリアンが1分6秒9(良)で先頭ゴールイン。7度目の挑戦でJRA G1ウィナーの仲間入りを果たした。管理する鹿戸雄一調教師にとっては2021年の有馬記念 (G1)優勝馬エフフォーリア以来のG1勝利で、通算5勝目(JRA重賞16勝目)、三浦皇成騎手にとっては127回目のG1挑戦で嬉しい初勝利(重賞23勝目)となった。

 ウインカーネリアンの生まれ故郷は新冠町のコスモヴューファーム。1996年に岡田繁幸氏が創設したオーエイチファームを前身とする牧場で1999年に社名変更。現在は新冠町に本場ほか5つの分場を使って年間約40頭を生産。育成、調教、そして休養までを行っている総合牧場だ。その歴史の中でウインブライト(香港C(G1)、香港Qエリザベス二世C(G1))やウインマリリン(香港ヴァーズ(G1))などの活躍馬を送ってきたが、国内G1競走は67回目の挑戦で嬉しい初勝利となった。

 競馬場で歓喜の瞬間を迎えた岡田義広代表は「もちろん嬉しい事は嬉しいのですが、ほっとしたという感情と、皐月賞 (G1)の4着馬が8歳秋に大外枠の不利をはねのけてスプリンターズS (G1)に勝った事に驚きと感謝、そして自分を信じてついてきてくれたスタッフに対して少しだけ恩返しが出来たかなという思いが複雑に絡み合っています」と表現し「挑戦しなければ勝ちも負けもない。これまで、諦めずに積み上げてきたことが実を結んだのだと思います」と話してくれた。

 振り返れば、ウインカーネリアンが歩んできた道のりは、試行錯誤の連続だった。4歳2月に3勝クラス特別を突破したものの同年春に蹄葉炎を発症。1年近くの休養を余儀なくされた。復帰後、重賞初制覇を含む3連勝でサマーマイルチャンピオンに輝いたもののマイルChS(G1)で立ち上がりゲート再審査。ゲート試験には合格したものの、更なる活躍を期待し、しっかりとゲート我慢させることを覚えさせる意味を含めての海外遠征。そしてスプリント路線への転向。雨が苦手なウインカーネリアンのために中東遠征も行った。それらはすべてウインカーネリアンの特性を伸ばそうという試みで、そういったすべてが布石となってG1制覇につながった。

 祖母クリスチャンネームは英国産競走馬として輸入され、函館3歳S(G3)3着。その後、繁殖牝馬として岡田繁幸氏がトレードで手にしていた縁もあり、日高町の荒井ファームで産声をあげた「クリスチャンネーム2006」ことコスモクリスタルをサマーセールで購入している。馬はその期待に応え、4勝を挙げてコスモヴューファームで繁殖入り。そのコスモクリスタルが6年目にして初めて産んだ牡馬がウインカーネリアンだ。「母の俊敏さとスクリーンヒーローの柔らかさを併せ持った馬で、生まれたときから評価の高い馬でした」と当時を振り返ってくれた。

 「これまでやってきたことが間違いではなかったことが嬉しい。これからも丈夫な馬づくりを目標に、更なる高みを目指します」と気を引き締めている。