重賞ウィナーレポート

2024年11月02日 京王杯2歳S G2

2024年11月02日 東京競馬場 小雨 稍重 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:パンジャタワー

プロフィール

生年月日
2022年02月21日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
45,690,000円
タワーオブロンドン
母 (母父)
クラークスデール  by  ヴィクトワールピサ
馬主
深澤 朝房
生産者
チャンピオンズファーム (新ひだ)
調教師
橋口 慎介
騎手
松山 弘平
  • パンジャタワー当歳時(牧場提供)
    パンジャタワー当歳時(牧場提供)

 朝日杯フューチュリティS(G1)への重要なステップレース「第60回京王杯2歳S(G2)」が11月2日、東京競馬場芝1,400mで行われ、前半は折り合いに専念するように中団待機していた松山弘平騎手騎乗の8番人気パンジャタワーが、大外から長く良い脚をつかって追い込み、出走メンバー最速の上がりタイム(推定)で、2着馬との競り合いをクビ差制して優勝。デビュー2戦目での重賞制覇を成し遂げた。勝ちタイムは1分21秒2。

 チャンピオンズファームは2000年創業。北海道新ひだか町と、千歳市、そして滋賀県の大津市に3つの牧場を構え、生産から育成、調教、休養までを行っており、その歴史の中で2017年京都ハイジャンプ(JG2)優勝マドリードカフェや、2023年ユニコーンS(G3)優勝ペリエールなどを送り出している。現在、繁殖牝馬およそ100頭。近年、馬産地は日本人の労働力不足が問題となっており、チャンピオンズファームも例外ではなく、日本人ほかインド人やフィリピン人などの手を借りながら、生産活動を行っている。

 この日、おもに生産部門を受け持つ新ひだか町静内豊畑チャンピオンズファームの静内豊畑の幌村場長は、苦楽をともにしたスタッフとともに牧場テレビの前でレースを見守っていたそうだ。「生産牧場として初のJRA2歳重賞勝利になりました」と声を弾ませ、「新馬戦は出遅れながらも最後は良い脚を使って1番人気に応えてくれましたが、今回は相手も強く、人気にもなっておりませんでした(8番人気)ので、まさか勝ってくれるとは思ってもみませんでした。スタッフとテレビ観戦していましたが、本当にびっくりして興奮してしまいました(笑)。幼いころから、コロっとした体形の馬でしたので、おそらくマイルあたりがちょうど良いのかもしれません」と、してやったりの表情で喜びを表現した。

 母のクラークスデールは2019年ノーザンファーム繁殖牝馬セール取引馬。「クラークスデール自身は未出走馬なのですが、日本ダービー馬ロジユニヴァースの全妹という血統に惚れ込んで購入しました。パンジャタワーはこの母馬の2番目の仔なのです」と白い歯を見せた。

 牧場時代は「この年は、60頭ほど生産しましたが、その中でパンジャタワーは病気もせず、おとなしい仔馬で、良い意味であまり印象に残らないような馬でした」というが「あるとき怪我をして治療したとき、普通の馬なら痛がって暴れるところも平然としていました。その時は、“メンタルが強いなあ”とスタッフと一緒に驚いたのをよく覚えています」と言う。今回のレースは、レース直前に暗雲が立ち込め突然の大雨。そんな気候条件を全く意に介さず、堂々と自分の競馬で勝利をつかみ取ったパンジャタワーを牧場時代の面影と重ねた。

 パンジャタワーの同期生には早くも日本ダービー(G1)候補と呼び声の高いピコチャンブラック(父キタサンブラック)もいる。「パンジャタワーの次走は朝日杯フューチュリティS(G1)と聞いていますが、ピコチャンブラックは距離が長いほうが向いているようです。この2頭で来年のクラシックに行ってくれたら生産者冥利につきますね」と笑顔を広げている。