重賞ウィナーレポート

2025年09月13日 チャレンジC G3

2025年09月13日 阪神競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:オールナット

プロフィール

生年月日
2021年02月17日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:12戦5勝
総収得賞金
105,236,000円
サトノダイヤモンド
母 (母父)
キューティゴールド  by  フレンチデピュティ(USA)
馬主
有限会社シルク
生産者
(有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
調教師
高野 友和
騎手
J.モレイラ
  • 離乳を終えた繁殖牝馬たち
    離乳を終えた繁殖牝馬たち
  • 日本競馬史にその名を残す、数々の名馬を送りだしてきた
    日本競馬史にその名を残す、数々の名馬を送りだしてきた

 サトノダイヤモンドは2019年に社台スタリオンステーションでスタッド入り後、初年度産駒からサトノグランツ(京都新聞杯(G2)、神戸新聞杯(G2))、シンリョクカ(新潟記念(G3))と2頭の重賞馬を送り出した。

 産駒は成長力の高さを証明するかのように、古馬となってからも重賞で好走を見せていく。そして、2年目産駒となるオールナットがチャレンジC(G3)を優勝。半姉にG1 2勝馬のショウナンパンドラ、そして近親にステイゴールドの名前もある、社台コーポレーション白老ファームを代表する名牝系とのカップリングだけに、将来も嘱望される勝利となった。

 「サトノダイヤモンド産駒らしいというのか、イヤリングに来た頃から見栄えのする馬体をしていました」と話すのは、白老ファームYearlingの市林晃厩舎長。この頃のサトノダイヤモンド産駒は緩さが見受ける中、オールナットはしっかりとした動きで放牧地を駆け回っていた。

 「オールナットは腰回りの容量もあるなど、馬体もしっかりとしていました。この頃は堅さも残っており、成長過程を見ても晩成の馬ではないかと思いましたが、豊富な体力も持ち合わせていたので、距離が持つ馬になるのではないかと思いました」(市林晃厩舎長)

 騎乗育成はノーザンファーム空港で行われたが、市林晃厩舎長は管理を行う育成厩舎長とは旧知の仲でもあり、連絡を取るたびにオールナットの様子も聞いていた。

 「その厩舎長もオールナットの能力を高く評価していて、大きいところをどこか取りたいとも話していました」

 2歳の10月に行われたメイクデビューを勝利したオールナットは、その後、京都2歳S(G3)へと出走。ここでは7着に敗れるも、3歳になってからは掲示板を外さない安定したレースを続けていき、昨年の嵯峨野S(3勝クラス)に勝利して、オープン入りを果たす。

 4歳初戦となる東京新聞杯(G3)は9着、大阪城Sを挟んで出走した新潟大賞典(G3)でも6着と、重賞の壁に阻まれた感もあったが、オールナットはひと夏を超えて更なる成長を遂げていく。14年ぶりにハンデ戦として行われたチャレンジC(G3)では、調教でも躍動感溢れる動きを見せていく。そこに斤量面だけでなく、短期免許で再来日したJ.モレイラ騎手という、心強いパートナーを鞍上に据えたこともあり、2番人気の支持を集める。

 レースもまた「マジックマン」の進路取りの上手さと、オールナットの能力の高さが最高の形で結実した。ホウオウプロサンゲとショウナンマグマが激しい先行争いを繰り広げていく中、前目のインコースからレースを進めていったオールナットは、最後の直線で馬群が凝縮する中、J.モレイラ騎手の巧みな手綱捌きで最内へと進路を変えていく。

 「長くいい脚を使うイメージがありましたが、J.モレイラ騎手は馬群で我慢させてくれただけでなく、勝負どころでいい脚を使ってくれました。この日は厩舎の休憩所にスタッフと集まってレースを見ていたのですが、みんなで喜びを分かち合えたことも嬉しかったです」

 そう話す市林晃厩舎長に対して、この牝系についての話を聞くと、「この牝系は白老ファームの宝だと思います。成長力もありますし、大きなレースでも結果を出してくれるだけに、オールナットにも更なる活躍を期待したくなります」

 父サトノダイヤモンドだけでなく、牝系からも更なる活躍が見込めるオールナットにとって、この重賞タイトルは今後の更なる快進撃への通過点となりそうだ。