2024年11月24日 ジャパンC G1
優勝馬:ドウデュース
プロフィール
- 生年月日
- 2019年05月07日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:13戦8勝
- 総収得賞金
- 1,753,479,000円
- 父
- ハーツクライ
- 母 (母父)
- ダストアンドダイヤモンズ(USA) by Vindication(USA)
- 馬主
- (株) キーファーズ
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 武 豊
11月24日、秋晴れの東京競馬場のパドック。詰めかけた7万9,720人のファンの視線は、圧倒的な一番人気を集めたドウデュースに注がれていた。
驚異的な追い込みを見せた天皇賞(秋)(G1)から、中3週のレースにも関わらず、馬体重はその時よりプラス6kgの510kg。まさに「天高く馬肥える秋」との言葉がピッタリとくる、グッドコンディションの馬体。それはデビュー前から管理を行ってきた、ノーザンファーム空港の木村純一厩舎長からしても、申し分のない状態に見受けられた。
「自分が育成馬のレースの応援に行くと、なぜか雨が振っていたのですが、今回は天気も味方をしてくれました。天皇賞(秋)(G1)よりも状態はいいと大江祐輔助手から聞いた時には信じられない思いもしましたが、パドックを周回する姿を見て、その言葉に納得しました」(木村純一厩舎長)
中間のドウデュースの調整を見ると、馬体の維持を目的ではなく、ここに向けて十分に調教メニューを消化されているのが分かる。しかも、栗東からの輸送を挟んでのプラス6kgは、ドウデュースが競走馬として充実期を迎えた証でもあった。
今年のジャパンC(G1)は国際色豊かなレースとなった。その中でも話題を集めていたのが、ディープインパクトのラストクロップとして、イギリスとアイルランドのダービーを含め、G16勝をあげていたオーギュストロダン。フランスからもキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1)の勝ち馬となったゴリアット、ドイツからもバーデン大賞(G1)の勝ち馬である、ファンタスティックムーンが参戦してきたからだ。
日本馬も今年の秋華賞(G1)を制したチェルヴィニア、昨年の天皇賞(春)(G1)を勝ったジャスティンパレスに、昨年の菊花賞馬のドゥレッツァと、各世代のトップホースが名を連ねていた。
どの馬がレースの主導権を握るかにも注目が集まる中、先手を奪っていったのは、前走、凱旋門賞(G1)に出走していたシンエンペラー。1,000m通過を前にドゥレッツァが先頭に立つも、それでも通過タイムは62秒2と、かなりのスローペースでレースは流れていく。
「1,000m通過の時計が出る前から明らかに遅い流れだと思っていました。ラップを見た時には、天皇賞(秋)(G1)よりも遅いペースであり、このまま前の馬が残ってしまうのではないかとも思いました」
この時、ドウデュースは鞍上の武豊騎手が手綱を引っ張るようにしながら、最後方を進んでいた。ただ、3コーナー過ぎからポジションを上げていくと、馬群が凝縮した最後の直線では馬群の外に進路を向けていた。
「武豊騎手とドウデュースの息が合っていたというのか、まさに人馬一体となった動き出しでした。天皇賞(秋)(G1)よりも仕掛けるタイミングが早いようにも見受けられましたが、4コーナーを回ってきた時の脚色が違っていたので、このまま差し切れると思いました」
残り1ハロンから前を行くドゥレッツァとの叩き合いを制すると、インコースを付いてきたシンエンペラーの追い込みも封じ込む。前々でレースを運んでいた2頭よりも、長くいい脚を使っていたにも関わらず、先にゴール板に飛び込んだのはドウデュースだった。
「着差からすると、あの仕掛けがギリギリのタイミングだったのかもしれません。それでも勝ってくれたドウデュースは本当に強い馬だと思いますし、最高の騎乗を見せてくれた武豊騎手には感謝しかありません」
興奮冷めやらぬまま、口取り式に向かった木村純一厩舎長であるが、芝コースから見た、東京競馬場のスタンドはまさに絶景だった。
「返し馬で大きな歓声が聞こえた時には、ドウデュースは多くのファンの方に支持されている馬だと改めて思いました。ファンの皆さんにドウデュースの強い姿と、レース後には晴れ姿を見ていただき、その口取り式に並ばせてもらった時には、この仕事をやってきて本当に良かったと思いました」
レース後には関係者から有馬記念(G1)への出走が正式に表明。秋の古馬三冠完全制覇となれば、2004年のゼンノロブロイ以来、史上3頭目の快挙となる。
ただ、ファンはその快挙を信じてやまないのか、先日、投票結果が発表された有馬記念(G1)のファン投票でも、ドウデュースは史上最多となる47万8,415票を集めて1位に選出された。
「これだけの方々から応援していただいているのは、ドウデュースに関わってきた者として感謝しかありません。昨年勝っているレースであるだけでなく、ドウデュース自身もここにきて父であるハーツクライの遺伝が現れたのか、競走馬として完成を迎えた印象があります。今回がラストランとなりますが、ファンの皆さんの期待に答えるようなレースを見せてもらいたいです」
競馬ファンだけでなく、今や年末の国民的行事ともなった感もある有馬記念(G1)。武豊騎手を鞍上にして、1番人気の支持も集めそうなドウデュースが主役を務めるのは間違いない。