重賞ウィナーレポート

2025年05月18日 ヴィクトリアマイル G1

2025年05月18日 東京競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アスコリピチェーノ

プロフィール

生年月日
2021年02月24日 04歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:7戦5勝
総収得賞金
396,995,000円
ダイワメジャー
母 (母父)
アスコルティ  by  Danehill Dancer(IRE)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
黒岩 陽一
騎手
C.ルメール

 ノーザンファーム空港の東谷智司厩舎長は生産馬の活躍に際して、「自分や厩舎のスタッフだけではなく、調教師や厩舎の皆さんの管理のたまものであり、そして、中間の調整を手掛けてくれている、ノーザンファーム天栄やしがらきのスタッフのおかげです」と話す。

 アスコリピチェーノにとっては海外を含めると重賞5勝目、そして阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)以来のG1制覇となるヴィクトリアマイル(G1)に際しても、まず、東谷智司厩舎長の口から出た言葉は、「黒岩先生や厩舎スタッフの皆さん、そして、ノーザンファーム天栄スタッフに感謝するだけです」との言葉から、喜びの声を聞かせてくれた。

 「研修もあってレースの1か月ほど前に、アスコリピチェーノが戻ってきていた、ノーザンファーム天栄へ行ってきました。その時は海外遠征の疲れがまだ残っていると、管理を行っていた厩舎長は話していました。ただ、状態は上向きだとも言っていましたし、その状態をキープできたのならば、黒岩先生がいい状態でレースに臨ませてくれると思っていました」

 その後、黒岩厩舎へと移動したアスコリピチェーノは、最終追い切りでも好時計を記録。ヴィクトリアマイル(G1)への出走態勢は整ったものの、過去10年で1頭も勝馬がいない8枠17番からの出走、そしてレース前日にはまとまった雨が降るなど、本命馬には不安なデータが揃っていた。

 ゲートが開くと、まず飛び出したのはアリスヴェリテ。1,000m通過が56秒8とハイペースの流れとなる中、アスコリピチェーノは後方からレースを進めていく。「スタートしてからの位置取りですが、有力馬たちも後方だったので、それほど気にはしていませんでした。ただ、直線に入ってからもまだ後ろにいたので、どのタイミングで動き出していくのかなと思っていました」

 残り1ハロンを過ぎても、まだ先頭に立っていたアリスヴェリテだったが、残り100mで一気に後続馬が襲い掛かる。その馬群の一番外にいたアスコリピチェーノは、先に抜け出したクイーンズウォークを、ゴール前でクビ差捉え切った。

 「レースはテレビで見ていたので、直線の手ごたえからしても差し切ってくれると思いました。競馬場には厩舎スタッフが応援に行っていたのですが、そのスタッフは、勝ったかどうか分からなかったと話していた程に、際どいレースだったのだと思います」

 これで通算成績は9戦6勝。3着以下になったのは初の海外遠征となったATCゴールデンイーグル(12着)だけであり、芝のマイル戦を中心とした安定感は、牝馬短距離戦線でも抜けた存在となっている。

 「馬自身も成長を遂げているだけでなく、力も付けているのでしょうか、海外遠征からのレースと調整の難しい中で、立て直しを図ってくれたノーザンファーム天栄のスタッフや、レースに向けて最高の調整をしてくれた黒岩先生、そして、アスコリピチェーノの末脚を引き出してくれたルメール騎手が、この結果をもたらしてくれたのだと思います。まだまだ強くなる馬だと思いますし、その時も関係者の皆さんが、最高の状態でレースに臨ませてくれると信じています」

 注目の次走だが、先日、8月17日にドーヴィル競馬場で行われる、ジャックルマロワ賞(G1)への登録が発表された。これで海外遠征は3回目、そして、海外G1へは初の挑戦となる。そこでも東谷智司厩舎長が絶大な信頼を寄せるスタッフたちが、そこでも最高の仕上げでレースに臨ませてくれるはずだ。