重賞ウィナーレポート

2025年06月01日 日本ダービー G1

2025年06月01日 東京競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クロワデュノール

プロフィール

生年月日
2022年03月21日 03歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:5戦4勝
総収得賞金
532,486,000円
キタサンブラック
母 (母父)
ライジングクロス(GB)  by  Cape Cross(IRE)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
斉藤 崇史
騎手
北村 友一
  • 緑も一際濃さを増している
    緑も一際濃さを増している
  • 今年の日本ダービー(G1)には3頭の育成馬を送り出した
    今年の日本ダービー(G1)には3頭の育成馬を送り出した

 ホースマンの夢でもある日本ダービー(G1)制覇。ノーザンファーム空港の佐々木淳史厩舎長は、2021年の日本ダービー(G1)を制したシャフリヤールの騎乗育成に携わってきた。

 「その時はコロナ禍だったこともあり、自宅のテレビで観戦をしていました。シャフリヤールがゴールをした瞬間に、スマホの着信音が鳴り響いただけでなく、電話を切ってからも次の電話や、LINEやメールの通知が続々とスマホに表示されました」(佐々木淳史厩舎長)

 2022年に日本国内で誕生した、7792頭のサラブレッドの頂点を決めるレースとなった、今年の日本ダービー(G1)。そこでクロワデュノールは1番人気の評価を得ることとなる。それにも関わらず、佐々木淳史厩舎長は自宅で観戦することに決めた。

 「シャフリヤールの時が自宅で観戦して勝ったので、今回も験を担ごうと思いました。競馬場にはクロワデュノールに乗っていたスタッフに行ってもらうことにしました」

 佐々木淳史厩舎長が、そこまでして勝ちたいと思った日本ダービー(G1)だが、クロワデュノールは前走の皐月賞(G1)で、デビュー以来、初めての敗戦を喫していた。

 「皐月賞(G1)は人気を背負ってのレースということで、自分から動かざるを得なかった結果だと思いました。それでも2着となったレース内容は強かっただけでなく、この経験は必ず日本ダービー(G1)に繋がるとも思いました」

 経験という意味では、皐月賞(G1)から日本ダービー(G1)までの感覚は中5週となる。これは昨年の東京スポ杯2歳S(G2)からホープフルS(G1)までの間隔と一緒であり、その期間にどのように調整していくかを、陣営は把握していた。

 「そこに2歳からの成長が伴ったこともあって、調整も順調に進められたと聞いていました。この辺はクロワデュノールという馬の周りに、1つのチームができていたような気もしていました」

 そのチームには佐々木淳史厩舎長を始めとする、ノーザンファーム空港牧場のスタッフも含まれていた。先々を見越した騎乗調教と、ノーザンファームしがらきでの仕上げや調整。そして、完璧な状態でレースに臨ませていった斉藤崇史厩舎が一体となったことが、クロワデュノールの快進撃に繋がっていった。

 「皐月賞(G1)の負けは悔しかったですが、それでチームの団結力がより高まった印象もありました。スラムダンクという漫画が好きなのですが、その中でも主人公のいるチームは、負けを経験したことで強くなっていったように、これまでの過程は全て日本ダービー(G1)のために繋がっていたような気もします」

 テレビの画面越しに見た、日本ダービー(G1)のパドックであったが、大観衆の中を周回するクロワデュノールの姿は、佐々木淳史厩舎長にとって完璧に近い状態に見えた。

 「休み明けで皐月賞(G1)を使ったことで、状態面も上向きだっただけなく、5週間の間にまた成長したような印象もありました。騎乗した北村友一騎手の表情も引き締まっていましたし、全てが最高の条件で日本ダービー(G1)に臨めると思いました」

 大歓声の中、ダービー馬を決めるゲートが開かれる。それから2分23秒7の時間が経過した時、先頭でゴール板を駆け抜けていたのはクロワデュノールだった。

 シャフリヤールが勝利したレース後と同じように、佐々木淳史厩舎長のスマートフォンには続々と着信が届きはじめる。その中には東京競馬場まで応援に行った、厩舎スタッフからの電話もあった。

 「そのスタッフは、『レースの後は勝った感動や喜びもそうですが、どこか温かい雰囲気でした』と話していました。自分もレースを見てそう思いましたし、それは皐月賞(G1)からのリベンジを信じていたファンの皆さんの思いや、北村友一騎手に日本ダービー(G1)を勝って欲しいとの思いなど、色々な思いや気持ちが、その日の競馬場に集まっていたからではないかとも思いました」

 これが育成馬では2頭目の日本ダービー(G1)制覇となったが、佐々木淳史厩舎長は改めて、ホースマンとしての喜びや楽しさを実感していると話す。

 「18頭のゲートに入れただけでなく、ファンの皆さんから日本ダービー(G1)で1番人気に支持していただく馬を育てられたことにも、光栄な思いがしていました。今年の日本ダービー(G1)はエムズとカラマティアノスも育成馬となりますが、毎年、スタッフとは日本ダービー(G1)に出走馬を送り出すことを目標としてきただけに、その目標が叶えられたことも達成感がありました」

 今年の2歳世代にも、来年の日本ダービー(G1)に出したいと思えるような馬がいます、と佐々木淳史厩舎長は話してくる。

 「シャフリヤール、そしてクロワデュノールにも日本ダービー(G1)制覇の喜びを味あわせてもらいましたが、今後も更にこの喜びを関係者のみんなと一緒に感じたいなと思っています」

 凱旋門賞(G1)への出走を表明しているクロワデュノールだが、その前哨戦としてプランスドランジュ賞(G3)へ出走することが、所属するサンデーサラブレッドクラブからホームページで発表された。日本競馬にとって悲願のタイトルへと、チームクロワデュノールは挑んでいく。