2025年01月13日 シンザン記念 G3
優勝馬:リラエンブレム
プロフィール
- 生年月日
- 2022年03月27日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:2戦2勝
- 総収得賞金
- 48,795,000円
- 父
- キズナ
- 母 (母父)
- デルフィニアⅡ(IRE) by Galileo(IRE)
- 馬主
- (株) Gリビエール・レーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 武 幸四郎
- 騎手
- 浜中 俊
昨年、キャリア初の総合リーディングサイアーとなったキズナだが、年が変わってもその勢いは衰えることを知らない。
昨年の2歳サイアーランキングでも首位となったキズナであるが、好調を持続している明け3歳世代のリラエンブレムがシンザン記念(G3)を優勝。キズナ産駒としてはこの世代、4頭目の重賞勝馬となった。
育成を手掛けたのはノーザンファームの山内厩舎。リラエンブレムは2022年のノーザンファームミックスセールにて、7,920万円(税込)で落札されているように、血統、馬体と幼少期から高い評価を受けていた。
「入厩時からいい馬とは思っていましたが、まだ馬体が成長して、力強さが出て欲しいと思っていただけでなく、本格的な調教を始めてからも、緩さが抜けきらずにいました」とは昨年の夏から育成主任として、複数の育成厩舎を管轄している山内大輔調教主任。この3歳世代が厩舎長として手掛けた最後の育成馬ともなる。
2歳を迎えてから馬体の良化は見込めた一方で、緩さは残り続けていたものの、順調に乗り込めていたこともあり、ゲート試験を受けさせるために函館競馬場へと移動する。
この時期の競走馬は輸送といった環境の変化だけでなく、ゲート試験も刺激となって、心身ともに一変するというが、リラエンブレムもこれを契機として「いいスイッチ」が入るようになった。
ゲート試験を合格して、牧場へと戻ってきたリラエンブレムは、緩さの中に柔軟さも兼ね備えるようになっていた。札幌開催でのデビューも目されたものの、更なる良化を見越してノーザンファームしがらきで調整されると、調教を重ねながら更に評価を上げていく。
「武幸四郎 厩舎に移動してからも、高い評価を受けていただけでなく、武幸四郎先生も『初戦から勝ち負けの競馬になる』と話していました」(山内大輔調教主任)
1番人気で迎えたメイクデビュー京都。そこでリラエンブレムは先行しながら、速い上がりで抜け出すという安定感溢れるレース内容で、2着馬に1馬身半差をつけての快勝を果たす。
「馬体の成長も含めて、牧場にいた頃の姿からすると想像以上のレースを見せてくれました。その頃から本当に強い馬なのではと思うようになりました」
次走は年明けのシンザン記念(G3)。そこでリラエンブレムは強さに加えて、管理する武幸四郎調教師がレース後に残したコメントにもあるように、『脚が速い』というセールスポイントを遺憾なく披露する。
ゲートが開くとスタート良く飛び出すも、浜中騎手はなだめるようにしながら、中団で折り合いをつけていく。横一線となった最後の直線では、進路を見つけるとそこから一気に加速。昨年のサウジアラビアRC(G3)の勝馬である、アルテヴェローチェとの叩き合いを制すると、そこから更に加速を続けていく。結果はアルテヴェローチェに2馬身半差をつけての勝利。強さと速さを持ち合わせた馬であることを、この一戦で証明した。
「冬場の中京競馬場は力のいる馬場になっていただけに、まだ緩さが残っているこの馬には不向きでは無いかとの不安はありました。道中も折り合いの難しさをのぞかせていただけに、勝ちきるまではどうかなとも思いましたが、直線で突き抜けた走りを見た時には、本当に強い馬なんだと確信しました」
これでデビュー戦からマイル戦で2戦2勝。武幸四郎調教師は、「距離の融通は利くだけでなく、キャリアも浅い分だけに、まだ奥のある馬」と話すが、山内大輔調教主任もまた、その可能性は未知数だと語る。
「マイルだけでなく、今後の成長でそれからの距離も対応できるようだと、更に楽しみが広がってきます。ここで賞金を得たことで、今後のレース選択や調整が馬本位で進められるのは大きいと思いますし、いい状態で出走できたのならば、どんな条件でもいいレースができると思います」
キズナ産駒のジャスティンミラノは昨年の皐月賞(G1)を優勝。また、山内厩舎で育成されたシックスペンスも、3歳時にスプリングS(G2)を優勝して、日本ダービー(G1)にも出走を果たしている。未知の魅力を秘めたリラエンブレムの今後が楽しみでならない。