重賞ウィナーレポート

2025年04月26日 青葉賞 G2

2025年04月26日 東京競馬場 曇 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エネルジコ

プロフィール

生年月日
2022年04月23日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:3戦3勝
総収得賞金
73,490,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
エノラ(GER)  by  Noverre(USA)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
高柳 瑞樹
騎手
C.ルメール

 エネルジコはデビューから3連勝で青葉賞(G2)制覇を果たした。優先出走権を得た日本ダービー(G1)には、レース後の状態面を考慮する形で出走とはならなかったが、スケールの大きさはダービー(G1)出走馬たちとも遜色なく、秋は更に成長した姿を見せてくれるに違いない。

 デビューからこれだけのパフォーマンスをしたにも関わらず、昨年の2歳馬の取材で、エネルジコの話題はほとんど上がってきてはいない。それは関係者が意図する形で、春先にはじっくりと成長を待っていたからだった。

 「イヤリングから来た頃は華奢で動きも頼りなさを感じていました。1歳の頃は速い時計の調教をしたことが無いほどでした」と話すのはノーザンファーム空港の佐々木淳吏厩舎長。今年の日本ダービー馬となったクロワデュノールを始め、佐々木淳吏厩舎長や厩舎スタッフが育成を手掛けた3歳世代は、目覚ましい活躍を見せている。そのクロワデュノールも成長を見越して調教を行った馬であるが、それよりも更に完成した姿を先に見る形で、エネルジコは調教を行われていった。

 「春のクラシックで活躍する姿が、当時は想像できませんでした。ただ、動きには柔軟さがあって、フットワークも良く何よりも競馬向きとも言える、前進気勢の良さも感じられていました」(佐々木淳吏厩舎長)

 ただ、速い時計の調教の後には馬の披露が残ってしまう程に、体質面の弱さは解消されないでいた。そこで佐々木淳吏厩舎長は牧場の場長や主任、そして管理を行う高柳瑞樹調教師とも相談した上でエネルジコの早期移動が決まる。

 「走りのバランスが良くなるにつれて、春先になってからの馬体の変化も著しくなっていました。環境の変化で刺激を与えるだけでなく、本州が暑くなる前に移動させることで、環境順化も図っていけるのではないかとの狙いもありました」(佐々木淳吏厩舎長)

 2歳の6月にノーザンファーム天栄へと移動したエネルジコは、高柳瑞樹厩舎へと入厩。月末のゲート試験に合格すると、デビューに向けてノーザンファーム天栄で調整が行われていく。

 デビューは10月のメイクデビュー東京となったが、そこでは後方一気の末脚で勝利をあげる。「スピードはあると思っていましたが、緩さが抜けてくるまでは時間がかかると思っていただけに、デビュー戦での走りには正直、驚きました。高柳瑞樹先生ともレース後に話す機会がありましたが、レースを使ったことによる疲労や反動を心配していました。それだけに馬がパンとしてきたら、どれだけ走ってくれるのだろうかとの期待も膨らみました」(佐々木淳吏厩舎長)

 レース後、十分な調整期間を挟んだエネルジコが出走してきたのは、3歳2月のセントポーリア賞。ここでもデビュー戦に続いて上がり最速の末脚を使って勝利をあげる。「高柳瑞樹厩舎だけでなく、ノーザンファーム天栄でも調教メニューを工夫してもらいながら調整を行ってくれていました。それが成長を促しただけでなく、いい状態でレースに臨めたのだと思います」(佐々木淳吏厩舎長)

 エネルジコはセントポーリア賞から約3か月という、十分な間隔を取って青葉賞(G2)へと臨んでいく。重賞好走馬も名を連ねたにも関わらず1番人気の支持を集める。4コーナーでは最後方の位置取りとなるも、そこから末脚を伸ばしていき先に抜け出していたファイアンクランツをクビ差捉えてみせる。

 「2歳時のデビュー戦での勝利、年が明けてからのセントポーリア賞での走り、そして青葉賞(G2)優勝と、全てが想像以上のパフォーマンスでした。こちらにエネルジコがいた頃に馬のために何ができるのかと思いながらスタッフと取り組んできたことが、最良の結果になったと思いますし、自分たちもまたエネルジコの管理を通して、勉強させてもらったとの思いがあります」(佐々木淳吏厩舎長)

 日本ダービー(G1)出走とはならなかったのは残念であるが、エネルジコの競走馬としての未来を考えた場合、これがベストな判断だったと言われる時が来るはずだ。