重賞ウィナーレポート

2025年04月20日 留守杯日高賞(GDJ)

2025年04月20日 水沢競馬場 曇 重 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:フリーダム

プロフィール

生年月日
2022年03月04日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:9戦4勝
総収得賞金
24,040,000円
シャンハイボビー(USA)
母 (母父)
エターナルモール  by  エスポワールシチー
馬主
藤本 栄史
生産者
槙本牧場 (門別)
調教師
宗形 竹見
騎手
笹川 翼
  • フリーダムの母エターナルモールと半弟(牡当歳、父ビッグアーサー)
    フリーダムの母エターナルモールと半弟(牡当歳、父ビッグアーサー)
  • 槇本牧場の放牧地
    槇本牧場の放牧地
  • 槇本牧場の分場厩舎
    槇本牧場の分場厩舎
  • 槇本牧場の入口と看板
    槇本牧場の入口と看板
  • 槇本一裕さんと厩舎猫のチャーシュー
    槇本一裕さんと厩舎猫のチャーシュー

 『グランダム・ジャパン(GDJ)2025』3歳シーズンの4戦目「留守杯日高賞(水沢)」は、大井からの遠征馬フリーダム(牝3)が3コーナーから先頭に立つと、そのまま押し切って4馬身差の快勝。1番人気に応え、重賞初制覇を果たした。

 フリーダムの生まれ故郷は、日高町賀張の槇本牧場。現在20頭の繁殖牝馬を管理する生産牧場で、過去には2007年のステイヤーズS (Jpn2)を7番人気で制したマキハタサイボーグや、2010年のJBCスプリント(Jpn1)を4馬身差で圧勝したサマーウインドなど多くの活躍馬を輩出している。また、高知競馬で14年振り4頭目となる三冠を達成し、韓国遠征のYTN杯(G3)でも3着という好走を見せたユメノホノオの生産牧場でもある。

 「レースはテレビで見ていました。陣営の『タイトルを獲りに行こう』という意気込みが伝わってきたレースだったと思います。心配だった長距離輸送も問題無かったようで、まだまだ余裕がありそうな走りでしたね。折り合いをつけるのが難しいということは聞いていたので、笹川騎手が本当に上手く乗ってくれたと思います」とレースを振り返るのは、槇本牧場の取締役・槇本一裕さん。「おかげさまで毎日のように生産馬が全国の競馬場で頑張って走ってくれていて、その中でフリーダムのように活躍してくれる馬が出てくると励みになります」と目を細めた。

 「産まれた時から綺麗な馬体をしていて、怪我や病気をすることも無く、手のかからない仔でした。人間に対しては大人しくて甘えたがりの面も見せていましたが、馬に対しては強気でやんちゃでした。母馬のエターナルモールが現役競走馬だった頃、結構きつい気性だったと聞いているので、フリーダムもその気性を受け継いだのでしょうね」と牧場で育った時期を振り返る。

 フリーダムの母エターナルモールは、ユングフラウ賞(浦和)を含む4勝を挙げ、引退する際に管理していた宗形竹見調教師から『ぜひ槇本牧場で繁殖として繋養してほしい』と連絡があり、その産駒たちは宗形竹見厩舎で競走生活を送ることになったという。初年度産駒(牝、父 ホークビル)は槇本一裕さんがオーナーブリーダーとして所有したが、2番仔(牝、父シャンハイボビー)が当歳だった頃、元々付き合いの長かった藤本栄史オーナーがその仔を見てとても気に入り、庭先で購入してフリーダムと命名。3番仔のジャスティス(牡、父シニスターミニスター)も藤本栄史オーナーが所有し、それぞれ育成牧場も同じだという。生産牧場、育成牧場、オーナー、所属厩舎が“ワンチーム”となって、エターナルモールの血脈が受け継がれていっているのだ。

 配合については、槇本一裕さんならではの考えがあった。「基本的に同じ繁殖に同じ種馬を付けるということはしていません。全弟・全妹が同じように活躍するかと聞かれるとそんなこともないですし、それならもっと個性豊かな産駒を輩出していきたいという考えです。オーナーブリーダーもやっているので、基本的には自分が欲しいと思う配合をしようという方向性でやっています。もちろん売ることもありますが、『自分で所有するならこういう馬』という思いで配合を考えています。様々な可能性を想像しながらこの仕事をやっていけると楽しみが広がりますしね」と笑顔を見せ、フリーダムに関しては「母父がエスポワールシチーで馬体もガッチリしているので、『この馬体に合う種馬は何だろう?』と色々な配合を参考にしました。シャンハイボビーは割と新しい種馬で、スターになるような馬がまだ多くは出ていなかったのですが、今後活躍馬が出てきそうだなと思っていました。幸いこうして重賞を獲れるような産駒を輩出できたので、うまくいったと思います。母馬のエターナルモールは毎年順調にお産をしてくれていて、今年はルヴァンスレーヴの仔を受胎することができたので、来年も楽しみです」と話してくれた。

 「少しずつ牧場として結果が出てきてホッとしていますが、まだまだ先代には届いてないので、なんとかそこを越えたいと思いながらやっています。僕たち生産者は、とにかく『頑張れ!』と応援することしかできないので、これからも怪我無く頑張ってほしいです。今後クラスも上がって色々なステージに立っていくと思いますが、その中でどんな走りを見せてくれるのか期待していますし、楽しみにしています」とフリーダムにエールを送る。槇本牧場から始まり“ワンチーム”で築き上げられる血脈に今後も注目していきたい。