重賞ウィナーレポート

2024年10月20日 菊花賞 G1

2024年10月20日 京都競馬場 晴 良 芝 3000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アーバンシック

プロフィール

生年月日
2021年03月16日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:7戦4勝
総収得賞金
350,448,000円
スワーヴリチャード
母 (母父)
エッジースタイル  by  ハービンジャー(GB)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
武井 亮
騎手
C.ルメール
  • 隣接する牡馬の育成厩舎
    隣接する牡馬の育成厩舎
  • 10月は芝の平地重賞を、全てノーザンファーム生産馬が勝利した
    10月は芝の平地重賞を、全てノーザンファーム生産馬が勝利した

 セントライト記念(G2)での初重賞制覇から約1か月。三冠クラシックの最終戦となる菊花賞(G1)に出走したアーバンシックは、春のクラシック戦線を沸かせてきた馬たちを退けて、第85代の菊花賞馬となった。

 「前走(セントライト記念(G2))からローテーションが詰まっていたので、状態面に注目しながらスマホの画面でパドックを見ていました。ただ、パドックを周回する姿は実に堂々としており、ノーザンファーム天栄ではしっかりと疲れを取ってくれただけでなく、武井厩舎でもきっちりと仕上げてくれたと思えました」とは育成を手掛けた、ノーザンファーム早来の石井宇宙厩舎長。申し分ない状態でレースに臨んできたアーバンシックであったが、そこに「鬼に金棒」とも言える心強い味方となったのが、前走に引き続き手綱を取った、ルメール騎手でもあった。

 「セントライト記念(G2)の時にも上手く乗ってもらえたと思いましたが、この菊花賞(G1)では激しい主導権争いが行われていた中でも、冷静な騎乗で、アーバンシックの末脚を引き出してもらいました」(石井宇宙厩舎長)

 ゲートが開くとエコロヴァルツがレースの主導権を奪いに行くが、1週目のスタンド前ではメイショウタバルが、そして2週目の向こう正面ではピースワンデュックが先頭に躍り出る。その激しい流れの中で鞍上のルメール騎手は、アーバンシックを巧みに操り続けた。

 「ペースに応じてポジションの上げ下げを行っていた時には、さすがルメール騎手だと思いました。育成時の印象からしても、決して乗りやすい馬では無いと思いますが、前走のセントライト記念(G2)で掴んでくれた部分もあったのでしょう」

 最後の直線、先に抜け出したのはアドマイヤテラだったが、それを目標としたかのように、アーバンシックは一気に加速していく。並ぶ間もなく交わしていくと、後ろから追い込んできたヘデントールの追い込みも難なく退けての勝利。

 結果は2馬身半差の快勝となったように、牡馬クラシック三冠の中で「最も強い馬が勝つ」と言われる菊花賞(G1)で、まさに力の違いを見せつけた。

 「スマホでレースを見ていたのは、所用があって出先にいたからでした。声を出さないようにとは思っていましたが、さすがにゴール前では「行け!」との言葉が出ていたと思います」

 その後、レース映像が切り替わったかと思うと、祝福の電話やメール、そしてLINEの通知がスマホに続々と届き始めた。

 「信じられない程の通知が来ました。厩舎スタッフだった頃には何頭かのG1馬に携わってはきましたが、厩舎長を任せてもらってからのG1勝ちはまた格別な思いがありますし、ゴールの瞬間は少しだけ目が潤みました」

 厩舎としての今年の目標が「重賞馬を送りだす」だったが、それを更に更新してのG1制覇。次走はまだ未定であるが、今後はG1戦線を沸かしていくのだけは間違いない。

 「次にG1に出る時には、競馬場へ応援に行きたいです。そこでも強い姿を見せてくれたら最高ですね」と笑顔で話す石井宇宙厩舎長。3歳世代の新星となった感もあるアーバンシックが、今後、古馬を相手に幾つのG1タイトルを獲得していくのかが楽しみでならない。