重賞ウィナーレポート

2025年09月06日 札幌2歳S G3

2025年09月06日 札幌競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ショウナンガルフ

プロフィール

生年月日
2023年01月16日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
38,927,000円
ハービンジャー(GB)
母 (母父)
ミカリーニョ  by  ハーツクライ
馬主
国本 哲秀
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
須貝 尚介
騎手
池添 謙一

 ショウナンガルフは2023年のセレクトセール当歳セッションにおいて、231,000,000円(税込)で、オーナーである国本哲秀氏が落札。これは、この年に取引されたハービンジャー産駒では最も高額の取引馬となっただけでなく、同年のセレクトセール当歳セッションにおいても、第12位タイとなる高額落札馬となった。

 「こちらに来た頃から馬体のバランスが良く、見た目にも走りそうなイメージがありました」と話すノーザンファーム空港の高見優也厩舎長。幾多のG1馬を手掛けてきた高見優也厩舎長の目からしても、ショウナンガルフは可能性の固まりであったが、それは本格的な騎乗調教を始めてから、「走る」という実感に変わっていく。

 「しなやかな動きに加えて、軽さのある走りを見せていました。身体能力の高さがあるからこそ、この動きができるのだろうと思いましたが、実際に跨って見ても、素晴らしい乗り味をしていました」

 本格的な騎乗育成を始めたショウナンガルフは、この時期のハービンジャー産駒らしい緩さこそあったものの、順調に調教も進められ、春先の2歳馬取材でも期待馬として名前が挙げられていた。

 「須貝先生とは、函館の新馬戦から札幌2歳S (G3)を目指そうと言われていました」と高見優也厩舎長は話す。実はこのローテーションは同じ須貝厩舎かつ、高見優也厩舎長の元で育成が行われたマジックサンズと、全く同じローテーションだった。

 昨年、マジックサンズが初戦を飾った函館芝1,800mのメイクデビュー。ここでショウナンガルフは2着馬に1秒1もの差を付けて、衝撃のデビューを飾る。このレースを函館競馬場で見届けた高見優也厩舎長は、「札幌2歳S (G3)制覇を目指すにはここは通過点だと思っていました。軽く仕掛けた時の反応が抜群だったので、あとはどのくらいの着差を付けられるかと見ていました。レース後は牧場で調整を行っていったのですが、それも昨年のマジックサンズと一緒であり、札幌2歳S (G3)での結果も一緒であればいいと思っていました」と話す。ただ、牧場に戻ってきたショウナンガルフは、動きに堅さが出ており、昨年のマジックサンズほどは攻め込んだ調教ができなかった。

 「牧場での育成時だけでなく、須貝先生も栗東では柔らかさのある動きをしていたと聞いていただけに、レースを走った反動も出たのでしょう。馬体も減っていたので、まずは十分なケアをしてから、乗り込みを始めていきました」

 函館競馬場に移動した時には、何とか間に合ったとの感覚だったというが、札幌競馬場での最終追い切りでは抜群の手応えで芝コースを駆け抜けていった。

 「最終追い切りは札幌に見に行きましたが、動きの良さだけでなく、時計も好タイムを記録していました。先生も状態は良くなっていると話していたので、あとはレースでいい結果が出てくれるだけだと思っていました」

 レース当日の札幌競馬場には、高見優也厩舎長の姿があった。函館のメイクデビューは長男を連れての観戦となったが、今回は日々の仕事を支えてくれている家族と共に、ショウナンガルフのレースを見守った。

 「他に強い馬も揃っていた中で、1番人気の評価をいただけたのは嬉しかったです。それほど馬場も良くなかった中で、逃げ馬(ジーネキング)の脚色が直線に入ってからも衰えなかっただけに、前を捉えきれないのではとも思いましたが、直線で外に馬を回してからの脚色が良かっただけに、その時に交わせるのではないかと思いました」

 最終追い切りでもショウナンガルフに跨っていた鞍上の池添騎手は、まるで差し切ることを分かっていたかのような仕掛けで、ゴール前で逃げ粘るジーネキングをクビ差捉え切る。

 「ゴールの瞬間はホッとしたというのか、昨年のマジックサンズに続いて、自分たちのやってきた仕事の結果が出てくれたことに充実感もありました。子供たちも牧場ではショウナンガルフをよく見ていただけに、勝利を喜んでくれました」

 勝利の後には須貝先生と今後について話す機会もあったというが、その時に次なる目標は日本ダービー(G1)制覇に設定された。

 「マジックサンズは怪我もあって、クラシックを万全な状態で迎えられませんでしたが、それでもNHKマイルC(G1)では2着と、能力の高さを証明してくれました。ショウナンガルフも順調ならば、皐月賞(G1)や日本ダービー(G1)でもいいレースを見せてくれると思いますし、是非ともタイトルを取って、ゆくゆくは種牡馬入りをしてもらいたいと思います」

 優れた種牡馬成績を残しているハービンジャーだが、後継種牡馬の数はそれほど多くはない。ショウナンガルフには父にクラシックタイトルを授けるだけでなく、後継種牡馬としても名乗りをあげるような活躍を期待したい。