重賞ウィナーレポート

2025年05月03日 ユニコーンS G3

2025年05月03日 京都競馬場 晴 稍重 ダ 1900m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:カナルビーグル

プロフィール

生年月日
2022年02月10日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
58,983,000円
リアルスティール
母 (母父)
ソブラドラインク(ARG)  by  Include(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
佐藤 悠太
騎手
吉村 誠之助
  • 育成時のカナルビーグル(木村浩崇厩舎長提供)
    育成時のカナルビーグル(木村浩崇厩舎長提供)
  • 京都新聞杯(G2)を制したショウヘイも育成馬となる
    京都新聞杯(G2)を制したショウヘイも育成馬となる

 ダートサイアーとして次々と活躍馬を送りだしているリアルスティールであるが、この3歳世代からもG1級の大物が誕生した。ノーザンファーム早来の木村厩舎で育成されたリアルスティール産駒のカナルビーグルは、初重賞挑戦となるユニコーンS(G3)を優勝。優先出走権を得た東京ダービー(Jpn1)へと臨むことになった。

 「イヤリングから来た頃から大人びていた印象がありました。馴致もスムーズに運び、気性も良かったので、手のかかった印象は無かったです」と話すのは木村浩崇厩舎長。調教も順調に進められていったが、一つ気がかりだったのは、木村浩崇厩舎長曰く「コツコツ」とも称していた歩様の堅さだった。

 「この堅さはリアルスティール産駒特有とも言えました。それでも動きには軽さがあって、走らせてみてもスピード能力の高さが感じられたので、この堅さが取れてくれば、芝でも十分にやれるのではと思っていました」(木村浩崇厩舎長)

 6月下旬に本州へと移動したカナルビーグルは、7月には当時の管理先だった音無秀孝厩舎へと入厩する。ゲート試験にも合格すると、その後はノーザンファームしがらきで調整が行われていった。

 「この頃にしがらきの厩舎長とも話す機会があったのですが、やはり歩様の堅さを気にしていました。それだけに2戦目の勝ち方を見た時には驚きました」(木村浩崇厩舎長)

 10月のメイクデビュー京都では3着に敗れたものの、12月の2歳未勝利戦では2着馬に8馬身差をつける快勝。前走の3歳1勝クラスでも2着に7馬身差をつけるなど、スケールの大きなレースを見せていく。

 「2勝目の勝ち方を見た時に、重賞でも十分にやれる馬なのではと思いました。その時にもしがらきの厩舎長に『ありがとうございます』とLINEを送ったのですが、その返事には『あれほど脚が速いとは思わなかった』と書いてありました」(木村浩崇厩舎長)

 3番人気での出走となったユニコーンS(G3)。単勝1倍台という圧倒的な支持を集めた1番人気はクレーキングとなったが、そのクレーキングが出遅れ2番人気のメイショウズイウンもスタートで後手を踏んだ中、カナルビーグルはスムーズに先行集団に取り付いていく。

 1,000m通過が61秒8というスローペースの中、後ろにいたメイショウズイウンとクレーキングが後方から一気にポジションを上げていくも、カナルビーグルは脚を溜めながら直線勝負へとかけていく。最後の直線で抜け出しにかかったのはメイショウズイウン、その外からクレーキングが並びかけるもその2頭を目標とするかのようにカナルビーグルはスパート。ゴール前では追いすがる2頭を振り切ってみせた。

 「追い切りの内容も良かっただけに期待をしていましたが、このメンバーを相手に勝ちきれるのか、といった驚きもありました。それだけに能力を信じきれていなかったことを申し訳なくも思いました」(木村浩崇厩舎長)

 これが調教師として、初めての重賞制覇となった佐藤悠太調教師だが、奇しくもこの日が37歳の誕生日でもあった。「担当されている渋谷和司厩務員も、誕生日を迎えられたばかりだと新聞で目にしました。佐藤悠太先生はノーザンファーム空港で勤務されていた方でもありますし、初重賞制覇や様々なお祝いを、自分たちの手掛けた馬だったことを嬉しく思いました」(木村浩崇厩舎長)

 レース後に佐藤悠太調教師と話す機会があったという木村浩崇厩舎長であるが、その時には「緩さも残っているだけに、まだまだ良くなっていくはずです」と言われたという。「精神面もどっしりとしていますし、今回のレースでは勝負根性も見せてくれました。レースセンスもあるので小回りのコースもこなせると思うだけに、東京ダービー(Jpn1)もいいレースを見せてくれると思います」(木村浩崇厩舎長)

 東京ダービー(Jpn1)はダート三冠競走の羽田盃(中央交流) (Jpn1)を戦ってきたメンバーとの対戦となる。木村浩崇厩舎長の想像を超えるような、底知れぬ能力を持っているカナルビーグルならば、この勢いのままにJpn1ウィナーまで上り詰めても不思議ではない。