2025年03月02日 チューリップ賞 G2
優勝馬:クリノメイ
プロフィール
- 生年月日
- 2022年05月08日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:4戦3勝
- 総収得賞金
- 71,195,000円
- 父
- オルフェーヴル
- 母 (母父)
- クリノエリザベス by プリサイスエンド(USA)
- 馬主
- 栗本 依利子
- 生産者
- 木村牧場 (門別)
- 調教師
- 須貝 尚介
- 騎手
- 酒井 学
桜花賞(G1)に向けての重要な前哨戦「第32回チューリップ賞(G2)」は春雨の降る阪神競馬場芝1,600m(良)14頭立てで行われ、日高町の木村牧場が生産したクリノメイ(父オルフェーヴル、母クリノエリザベス)が優勝し、デビューからの通算成績を4戦3勝とした。
木村牧場は1963年創業。その歴史の中でエリザベス女王杯2着タケノダイヤやホッカイドウ競馬所属馬として函館2歳S(Jpn3)に勝ったハートオブクイーン、そして2021年の中日新聞杯(G3)に勝ったショウナンバルディなどを送り出している。また、1989年からは育成部門に力を入れ始めて、1995年にファンタストクラブ内に拠点を移設。顕彰馬エルコンドルパサーはじめ凱旋門賞(G1)2着ナカヤマフェスタ、エリザベス女王杯(G1)優勝レインボーダリア、皐月賞馬ディーマジェスティ、一昨年のドバイワールドカップ(G1)優勝馬ウシュバテソーロなど名馬たちを手掛けてきた。
この日、酒井学騎手に乗り替わったクリノメイは2番枠の好スタートから先行馬3~4頭を先に行かせ、コースの内側でじっと待機。直線を向くと馬場の直線で先頭に立ち、内から勢いよく差してくる武豊騎手騎乗のウォーターガーベラの追撃をみごと振り切って優勝した。
生産牧場にとっての3月は出産、種付けの繁忙期。この日、木村牧場の木村豪場長はスタッフと一緒に牧場内のテレビで観戦していたそうだ。「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)は競馬場に臨場していたのですが、あのときはゲートで立ち上がって外枠発走。“験”を担ぐ意味もあって北海道で居残り観戦にしましたが、レース前はちゃんとゲートを出てくれと祈るような気持ちでした」と当日の事を話してくれた。
そんな生産者の思いを受け止めたかのように、この日はパドックから落ち着きを見せており、抜群のダッシュから巧みにインコースをキープ。残り200m付近で先頭に立つと、この日で引退となる兄弟子河内洋調教師に“最後の花道を!と気迫で追う武豊騎手の追撃をみごと振り切って優勝した。
「最後はヒヤヒヤでしたが、牧場スタッフたちはテレビの前で床が抜けてしまうのではというくらいに床をたたいて応援しました。前走のことがあったので厩舎の方々がしっかりとケアしてくれたのだと思います。ですから、勝利の瞬間は、本当に嬉しさと安堵感とで満たされました。素晴らしい馬を預けてくださったオーナーはもちろん、須貝調教師、酒井学騎手はじめ関わってくれたすべての方々のおかげです」と笑顔を広げた。
牧場時代のクリノメイは母クリノエリザベスと同じで気性の激しい馬だったそうだ。「クリノメイの1歳年上には同じオルフェーヴル産駒の牝馬がいたのですが、生まれて間もなく死んでしまったのです。それで、もう1度オルフェーヴルを配合しました」というエピソードも披露してくれた。
母クリノエリザベスはホッカイドウ競馬からデビューし、フレッシュチャレンジ競走、ウィナーズチャレンジ競走、そして重賞のリリーカップまで3連勝。3歳シーズンは北斗盃からスタートして2着。のちにJRAへと移籍し、準オープン級(現在の3勝クラス)で活躍した。本馬は、その第4仔だ。
「母がプリサイスエンド産駒ですから、小雨降る中での競馬も味方してくれたのかもしれませんが、クリノメイは蹄の形からも重馬場は苦にしないと思っていました。桜花賞(G1)には、当牧場育成馬のエリカエクスプレスはじめ、強い馬が揃って出てきますが、どちらも悔いが残らぬような競馬を期待したいです」と期待している。