重賞ウィナーレポート

2024年12月28日 ホープフルS G1

2024年12月28日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クロワデュノール

プロフィール

生年月日
2022年03月21日 02歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:3戦3勝
総収得賞金
116,789,000円
キタサンブラック
母 (母父)
ライジングクロス(GB)  by  Cape Cross(IRE)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
斉藤 崇史
騎手
北村 友一

 2024年の総合リーディングサイアーランキングで、初のトップ10入りを果たしたキタサンブラック。初年度産駒からイクイノックスに代表される、数々の活躍馬を送りだすも、繋養4年目までは決して産駒数は多いとは言えず、過去最少となった2020年世代の54頭に続き、2021年世代も血統登録頭数は70頭にとどまっている。

 だが、この世代もキタサンブラック産駒の当たり年といった活躍を見せており、サトノカルナバルが函館2歳S(G3)を優勝し、産駒初の2歳重賞かつ、芝のスプリントでの初重賞制覇も飾った。

 そしてクロワデュノールは東京スポーツ杯2歳S(G2)で初重賞制覇を飾ると、このホープフルS(G1)も優勝。これはキタサンブラック産駒としては初めての2歳G1制覇ともなった。

 種牡馬キタサンブラックの評価を高めるに当たって、重要な枠割を果たしたのが、騎乗育成を手掛けたノーザンファーム空港の佐々木淳吏厩舎長。その佐々木淳吏厩舎長はホープフルS(G1)のレース当日、同じく騎乗育成を手掛けたシャフリヤールが、社台スタリオンステーションでスタッド入りをするに当たって、その晴れ姿を見ていた。

 「自分たちが手掛けてきた育成馬が、種牡馬になってくれるのは感慨もひとしおです。レースも見に行きたかったのですが、厩舎スタッフとの忘年会も予定していたので、みんなで喜びを分かち合いたいとも思いました」

 結果としてその忘年会は、G1祝勝会へとグレードアップされることになる。歓喜の瞬間もまた、佐々木淳吏厩舎長は厩舎スタッフだけでなく、同じノーザンファームの仲間たちとも同じ場所で見届けることとなった。

 「この日は同じ育成グループの3厩舎から巣立った育成馬も、ホープフルS(G1)に出走していました。だったら、みんなでレースを見ようと休憩室に集まりました」

 前走の東京スポーツ杯2歳S(G2)は、新馬戦よりプラス24kgでの出走となったものの、ホープフルS(G1)ではその時よりマイナス8kgとなる496kgの馬体重出の出走。その馬体は佐々木淳吏厩舎長にも研ぎ澄まされたように見えた。

 「前走が余裕残しの状態だったように見受けられましたが、中間の調教を含めた仕上げ的にも、ここがメイチの勝負なのかなと思っていました」

 ファンもまた、特別な仕上げをしてきたクロワデュノールに対して、1番人気かつ、単勝1.8倍という圧倒的な人気に支持していく。そのレースぶりもまた、人気に応えるというのか堂々たる横綱相撲となった。

 1,000m通過は61秒4という比較的ゆったりとした流れとなった中、道中は外目に進路を向けたクロワデュノールは、中団でポジションをキープする。ゆったりとした流れに業を煮やしたファウストラーゼンが、後方から一気にハナを奪っていった際にも動じることはなかった。

 「頭数が揃っただけに、いいポジションでレースを進めたかったと思いますが、北村友一騎手もごちゃごちゃしない位置に馬を導いてくれました。こちらにいた頃から賢い馬だっただけに、後ろから交わされていった時にも自分の走りが崩れることが無かったのだと思います」

 最後の直線では前を行くファウストラーゼンとジュンアサヒソラを射程圏内に置くと、そこからのゴーサインで一気に加速。年末の荒れた中山競馬場の馬場でもスピードは落ちることなく、その勢いのままにゴール板を駆け抜けていった。

 「タフなレースは得意な馬だとも思っていました。それは北村友一騎手も分かっていたと思いますし、いいポジションを取りながら、残り4ハロンぐらいから動き出していくというこの馬らしいレースができたと思います。それだけに操縦性の高い馬を作り上げてくれた、斉藤崇史厩舎や、ノーザンファーム天栄のスタッフ。そして馬を理解して、自信を持って騎乗してくれた、北村友一騎手には感謝するしかありません」

 レース後の休憩室は、おめでとう!との言葉で溢れかえった。ホープフルS(G1)に出走した、ノーザンファーム空港育成馬たちとは、2025年のクラシックでもライバル関係は続いていくことになるが、その中でもクロワデュノールが抜けた存在となったのは間違いない。

 「他の馬たちもまだまだ強くなっていくのと同じように、クロワデュノールもまだまだ成長の余地を残しています。自分の手元から巣立ってかなりの時間が経っているだけに、ファンの皆さんと同じように、無事を祈るだけしかできませんが、2025年のクラシックでは怪我無く、健康体で駆け抜けてもらいたいです」

 活躍馬が増えてくるにつれて、種牡馬となる産駒も増えていくキタサンブラック産駒であるが、クロワデュノールも2歳G1を勝った時点でその道が切り開かれた印象がある。

 「自分や育成スタッフたちの思いが詰まった育成馬が種牡馬となり、その産駒を手掛けられるのは、この仕事ならではの喜びでもあり、面白さでもあります。シャフリヤールもそうですが、次から次と楽しみな馬たちが出てきてくれるのは有難いことですし、クロワデュノールもそれに続くような活躍を見せてもらいたいです」

 まだ3歳を迎えたばかりのクロワデュノールに対して、種牡馬入りの話をするのは早すぎるのだろうが、数年後には幾つものG1タイトルを携えた後、佐々木淳吏厩舎長が迎える中でスタッドインを迎えてもらおう。