2025年02月23日 フェブラリーS G1
優勝馬:コスタノヴァ
プロフィール
- 生年月日
- 2020年04月03日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦7勝
- 総収得賞金
- 240,891,000円
- 馬主
- 吉田 勝己
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 木村 哲也
- 騎手
- R.キング
今年の2月はノーザンファーム空港B-5厩舎の関係者にとって、とても幸せな一か月となった。2月2日の根岸S(G3)でコスタノヴァが初重賞勝利をあげると、2月19日の雲取賞(Jpn3)ではジャナドリアが優勝。フェブラリーS(G1)の前日となる22日には、へデントールがダイヤモンドS(G3)で初重賞制覇を果たすと、同日のサウジカップデーに行われたレッドシーターフハンデキャップ(G2)では、ビザンチンドリームが、昨年のきさらぎ賞(G3)以来の勝利。B-5厩舎の育成馬が国内外の重賞で立て続けに勝利をあげたのだ。
「昨年末のホープフルS(G1)(クロワデュノール)と年明けの中山金杯(G3)(アルナシーム)も勝ってくれただけでなく、重賞でも活躍を見せています。ここまで育成馬たちが活躍してくれているのは嬉しさもありますが、自分の身に何か悪いことがあるのではないかと思い、常に何かいいことをしなければと思っています」と笑顔を見せるのは、これらの育成馬を手掛けた、ノーザンファーム空港の佐々木淳吏厩舎長。コスタノヴァは根岸S(G3)での初重賞勝利から、一気にG1ウィナーとなったわけだが、中2週でのローテーションはデビュー以来初めてであり、その期間は木村厩舎で管理が行われていった。
「脚元が疲れやすい馬だからこそ、十分な感覚を取ってレースを使ってきた経緯もあります。根岸S(G3)も速い時計での決着となっただけに、そのケアをしながら、しかもG1に向けて抜かりの無い調整も必要とされます。木村先生や厩舎の皆さんも大変だったと思いますが、それでも攻めの姿勢を持ちながら、しっかりと仕上げてくれたことが、この結果に繋がったのでしょう」(佐々木淳吏厩舎長)
前走で騎乗していた横山武史騎手がエンペラーワケアに騎乗しただけでなく、それまでの主戦だったC.ルメール騎手もサウジカップデーに遠征したことで、なかなか決まらなかった鞍上は、レースの4日前にR.キング騎手と発表された。しかも、R.キング騎手も21日には、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われた、「インターナショナルジョッキーズチャレンジ」に騎乗しており、帰国後の23日に東京競馬場で10鞍に騎乗するというハードスケジュールともなった。
「様々な選択肢はあったと思いますが、その中で最も勝てる騎手として、R.キング騎手に白羽の矢が立ったのだと思います。R.キング騎手は木村先生ともコスタノヴァについて話を聞いていたそうですし、サウジでもC.ルメール騎手からアドバイスを受けていたとのことですが、その研究心が騎乗にも表れたと思います」
フェブラリーS(G1)当日はTV観戦となった佐々木淳吏厩舎長であったが根岸S(G3)よりもマイナス2kgの馬体は、より研ぎ澄まされたような印象を受けていた。
「向こうでパドックを見ていたスタッフからは、ちょっと馬体が寂しく映りますとの連絡も来ていましたが、これはG1に向けて陣営がしっかりと攻めてくれた姿だと思っていましたし、ここまでの仕上げをしてもらって、それでも負けたのならば仕方ないと思っていました」
ミトノオーがハナを切り、こちらも先行力には定評があるサンデーファンデーやウィリアムバローズも前のポジションでレースを進めていく中、コスタノヴァはその後ろからレースを進めていく。
「芝スタートということもあってか、ちょっと置かれ気味にはなりましたが、元々ピッチ走法の馬であり、これまでのレースを見ても、そこまでスタートは良くなかったです。ただ、そこからポジションを上げていくのは、R.キング騎手と陣営が考えていたプラン通りだったと言えますし、その後の折り合いの付け方を見ても、さすが世界のトップジョッキーだと思いました」
逃げ、先行馬が揃ったレースは、淀みのないまま最後の直線を迎えていく。残り2ハロン手前で馬場の真ん中に進路を取ったコスタノヴァは、そこからR.キング騎手のゴーサインに答えて加速を開始。残り300m過ぎで先頭に立つと、最内から脚を伸ばしてきたサンライズジパングも振り切っての優勝。これで東京競馬場のダートコースでは6戦6勝という、コース巧者らしい快勝を果たした。
「早いタイミングで仕掛けてしまうと、一気にトップギアまで上がってしまうタイプだったので、仕掛けどころがポイントになると思っていましたが、R.キング騎手の騎乗からはギリギリまで待てる余裕が感じられました。R.キング騎手の好騎乗、木村厩舎の最高の仕上げ、そしてコスタノヴァの強さと、全てが揃ったレースになったと思います」
佐々木淳吏厩舎長が手掛けた育成馬でのフェブラリーS(G1)優勝は、2017年のゴールドドリーム以来となる。そのゴールドドリームもフェブラリーS(G1)での初G1制覇を皮切りに、一気にダート界のトップホースとなったが、コスタノヴァにもゴールドドリームに続くような活躍が期待される。
「ゴールドドリームも種牡馬として活躍を見せてくれていますし、ゴールドドリームの産駒かつ、育成馬でもあるジャナドリアが雲取賞(Jpn3)を勝ってくれた時には、喜びもひとしおでした。コスタノヴァも木村先生から『種馬にしたい』との言葉が聞かれていますが、更に多くのG1レースを勝って、その評価を高めてもらいたいです」
毎週のようにビッグレースが行われている春のG1戦線だが、B-5厩舎の育成馬では、大阪杯(G1)のアルナシームだけでなく、皐月賞(G1)にはクロワデュノール、そして、天皇賞(春)(G1)にはヘデントールも出走を予定している。
地方競馬に目を移しても、ダート三冠競走の羽田盃(Jpn1)にはジャナドリアが出走を控えており、そして、コスタノヴァもかしわ記念(Jpn1)の出走を目標とすることが、所有する社台グループオーナーズの公式サイトで発表された。4月以降のG1戦線でも、B-5厩舎の育成馬たちが競馬界を沸かせてくれそうだ。