重賞ウィナーレポート

2025年07月27日 東海S G3

2025年07月27日 中京競馬場 晴 良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヤマニンウルス

プロフィール

生年月日
2020年05月21日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:10戦6勝
総収得賞金
128,072,000円
ジャスタウェイ
母 (母父)
ヤマニンパピオネ  by  スウェプトオーヴァーボード(USA)
馬主
土井 肇
生産者
錦岡牧場 (新冠)
調教師
斉藤 崇史
騎手
武 豊

 短距離重賞に生まれ変わった第42回東海S(G3)が7月27日、中京競馬場で行われ、このレースからブリンカーを装着し、積極的に先行した武豊騎手騎乗の4番人気ヤマニンウルス(牡5歳、父ジャスタウェイ、母ヤマニンパピオネ)が、最期まで脚色衰えずに2着以下を突き放して1分22秒2で先頭ゴールイン。約1年ぶりの勝利を重賞競走の大舞台で飾った。管理する斉藤崇史調教師のJRA重賞勝利は今年の北九州記念(G3)(優勝馬ヤマニンアルリフラ)に続くもので今年4勝目の通算26勝目。騎乗した武豊騎手のJRA重賞勝利は今年の宝塚記念(G1)(優勝馬メイショウタバル)に続くもので通算366勝目となった。

 ヤマニンウルスの生まれ故郷は新冠町の錦岡牧場。1955年に苫小牧市錦岡で創業し、その後1979年に現在の新冠町に移転した総合牧場で、1972年の天皇賞(秋)に勝ったヤマニンウエーブや、1993年の天皇賞(秋)(G1)を制したヤマニンゼファーなどを送り、近年では中日新聞杯(G3)など重賞2勝のヤマニンサルバム、今年のサマースプリントチャンピオンを狙うヤマニンアルリフラなどを送り出している。

 「ヤマニンウルスが勝った東海S(G3)は、同僚スタッフと一緒に牧場テレビで見ていました。凄く嬉しかったです」と声を弾ませたのは、埼玉県出身で、入社5年目の育成スタッフ村山大河さんだった。

 「昨年のチャンピオンズC(G1)を賞金不足で除外されてから、歯車が狂ったようになっていましたので正直言えば半信半疑でした。でもパドックを歩く姿はとても調子が良さそうに見えましたし、ヤマニンウルスは夏になると調子をあげる馬。スタート時間が近づくにつれて期待が膨らみました」と生産、育成牧場ならではの〝親心〟を表現し「3角手前で逃げた馬の後ろに取り付いたときに勝てる、と思いました」と相好を崩した。

 牧場時代のヤマニンウルスは「牧場時代から大きな馬でした。他の馬から離れてポツリと1頭でいるようなことが多かったと記憶していますが、遠くに離れていても体が大きいので見つけやすい馬でした」と当時のエピソードを披露し「身体が大きく、力もあったのですが、とても賢く人間の手を煩わせるようなことはありませんでした。でも、ヤマニンウルスに合う馬服がなく、着せるのも苦労しました」と苦笑い。ただ「その当時から能力は同期生約20頭の中では頭ひとつ抜けたような存在で、私自身もヤマニンウルスのファンでした」と嬉しそうに話してくれた。

 デビュー戦は今村聖奈騎手とのコンビで大差勝ち。その後、長い休養をはさみながら武豊騎手、C.ルメール騎手を鞍上に迎えながら5連勝で重賞制覇。その当時は「どこまで強くなるのだろうかと思いました」と期待は膨らんだが、1度狂った歯車はなかなか元に戻らず我慢の日々が続いた。しかし、半弟ヤマニンアルリフラの重賞勝利(北九州記念(G3))が半兄の背中を押すような復活劇となった。

 「秋のチャンピオンズC(G1)で1年越しのリベンジを果たして欲しいという気持ちはありますが、私自身もそんなヤマニンウルスに恥じないように育成技術、調教技術を身につけなければならないと思っています。だから、ヤマニンウルス、ヤマニンアルリフラの活躍には勇気と自信をもらえています」と愛馬の活躍に意を新たにしている。