重賞ウィナーレポート

2024年11月03日 みやこS G3

2024年11月03日 京都競馬場 晴 重 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サンライズジパング

プロフィール

生年月日
2021年03月16日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:11戦4勝
総収得賞金
149,308,000円
キズナ
母 (母父)
サイマー(IRE)  by  Zoffany(IRE)
馬主
(株) ライフハウス
生産者
追分ファーム (安平)
調教師
音無 秀孝
騎手
鮫島 克駿
  • チャンピオンズC(G1)には、サンライズジパングに加えて、ガイアフォースも出走する
    チャンピオンズC(G1)には、サンライズジパングに加えて、ガイアフォースも出走する
  • 先日の降雪で、放牧地は雪に覆われた
    先日の降雪で、放牧地は雪に覆われた

 今年のナ・リーグMVPを満票で受賞した、ドジャースの大谷翔平選手。リーグMVPは昨年、ア・リーグのエンゼルスでも受賞しており、 両リーグ受賞は58年ぶり2人目。しかもDH専門の選手では、史上初の快挙ともなった。

 今年は右肘手術のリハビリもあって、打者に専念した大谷翔平選手であるが、パワーを必要とされるホームラン王に加えて、スピードが求められる盗塁王も獲得と、打者に専念しても「二刀流」のトッププレイヤーであることを証明してみせた。

 その活躍を競馬界に置き換えるとするのなら、スピード能力の高さで芝の若駒Sを優勝。そして、ダートの不来方賞(Jpn2)に続き、みやこS(G3)もパワー溢れる走りで制してみせた、サンライズジパングと重なってくる気がしてくる。

 追分ファームで誕生したサンライズジパングの騎乗育成を行ったのは、同じ安平町内にある追分ファームリリーバレーとなる。乗り慣らしから管理を行ってきた平沼敏幸厩舎長は、「体高があって華奢だったこともありますが、身体のラインが物凄く綺麗な馬でした。それだけに当時はダートというよりも、芝向きの馬といった印象がありました」と話す。本格的な騎乗調教に入ると、調教で目立った動きを見せていくようになり、トップスピードに乗せていくと、それを持続させるような走りを見せていった。

 「速い時計を出すために、ゴーサインを出していくのですが、その際に引っかかるような素振りをまるで見せることはなかったです。折り合いの不安も無かったので、距離は問わないと思っていましたが、長い距離の方が更に安定して走れるのではと思っていました」(平沼敏幸厩舎長)

 2歳6月のメイクデビュー東京では芝1,800mの条件を使ったサンライズジパングであったが、そこで4着に敗れると、その3か月後の2歳未勝利戦ではダート1,800mに矛先を向ける。そこでは2着に4馬身差をつけての快勝。ダート適性の高さを改めて証明する形ともなった。

 その勝ちっぷりの良さが評価される形で臨んだ、JBC2歳優駿(Jpn3)では勝ったフォーエバーヤングから0秒3差の2着に入着。その後のカトレアSで15着に敗れると、陣営は再び芝のレースを選択し、年末のホープフルS(G1)へと出走する。

 「新馬戦を見た時に、スピードに乗れていない印象もあっただけに、ダートの選択肢はあるとは思っていました。ただ、JBC2歳優駿(Jpn3)で2着に来たのは驚きましたし、ホープフルS(G1)でも3着に入った時には、改めて適性はどちらなのかと思うようになりました」

 芝とダートの双方におけるサンライズジパングの好走例を見ると、先行してスピードに乗り、そのまま押し切るようなレースを見せた場合だった。だが、3歳初戦となる若駒Sでは、メンバー中上がり最速の末脚を使い、逃げ馬を差し切っての勝利。ここで芝適性の高さを証明してみせたサンライズジパングは、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)とクラシック三冠戦線へと挑んでいく。

 「芝でも十分にやれると思っていたのですが、やはり芝の重賞で勝ち負けをしてきた馬たちとは適性の違いが出てしまったのかもしれません。日本ダービー(G1)の後で牧場に戻ってきたのですが、まずは疲れを取ってからレース選択をしていこうという流れになりました」

 2週間程リフレッシュさせてから、乗り出しを開始すると、気の良さもあってか一気に心身ともに右肩上がりの仕上がりを見せるようになった。

 「7月に入った頃に次走が不来方賞(Jpn2)に決まりました。その後は札幌競馬場に移動してからレースに臨む形となったのですが、いい状態で送り出せただけでなく、強い勝ち方を見せてくれたと思います」

 不来方賞(Jpn2)ではゴール手前で逃げ馬を捕らえきり、3馬身差をつけての快勝。2歳ダート三冠の最終戦となるジャパンダートクラシック(Jpn1)では、フォーエバーヤングに先着を許して3着に敗れるも、唯一の3歳馬として臨んだみやこS(G3)では、ダート重賞の常連となっていた古馬を退けての勝利。改めて3歳世代のレベルの高さも証明する形となった。

 「レースはテレビで見ていましたが、手応えからは考えられない程の伸びを見せていました。音無厩舎の助手さんからも『G1を取れる馬』と言ってもらえたので、ここもチャンスだと思いながら応援します」

 平沼敏幸厩舎長がチャンスだと話すのが、12月1日に行われるチャンピオンズC(G1)。ここで勝利をあげた暁には、リーグMVPではなく、今年の最優秀ダート馬のタイトルも見えてきそうだ。