2025年02月20日 ブルーリボンマイル(GDJ)
優勝馬:ヒメツルイチモンジ
プロフィール
- 生年月日
- 2020年03月02日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:26戦8勝
- 総収得賞金
- 36,590,000円
- 母 (母父)
- コウセイエリザベス by アイルハヴアナザー(USA)
- 馬主
- 野田 善己
- 生産者
- イワミ牧場 (新冠)
- 調教師
- 新子 雅司
- 騎手
- 笹田 知宏
『グランダム・ジャパン2025』古馬春シーズンの第2戦は、笠松競馬場の1,600mコースを舞台とした「ブルーリボンマイル」。兵庫から2頭、高知から3頭の馬が遠征して10頭で覇が競われたが、勝利したのは6番人気のヒメツルイチモンジ(兵庫)。最後の直線、1番人気セブンカラーズ(愛知)との激しい一騎打ちを半馬身差で制し、5歳にして待望の初重賞勝利を飾った。
ヒメツルイチモンジの生まれ故郷は、新冠町明和のイワミ牧場。2014年のスプリンターズS(G1)を制したスノードラゴンの生産牧場で、このグランダム・ジャパンシリーズでは2021年の若草賞(当時は3歳シーズン)を生産馬のパールプレミアが優勝。そのパールプレミアは昨年2月に競走生活を終え、イワミ牧場に戻って繁殖生活を始めている。
「ヒメツルイチモンジはデビュー当初から能力を高く評価されていた馬で、菊水賞や兵庫ダービーなど牡馬相手の重賞に挑戦したり、他地区の重賞に遠征で挑戦したりして力をつけてきました。ようやく重賞タイトルに手が届き、ゴールの瞬間は本当にうれしかったです」と笑顔を見せるのは、イワミ牧場の3代目代表を務める岩見昌弘さん。
「4歳時に高知へ遠征し、重賞の黒潮スプリンターズCで3着したことがあったんです。高知の深い砂を苦にせず伸びてきて、改めて力があることを確信しました」と、これまでの歩みを振り返る。
ヒメツルイチモンジのオーナーはイグナイターやラッキードリームなどを所有する野田善己氏だが、その出会いは偶然に偶然が重なったものだったそうだ。
「2020年のセプテンバーセールに上場したエスポワールシチー産駒の1歳馬を野田善己オーナーに落札していただいた際、『この馬が育った環境を見せてほしい』と仰って初めて牧場に来られたんです。そして当時いた当歳馬たちの放牧地で馬をご覧になっていたのですが、1頭だけ野田善己オーナーの前を行ったり来たりしてアピールする馬がいたんですよ。オーナーに『この仔は何の産駒ですか?』と聞かれたので『エスポワールシチーです』と答えると、すぐに『この仔も買わせてもらえませんか?』と。その牝馬が、のちのヒメツルイチモンジだったんです」と、生産馬がオーナーとの縁を引き寄せた貴重なエピソードを明かす。
「牧場で育っていた頃のヒメツルイチモンジはいかにも牝馬らしい細身の馬体でしたが、頭が良くて無駄なことを一切しない馬でした。当時から、それなりに走る雰囲気は感じていました」と、約5年前の幼少期についても話してくれた。
ヒメツルイチモンジの母コウセイエリザベスは、スノードラゴンの6歳下の半妹。競走馬として勝利を挙げることはできなかったが、現役引退後にイワミ牧場へ戻って繁殖牝馬となった。
「コウセイエリザベスの父はアイルハヴアナザーなので、生まれて牝馬とわかった瞬間からマイネカプリース(スノードラゴンの母)の跡取りとして残したいと思っていたんです。そして予定通りに牧場に戻って来て、2番仔として産んだヒメツルイチモンジが早速結果を出してくれました」と母馬を紹介。コウセイエリザベスが昨年産んだヒメツルイチモンジの全弟(牡1歳、父エスポワールシチー)は野田善己オーナーが購入済。現在はお腹の中にモーニンの仔を宿しており、まもなく出産を迎える。
「野田善己オーナーも新子調教師も馬を大事に使ってくれるので、生産者としては本当にありがたいです。とりあえず1つは重賞を獲れたので、あと1つでも2つでもタイトルを積み上げて牧場に戻って来てくれることを願っています」と未来を見つめる岩見昌弘さん。そのプロフィールの中に、〝グランダム・ジャパン古馬女王〟の勲章も刻まれることを期待しよう。