重賞ウィナーレポート

2024年12月22日 有馬記念 G1

2024年12月22日 中山競馬場 晴 良 芝 2500m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レガレイラ

プロフィール

生年月日
2021年04月12日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:8戦3勝
総収得賞金
634,381,000円
スワーヴリチャード
母 (母父)
ロカ  by  ハービンジャー(GB)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
戸崎 圭太

 1960年のスターロツチ以来、3歳牝馬としては実に64年ぶりの有馬記念(G1)制覇。競馬ファンだけでなく、このレースだけは馬券を購入するという人たちも注目する、ドリームレースの覇者となったのがレガレイラだった。

 「ホープフルS(G1)(牝馬による牡馬混合の2歳G1制覇は1980年のテンモン以来43年ぶり)の後も凄いことをやったなと思いました。今回は有馬記念(G1)だけに、ニュースでも大きく取り上げられてるので、意識はしなくとも、やはり目にはしてしまいますよね」 とは厩舎長時代に育成を担当したノーザンファーム早来の佐藤洋輔調教主任。2023年はまさに牝馬離れした走りを披露しただけに、2024年は更なる活躍も期待されたレガレイラではあったが、3歳初戦となる皐月賞(G1)から、前走のエリザベス女王杯(G1)まで勝ち鞍をあげられずにいた。

 「見ていても本領が発揮できないというのか、歯がゆいレースが続いていました。それは管理をされていた木村哲也先生や、ノーザンファーム天栄のスタッフたちには、更に悔しい思いだったかと思います」

 佐藤洋輔厩舎長はレガレイラが調整されていた時期に、ノーザンファーム天栄へと研修で出向いていたこともある。

 「その時は歩いている姿や立っている姿を見ても、状態面の不安はまるで感じられなかったどころか、むしろ順調に来ているようにも見受けられました。天栄のスタッフからも勝たせようとの思いが伝わってきていましたし、それは木村哲也先生や厩舎の皆さんも同じ気持ちだったと思います」

 待ちに待った歓喜の瞬間が訪れる機会は、確実に迫ってきていた。枠順が重要とされる有馬記念(G1)の公開抽選会では、4枠8番という絶好のポジションをゲットする。

 「くじを引いてくれた長澤まさみさんに、いいところをお願いしますと祈っていたのですが、その思いが実りました(笑)。レース前に戸崎圭太騎手が言っていたことですが、引っかからない馬だけに、スタートさえ決まれば、そこから前に出していっても折り合いはつく枠順だとも思いました」

 1番人気はこの年の菊花賞馬となったアーバンシックであり、2番人気は日本ダービー馬のダノンデサイル。同世代の牡馬クラシックホース2頭が人気を分け合う中で、レガレイラは5番人気の支持を集めていた。

 ゲートが開くと、そこからレースの主導権を握っていったのはダノンデサイル。1,000m通過ラップは62秒9と、かなりゆったりとした流れとなった。中団に付けたレガレイラは、淡々としたペースに身をゆだねるようにレースを進めていくと、馬群が凝縮した第3コーナー過ぎからは、逃げたダノンデサイルの後ろに進路を向けていく。

 「4コーナーを回ってくる時には、『まだ行くな、まだ行くな。絶対前が開くから!』と画面の向こうの戸崎圭太騎手に呼びかけていました(笑)。この有馬記念(G1)もそうですが、ほぼ全てのレースで上がり最速の末脚を使っていただけに、あとはその脚を使いどころだけだと思っていました」

 佐藤洋輔調教主任の思いが届いたのか、最後の直線で空いたスペースに戸崎圭太騎手はレガレイラを誘導する。その時に馬を合わせてきたのが、大外枠の不利も跳ねのけて、外から捲るように伸びてきたシャフリヤール。2頭は鼻面を合わせながらゴール前の急坂を駆け上がると、その勢いのままにゴール板を目指していく。だが、ハナ差だけ先に抜け出していたのはレガレイラだった。

 「こちらにいた頃は勝負根性というよりも、自分を強く持っている馬という印象がありました。それがゴール前での負けん気の強さになったのかもしれません」

 2頭の着差は僅か16cm。その差は64年ぶりの快挙となった。

 「3歳牝馬としては64年ぶりの快挙となりますが、有馬記念(G1)はノーザンファームで生産された牝馬としてはげんのいいレースでもあります。その意味では、育成馬として仲間入りを果たせたのも嬉しかったです」

 激戦の影響もあったのか、レース後には右前脚球節部の剥離骨折が判明。年内には骨片摘出手術を行った。

 「全治も3か月ほどと聞いていますし、春には復帰できそうです。2025年はどんな活躍をしてくれるか楽しみでなりませんが、その中ではまだ達成されていない快挙を果たしてもらいたいですね」

 2年続けて記録にその名を残したレガレイラだが、ファンにとってこの有馬記念(G1)は記憶に残るレースだったとも言える。2025年は記憶にも記録にも残るレースを、幾つも見せてもらおう。