重賞ウィナーレポート

2024年11月23日 R-NIKKEI杯京都2歳S G3

2024年11月23日 京都競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エリキング

プロフィール

生年月日
2022年02月12日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:3戦3勝
総収得賞金
56,620,000円
キズナ
母 (母父)
ヤングスター(AUS)  by  High Chaparral(IRE)
馬主
藤田 晋
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
中内田 充正
騎手
川田 将雅

 JRA-VANのサイトで行われている「POG'24」。その競走馬指名者ランキングで、2位となっているのがエリキングだった。

 父は今年のリーディングサイアーで首位となっているキズナ、母のヤングスターはオーストラリアのG1である、BRCクイーンズランドオークス(G1)の勝ち馬という良血馬。エリキング自身も「セレクトセール2023」の1歳セッションに上場されると、2億3,100万円(税込)という高い評価を受ける。

 デビュー前から注目が集まる中、エリキングは1歳の秋にイヤリング厩舎から、ノーザンファーム早来の野崎厩舎へと移動。そこで乗り慣らしを行った野崎孝仁厩舎長は、エリキングの高い競走能力を感じ取っていた。

 「背中の使い方が物凄くいい馬でした。調教コースに入れてみても、乗り役の時計を狂わすかのようなストライドの大きさがありました」(野崎孝仁厩舎長)

 春先のPOG(ペーパーオーナーゲーム)取材でも、エリキングは大きく取り上げられる存在となっていたが、その時、野崎孝仁厩舎長は、「これまで手掛けてきた育成馬の中でも、トップクラスの能力を持った馬だと思います」と最上級に近い評価を送っていた。

 「ストライドの大きさだけでなく、心肺能力の高さも感じられていました。調教も一番早い組で進められていたように、何のトラブルも無く。3月の終わりには本州へと送り出すことができました」

 6月のメイクデビュー京都、続く野路菊Sともに、単勝1倍台という圧倒的な人気に応えての勝利。そのデビュー戦では馬なりで馬群の外から4コーナーを迎えると、そのまま捲り切っての勝利。野路菊Sでは早め先頭から、最後は叩き合いを制しての優勝と、異なったレーススタイルを見せた。

 「デビュー戦が大人びたレースとなりました。野路菊Sは川田騎手の「軽い反抗期」とのコメントにもあったように、気難しさを見せてしまいましたが、それでも勝ちきってくれたあたりに、能力の高さが感じられました」

 8頭立てで行われたR-NIKKEI杯京都2歳S(G3)ではあったが、エリキングは当然のように1番人気の支持を集めていく。小頭数のレースらしく、比較的ゆったりとした流れとなる中、エリキングは中団を追走。ただ、勝負どころの4コーナーを迎えても、川田騎手のアクションに馬の動きが連動してこなかった。

 「レースを見ていても、思ったより動きが渋いな、と思いました。それでも、最後の脚色を見た時に、やっぱり持っているものが違う馬だと思いました」

 直線に入ってからも伸びあぐねていたエレキングであったが、残り1ハロンを過ぎてから一気に加速。ゴールでは2着のジョバンニに1馬身1/4差を付けていた。

 この時、野崎孝仁厩舎長はノーザンファーム天栄に出向いており、馬体チェックの合間にスマホでレースの映像を見ていた。

 「ゴール前は力も入りましたが、それでも騒ぐわけにはいきませんでした(笑)。課題点は色々と見つかったレースとはなりましたが、それでも勝ちきってくれたことは大きかったです」

 レース後、エリキングは右第1指骨の剥離骨折が判明。3か月以上の休養を要することとなった。ただ、賞金面でのクラシック出走はほぼクリアしているだけに、その時は心身ともに更に成長した姿を見せて欲しい。