重賞ウィナーレポート

2025年08月09日 エルムS G3

2025年08月09日 札幌競馬場 晴 稍重 ダ 1700m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ペリエール

プロフィール

生年月日
2020年02月13日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:15戦6勝
総収得賞金
183,904,000円
ヘニーヒューズ(USA)
母 (母父)
ソフトライム  by  フジキセキ
馬主
長谷川 祐司
生産者
チャンピオンズファーム (新ひだ)
調教師
黒岩 陽一
騎手
佐々木 大輔

 札幌競馬場ダート1,700mを舞台に行われる3歳以上馬によるダート中距離重賞「第30回エルムS(G3)」は8月9日に14頭立てで行われ、先行馬を見るような位置でレースを進めた佐々木大輔騎手騎乗の5番人気ペリエールが最後の直線で力強く抜け出すと1分43秒5(やや重)で優勝した。管理する黒岩陽一厩舎のJRA重賞勝利は今年のヴィクトリアマイル(G1) (優勝馬アスコリピチェーノ)以来で通算10勝目。デビュー4年目の佐々木大輔騎手にとっては今年の函館記念(G3) (優勝馬ヴェローチェエラ)の続くもので通算5勝目となった。

 ペリエールの生まれ故郷は新ひだか町のチャンピオンズファーム。2000年に育成を中心とした牧場としてスタートし、その後2010年に生産牧場を新ひだか町静内豊畑で立ち上げ、翌11年からは千歳市駒里に中期育成牧場を開場。現在は生産(静内豊畑)・中期育成(千歳市)・外厩施設であるチャンピオンヒルズ(滋賀県大津市)において一貫した馬づくりを行っている。代表の中村明人さんは1984年の桜花賞(G1)に勝ったダイアナソロンなどを手掛けた中村好夫調教師(栗東)を父にもつ。生産馬によるJRA重賞勝利は、今年のNHKマイルC(G1) (優勝馬パンジャタワー)に続くもので通算6勝目(当時)。この勝利で2025年はスプリングS(G2) (ピコチャンブラック)と併せて3つ目(当時)のタイトルとなった。

 「競馬場には、中期育成部門の藤井場長が足を運んで、私は牧場からほかのスタッフと一緒に応援していました」と話してくれたのは新ひだか町の生産部門スタッフ。テレビ画面越しに見るペリエールは「昨年秋に東京競馬場で見たときに比べて馬が大人になって、しっかりしてきたように見えました」と印象を述べ「昨年函館競馬場の大沼Sがペリエールにとって久しぶりとなるコーナー4つの競馬だったのですが、とても良い勝ち方をしてくれましたので期待を込めての応援でした。佐々木大輔騎手が枠順を活かし、上手に導いてくれたと思います」と相好を崩した。

 ペリエールの3代母は、社台ファームの米国法人フォンテンブローファーム生産のスキーパラダイス。現役時代は武豊騎手とのコンビでムーランドロンシャン賞(G1)に勝利するなど通算20戦6勝と欧州マイル路線で活躍し、繁殖牝馬となったのちは皐月賞馬キャプテントゥーレの祖母となるなど、その血を広げている。

 母ソフトライムはJRA1勝馬。2015年に(株)ジェイエスが主催する繁殖馬セールに上場されたところをチャンピオンズファームが購入、ペリエールは、その第5仔だ。牧場時代は「子供の頃からバランスの良い馬でしたが、あまりヘニーヒューズの子供らしくなく、シャープな馬体。芝でも走れそうだねってみんなで話していました」と当時のことを話してくれた。性格的には「大人しいけれど“一本筋が通っている”“芯がある馬”」だったそうで、「例えば蹄の裏ほりをする際も、最初は頑なに拒否したのですが、丁寧にやってあげると、その後は人間の指示に従う。嫌なことはきちんと嫌だと主張するけれど、自分が納得すれば人に従順になるような賢い馬でした」と感心しきり。そんな「ソフトライム2020」は北海道市場サマーセールに上場され、長谷川祐司オーナーによって落札され、2つ目のタイトルを手中にした。「次走は未定らしいですが、選択肢が広がったと思います。まだまだ頑張って欲しい」と期待に胸を膨らませている。