2025年02月09日 東京新聞杯 G3
優勝馬:ウォーターリヒト
プロフィール
- 生年月日
- 2021年03月24日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:13戦4勝
- 総収得賞金
- 139,900,000円
- 母 (母父)
- ウォーターピオニー by ヴィクトワールピサ
- 馬主
- 山岡 正人
- 生産者
- 伏木田牧場 (荻伏)
- 調教師
- 河内 洋
- 騎手
- 菅原 明良
安田記念(G1)を頂点とする上半期のマイル路線に位置する第75回東京新聞杯(G3)が、2月9日東京競馬場芝1,600mを舞台に行われ、菅原明良騎手騎乗の3番人気ウォーターリヒトが最後の瞬発力争いを制して1分32秒6(良)で優勝した。
管理する河内洋調教師のJRA重賞勝利は2018年平安S(G3)(優勝馬サンライズソア)以来で通算7勝目。菅原明良騎手のJRA重賞勝利は昨年のセントウルS(G2)(同トウシンマカオ)に続くもので通算12勝目となった。
ウォーターリヒトの生まれ故郷は浦河町の伏木田牧場。その創業は明治35年。創業120年を超える歴史ある牧場だ。その長い歴史の中で天皇賞(秋)、有馬記念に勝ったヤマトキヨウダイや桜花賞(G1)3着、オークス(G1)3着のミスタテガミ、桜花賞(G1)2着ウォーターナビレラなどを送り出している。
同牧場で6代目当主となる伏木田修代表は「当日はウォーターリヒトが東京新聞杯(G3)に、半妹のウォーターガーベラが京都競馬場のきさらぎ賞(G3)に出走していました。2頭とも山岡正人オーナーの所有馬です。山岡正人オーナーはずいぶんと悩まれていましたが、関西在住ということできさらぎ賞(G3)に、私は東京競馬場で応援させてもらうことになりました」と、どこか申し訳なさそうに頭をかいた。
しかし、Dコースを使用していた当日の東京競馬場は馬場状態の良いインコースを通った先行馬が止まらず、追い込みを武器とするウォーターリヒトにとっては有利とは言えない条件。それでも伏木田修代表は「パドックで馬を見たら素晴らしい状態でした。京都金杯(G3)のときもそう思いましたが、それ以上。これでダメなら仕方ない」と考えたそうだ。「見ていたのはゴール前200m付近のスタンドでした。ぐんぐん加速していくのが確認できましたので、もう声を出しっぱなし。おかげで声が枯れてしまいました。東京競馬場の直線は馬にとってはありがたいけど、長い」と最高の笑顔を見せてくれた。
実は、伏木田修代表は東京の大学卒業後、「10年とか15年、一般の企業で経験を積んだのちに牧場を継ぐつもり」と考えていたそうだ。しかし、大学3年生の春にアグネスフライトが勝った日本ダービー(G1)を東京競馬場で見たことで人生設計が一変する。「多くの人に感動を与える、あんな舞台に自分の生産馬を送り出したい」。その場から北海道の両親に電話をかけて、自分の気持ちを伝えたそうだ。昨年秋に公開されたNAR公式チャンネルでも、その気持ちを打ち明けている。
それから四半世紀の時間が流れ「(アグネスフライトに騎乗していた)河内厩舎の馬で、(当時、2着エアシャカールに騎乗していた)武豊騎手騎乗馬を外から差し切った。映画や小説でもこんなシーンはないと思います。出来すぎですね」と白い歯を見せた。
そんなウォーターリヒトの牧場時代は「母ウォーターピオニーにとって初仔ですが、馬格に恵まれ、自分の中では自信がある馬でした。ただ、まだ産駒デビュー前のドレフォン産駒ということもあって、これほどの瞬発力を備えるとは思いませんでした」と話してくれた。
「初心を思い出させてくれた馬と、そんな馬を育ててくれた牧場スタッフには感謝の気持ちしかありません。これ以上何も望むことはありませんが、出来る事であれば、今度はオーナーと一緒にこの景色を見たいです」と次の目標に向かっている。