2024年11月09日 武蔵野S G3
優勝馬:エンペラーワケア
プロフィール
- 生年月日
- 2020年05月02日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦7勝
- 総収得賞金
- 167,381,000円
- 父
- ロードカナロア
- 母 (母父)
- カラズマッチポイント(USA) by Curlin(USA)
- 馬主
- 草間 庸文
- 生産者
- 下河辺牧場 (門別)
- 調教師
- 杉山 晴紀
- 騎手
- 川田 将雅
優勝馬には12月1日に中京競馬場で行われるチャンピオンズC (G1)への優先出走権が付与される第29回東京中日スポーツ杯武蔵野S(G3)が11月9日、東京競馬場ダート1,600m戦で行われ、川田将雅騎手騎乗の1番人気エンペラーワケアがゴール前で狭いところを割って出て優勝。初めて経験するダート1,600mの距離にもしっかりと対応し、今年1月の根岸S(G3)に続いて重賞2勝目、通算成績を10戦7勝2着2回とした。
エンペラーワケアの生まれ故郷は日高町の下河辺牧場。1933年創業という歴史ある牧場で、現在は生産から育成、調教までを行う総合牧場だ。2023年は創業以来最多となるJRA90勝をあげ、ブリーダーズランキングはノーザンファーム、社台ファームに続く3位となっている。同牧場の重賞勝利は9月の新潟記念(G3)(優勝馬シンリョクカ)に続くもので今年4勝目となった。
「武蔵野S (G3)は、当牧場にとりましては昨年のドライスタウトに続いて2年連続の優勝となりました。嬉しいです」と声を弾ませたのは、下河辺牧場で主に育成部門を統括する下河辺隆行取締役社長だ。
「最後の直線で大きな不利を受けましたが、馬が心折れることなく頑張ってくれました。育成時代から、多少の事には動じることのない強いメンタルの持ち主でした」と牧場時代を思い出しながら「レース後に川田騎手も言っていたようですが、普通の馬ならあれだけの不利なら怯んでしまって競馬を止めてしまっていたことでしょう。あそこから盛り返してくれたエンペラーワケアの姿には感動しました。本当によく頑張ってくれました。また1,600mという距離で勝ってくれたのは、来年以降に向けて大きな意味があると思います」と言葉を続けた。
そんな歓喜の瞬間は羽田空港に備えられていたモニターで確認したそうだ。「デルマー競馬場でブリーダーズカップを観戦したあと、キーンランドの繁殖セールに足を運んでの帰国当日でした」と話してくれた。セールには父親である下河辺俊行会長と実兄の行雄代表取締役社長も参加し、親子水入らずで迎えた歓喜の瞬間だった。
また、この勝利は現5歳世代から牧場改革に乗り出した同牧場にとっては感慨深い1勝になったそうだ、「牧場の調教施設と調教方法を大きく変更したのはドライスタウトの世代からでした。牧場にとってはまさに“大改革”。坂路を延長して、バークからウッドチップに替えました。また日々の調教での馬への負荷も以前より強くしました。スタッフも馬もこの変革に“葛藤”や“戸惑い”もあって、変化に慣れるまで時間を要しました。実際、いろいろ苦労も多くて大変でした。でも牧場一丸となってこれに耐えて、武蔵野S (G3)連覇を達成できたので我々にとって大きな自信になりました。牧場スタッフの苦労と努力が報われて本当に嬉しいです」と安堵感と満足感が入り混じった表情で話してくれた。