2025年05月11日 NHKマイルC G1
優勝馬:パンジャタワー
プロフィール
- 生年月日
- 2022年02月21日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦3勝
- 総収得賞金
- 185,670,000円
- 馬主
- 深澤 朝房
- 生産者
- チャンピオンズファーム (新ひだ)
- 調教師
- 橋口 慎介
- 騎手
- 松山 弘平
3歳マイル王決定戦「第30回NHKマイルカップ(G1)」は5月11日に東京競馬場芝1,600m(良)18頭立てで行われ、中団でしっかりと脚を溜めていた松山弘平騎手騎乗の9番人気パンジャタワー(父タワーオブロンドン、母クラークスデール)が残り300m付近で先頭に立つと、そのまま後続の追撃を封じ込めた。勝ちタイムは1分31秒7。この勝利で通算成績を5戦3勝(重賞2勝)とした。管理する橋口慎介調教師にとっては前日に行われたエプソムカップ(G3)(優勝馬セイウンハーデス)に続くJRA重賞勝利で通算7勝目、松山弘平騎手にとっては今年の阪神牝馬S(G2)(優勝馬サフィラ)に続く重賞勝利で通算50勝目、区切りの勝利を21年チャンピオンズカップ(G1)(優勝馬テーオーケインズ)以来となるG1レースで飾った。また、この勝利は父タワーオブロンドンにとっても嬉しいG1初勝利となった。
生産は新ひだか町のチャンピオンズファーム。1984年の桜花賞馬ダイアナソロンなどを手掛けた中村好夫調教師を父に持つ中村明人(63歳)が代表を務める総合牧場で、現在、新ひだか町静内豊畑の生産部門には現在約100頭の繁殖牝馬がおり、本年はおよそ80頭が生産されたという。パンジャタワーと本年のスプリングS(G2)優勝馬ピコチャンブラックなどの2022年生まれ世代は約60頭だったというから、急速に規模を広げている。同ファームは千歳市駒里において中期育成も手掛けており、生産(静内豊畑)・中期育成(千歳市)・外厩施設(滋賀県大津市)という一貫した取り組みがG1優勝という最高の結果をもたらした。
この日、日本人8名、インドやフィリピンからの外国人従業員13名という生産スタッフは、多忙な出産、種付シーズンを過ごしながら、牧場テレビの前から声援を送っていたそうだ。「パドックをゆっくり観ることはできませんでしたが、調子は良いと聞いていましたのでレースを楽しみにしていました」という生産スタッフの女性は「松山弘平騎手が絶好のポジションをとってくれましたし、最終コーナーでの馬の手応えや脚色は抜群に見えました。直線で先頭にたってからは、ゴールするまでの間、全員があらん限りの声で“がんばれ!がんばれ”と大声援を送りました」と、その瞬間の様子を話してくれた。
生まれたばかりの頃は「どちらかと言えば、コロンとした馬でマイラーなのかなぁとスタッフ同士では話していた馬です。同期のピコチャンブラックは皮膚の薄い、いかにも芝の長距離が良さそうな馬でしたから、この2頭は本当に対象的でした」と当時の事を思い出しながら「生まれた頃から目立たず、病気もせず、良い意味で印象に残らないような馬でした。でもメンンタルはかなり強く、物事に動じない一面も持ち合わせていましたので大舞台でも自分の競馬が出来たのかもしれません」と牧場と重ねてくれた。
育成牧場としたスタートしたチャンピオンズファームが、本格的な生産事業に着手したのが2013年。「12年という歳月が長かったのか短かったか、わかりません。でも牧場の開設当初から働いているスタッフの一員として、初めてのG1優勝は、感慨深いものがあります。これは、中村代表のもと生産・育成・外厩施設と三位一体のシステムに整えた成果だと思います。千歳市駒里の育成場には約20名のスタッフがいますので、生産・育成のスタッフ全員でパンジャタワーのG1優勝お祝い会を計画しています」と笑顔を広げている。