2024年12月08日 阪神ジュベナイルフィリーズ G1
優勝馬:アルマヴェローチェ
プロフィール
- 生年月日
- 2022年02月15日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:3戦2勝
- 総収得賞金
- 85,600,000円
- 母 (母父)
- ラクアミ by ダイワメジャー
- 馬主
- 大野 照旺
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 上村 洋行
- 騎手
- 岩田 望来
種牡馬生活の晩年を迎えていながらも、ハービンジャーはその活力に衰えが見られていない。
一昨年は産駒が重賞8勝をあげていただけでなく、昨年の重賞4勝は全てG1勝利(JG1を含む)。そして、種牡馬入りしてから11シーズン目に配合したアルマヴェローチェが、2024年の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を優勝した。
「イヤリングから来た時から高い評価を受けていました。初めて坂路に入れた時のキャンターからも背中の良さが伝わってきましたし、将来性の高さも感じられました」とはノーザンファーム空港の佐藤信乃介厩舎長。その評価の高さに加えて、佐藤信乃介厩舎長はアルマヴェローチェの距離適性の幅も感じ取っていた。
「背中を大きく使った走りができていただけでなく、折り合いの不安も無くて乗りやすい馬でした。その頃はマイルよりもまだ長い条件が合っているのではと思っていました」
2歳の4月上旬には管理先となる上村洋行厩舎に入厩すると、すぐにゲート試験に合格。その後はノーザンファーム空港へと戻って、デビューの態勢を整えられることとなった。
「上村先生からは、もう少し足りないところがあるので乗り込んでほしいと言われました。その頃には馬の状態を見ながら札幌開催でのデビューも目されていたのですが、順調に調教を進められたこともあって、デビューの運びとなりました」
8月4日のメイクデビュー札幌に出走したアルマヴェローチェは、積極的にレースの主導権を奪っていくと、そのまま逃げ切り勝ちを果たす。続く札幌2歳S(G3)は中団からのレースとなったが、第4コーナーではインを付いて先頭へと躍り出る。最後の直線では勝ったマジックサンズにハナ差交わされたものの、上がり3ハロンのタイムはメンバー中最速を記録した。
「札幌2歳S(G3)は牡馬が相手でも勝負になるなと思っていました。荒れた馬場も苦にせずに走ってくれましたし、あの結果を見て、改めて能力のある馬だと確信しました」
その札幌2歳S(G3)から約3か月ぶりのレースとなった阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)。中間の調整を行ってきたノーザンファームしがらきから送られてくるレポートや、上村洋行厩舎に入厩してからの調教内容もポジティブな言葉が多く書かれていた。
「それだけに初めてのマイル戦をどうこなしてくれるかが、課題になると思っていました。新馬戦は逃げ切る形となりましたが、札幌2歳S(G3)は思ったよりも後ろからのレースになっています。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)は流れが速くなりがちであり、他頭数のレースで後ろからとなると、前を捉えきれないのではとも思いました」
レース当日、佐藤信乃介厩舎長は京都競馬場に出向いていた。このレースで1番人気を背負ったブラウンラチェットも育成馬であり、5枠10番からの発走。一方、アルマヴェローチェは6枠12番と外目の枠を引いていた。
アルマヴェローチェは札幌2歳S(G3)と同様に中団からレースを進めていき、ブラウンラチェットはその後ろに待機していく。前半の3ハロンは34秒2となったが、その速い流れの中でも、アルマヴェローチェの折り合いはしっかりと付いていた。
最後の直線で馬群がバラバラになる中、人気のブラウンラチェットは馬体減の影響もあったのか、馬群の中で伸びあぐんでしまう。そんな中を大外に進路を向けたアルマヴェローチェはゴールに向けてグングンと伸びていくと、同じように伸びてきたビップデイジーに1馬身1/4差をつけての快勝。この世代の2歳牝馬の頂点に上り詰めた。
「育成スタッフ時代に騎乗してきたメジャーエンブレムが勝った時も、競馬場で応援することができたので、今回ももしかしたら…との思いはありました。それにしても強いレースだったと思います」
年明けに発表されたJRA賞の最優秀2歳牝馬でも、満票にあと1票となる255票を集めて受賞。改めてこの世代の代表馬として認められたアルマヴェローチェだが、今年の目標は牝馬クラシック制覇となる。
「桜花賞(G1)に向けてマイルをこなしてくれたのは大きいと思いますし、まだ距離があった方が安定した走りもできるはずです。それだけにまずは無事に怪我無く、3歳シーズンを迎えてもらいたいです」
佐藤信乃介厩舎長が騎乗育成を手掛けた牝馬で、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を優勝し、その次の年には牝馬三冠を制したのがリバティアイランドとなる。2歳時にその先輩と同じタイトルを取ったアルマヴェローチェもまた、ここから無敗の牝馬三冠ロードが始まろうとしている。