重賞ウィナーレポート

2025年05月10日 エプソムC G3

2025年05月10日 東京競馬場 曇 稍重 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:セイウンハーデス

プロフィール

生年月日
2019年04月08日 06歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:14戦5勝
総収得賞金
174,035,000円
シルバーステート
母 (母父)
ハイノリッジ  by  マンハッタンカフェ
馬主
西山 茂行
生産者
鮫川 啓一 (荻伏)
調教師
橋口 慎介
騎手
幸 英明

 開催時期が早まり、秋のG1路線を目指す実力馬や、サマーシリーズなどにもつながる1 戦となった第42回エプソムC (G3)は、好スタートを切りながらも先行馬を見るような位置でレースを進めた幸英明騎手騎乗の6番人気セイウンハーデスが最後の直線で大外から目の覚めるような瞬発力を披露。抜け出してからは、やや内に切れ込みながらも、サリオスが2022年の毎日王冠(G2) で記録した1分44秒1のコースレコードを0.2秒更新する1分43秒9(やや重)で優勝。通算成績を14戦5勝2着2回(重賞2勝)とした。

 セイウンハーデスの生まれ故郷は、浦河町の鮫川啓一牧場。23年七夕賞(G3)(優勝馬セイウンハーデス)に続く生産馬の重賞勝利に湧いている。

 同牧場の歴史は長く、戦前に現代表の曾祖父鮫川由太郎氏が函館で馬産を行っていたことが起源となる。その後、祖父由五郎氏が浦河町に移住し、由五郎氏の5男にあたる三千男氏が本家から独立したのが1967年(昭和42年)。広い土地を求めて国道から車で約15分ほど奥に入る現在の場所で理想とする馬づくりをスタートさせた。おもな生産馬には1979年の日本ダービー馬で同年の最優秀3歳牡馬カツラノハイセイコ、2003、04年のクイーンS(G3)連覇など重賞4勝オースミハルカ、そして2019年のNAR年度代表馬ブルドッグボスなど。現在は鮫川啓一代表のもと、約10人のスタッフで30頭ほどの繁殖牝馬と、その仔馬たちを管理。広い土地と、血統にこだわりながら丈夫で強い馬づくりを目指している。

 レース当日、鮫川啓一代表は東京競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会うことが出来たという。「パドックを歩く姿など、状態はとても良く見えました。大きなケガをして長く休んでいた馬ですが、西山牧場の方々や橋口慎介厩舎の方々が一生懸命にケアしてくれたおかげだと思います。この馬は、自分を初めて日本ダービー(G1)に連れて行ってくれた馬(カツラノハイセイコの生産者は父親名義)。結果云々よりも、生産者としては復帰してレースで使ってもらえることに感謝していました」とレース当日の思いを話してくれた。

 実は、長く休んでいる間に休養先の牧場にも足を運んでいたそうだ。「自分が様子を見に行くことでスタッフの方々に余計に気を遣わせてしまうのではないかと悩みました。でも、復帰に向けて頑張っている方々に感謝の気持ちを伝えたかった。だから、お礼の気持ちだけ伝えたら、馬を見ず帰ろうと思っていました」、当時の思いも話してくれた。

 そんな〝思いを〟乗せた復帰3戦目。「勝ち方も、タイムも驚きしかなかった」という快走劇を目の当たりにして「自分の想像を超えたパフォーマンスでした。(現役続行を決めた)西山オーナーの決断と、関係したすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです」と言葉を重ねた。

 そして、次走は天皇賞 (秋)(G1)と伝えられている。

 「天皇賞(秋)(G1)といえば、カツラノハイセイコが1番人気で出走したレースを思い出します。でも、そんな事よりも、とにかく無事にゲートインして欲しい」と願っている。