2025年03月16日 金鯱賞 G2
優勝馬:クイーンズウォーク
プロフィール
- 生年月日
- 2021年03月14日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦4勝
- 総収得賞金
- 190,640,000円
- 父
- キズナ
- 母 (母父)
- ウェイヴェルアベニュー(CAN) by Harlington(USA)
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 中内田 充正
- 騎手
- 川田 将雅
牝馬としては実に30年ぶりとなる金鯱賞(G2)勝利。雨が降り注いだ馬場は重馬場まで悪化していたが、それでもクイーンズウォークの差し脚は鈍ることなく、ゴール前では先に抜け出していたホウオウビスケッツをハナ差交わし切った。
育成を手掛けてきたノーザンファーム早来の村上隆博厩舎長としても、昨年のローズS(G2)以来となる勝利は格別な思いがあった。
「レース前から牝馬がそれだけの期間に渡って、勝っていなかったのは知っていました。もし、牝馬が勝てたら凄いなと思ってはいましたが、それが育成馬のクイーンズウォークだったことを誇りに思います」(村上隆博厩舎長)
毎年ハイレベルなメンバーが揃う金鯱賞(G2)。今年の出走頭数は10頭と比較的落ち着いたものの、クイーンズウォークを含めて重賞勝馬は6頭。残る4頭のうち3頭も重賞で連対実績があった。
その中でもクイーンズウォークの重賞2勝は、実績的に上位となっていたものの、秋華賞(G1)では15着、小倉牝馬S(G3)でも6着と、近走は人気に応えるようなレースができていなかった。
「レース中のアクシデントもありましたが、クイーンズウォーク自身もそれを跳ねのけるようなレースができていませんでした。ただ、レースごとに成長しているのは見て取れましたし、自分もノーザンファームしがらきで調整されていたクイーンズウォークを見た時に、成長の跡が見て取れました」
昨年の秋、村上隆博厩舎長は久しぶりにクイーンズウォークとの対面を果たしている。牧場で騎乗調教を行っていた頃から恵まれた骨格をしていたものの、馬体重の増加が筋肉量の増加として表れていただけでなく、その筋肉の中身も充実してきたような印象を受けていた。
「牧場で育成を行っていた頃から感じていたことですが、本当に良くなるのは古馬になってからだと思っていました。自分がしがらきで見た時期ですら、まだ成長の過程だったというのか、ここから更に良くなるのだろうといった期待を持たせてくれました」
その成長の跡をしっかりと示したのが、この金鯱賞(G2)だった。デシエルトが大逃げを打ったレースは、そこから大きく離れた2番手にホウオウビスケッツ、その3馬身ほど後方をクイーンズウォークが追走していく。
デシエルトはセーフティーリードを保ったまま直線に入ったかに見えたが、重馬場でスタミナをロスしたのか、残り300mを過ぎたあたりで鞍上の武豊騎手のムチが入る。その後ろにいたホウオウビスケッツは一気に捉えにかかると、いったんは直線で先頭に立ったが、その外から一気に脚を伸ばしてきたのはクイーンズウォークだった。
「直線を向いた時には、デシエルトを捕らえるのは難しいのではないかと思いました。ただ、直線に入ってからの加速が良かったので、これは交わせるかもしれないと思ってからは、必死になって応援をしていました」
古馬となってからの重賞勝利は混合重賞での勝利ともなった。これはクイーンズウォークの未来を指し示すような結果になったとも言える。
「2歳時からG1を勝って欲しいと思っていましたし、クラシックでもまだやれると期待をしてきましたが、馬体の成長にも表れているように、競走馬として完成を迎えつつある今の姿が、G1で戦うに相応しい馬体となったのかもしれません。牡馬と戦って結果を出せたのは嬉しかっただけでなく、秋にはG1でも好勝負ができるのではと期待が持たせてくれます」
そう話した村上隆博厩舎長は、「レース後のケアをしっかりとしてくれている厩舎スタッフの皆さんや、ノーザンファームしがらきスタッフの存在があるからこそ、クイーンズウォークはしっかりと成長できているのだと思います」と感謝の言葉を口にする。レースの後もノーザンファームしがらきで調整されており、目標とするヴィクトリアマイル(G1)への態勢も整いつつある。何せ牡馬を一蹴したグラマラスな女傑。ヴィクトリアマイル(G1)でも力の違いを示して、あっさりとG1初制覇を果たしてしまいそうだ。