重賞ウィナーレポート

2024年09月07日 紫苑S G2

2024年09月07日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クリスマスパレード

プロフィール

生年月日
2021年03月29日 03歳
性別/毛色
牝/青鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
96,334,000円
キタサンブラック
母 (母父)
ミスエリカ(USA)  by  Blame(USA)
馬主
(株) G1レーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
加藤 士津八
騎手
石川 裕紀人
  • 育成厩舎としては、ラヴェルに続く重賞馬となった
    育成厩舎としては、ラヴェルに続く重賞馬となった
  • スタッフも笑顔で出迎えてくれた
    スタッフも笑顔で出迎えてくれた

 イクイノックスを始めとして、幾多の重賞馬を送りだしてきたキタサンブラックであるが、ノーザンファーム早来の大谷渡厩舎長は、その中でラヴェル(アルテミスS(G3))、クリスマスパレード(紫苑S(G2))と2頭の重賞馬の管理を行ってきた。

 「ラヴェルもクリスマスパレードも、育成時から元気の良さが目立っていました。クリスマスパレードは母のミスエリカも育成スタッフだった頃に携わった馬となりますが、その母は気性が前向きだったので、クリスマスパレードも乗り慣らしから慎重に進めてきました」(大谷渡厩舎長)

 乗り慣らしの頃から緩さを感じていたクリスマスパレードではあったが、それでも調教では目立った動きを見せるようになっていく。

 「坂路も楽に駆け上がってくるような、身体能力の高さも感じさせていくようになりました。その後は順調さを欠いた時期もありましたが、それでも初戦からいいレースをしてくれるのではとの期待はありました」

 12月のメイクデビュー中山を勝利したクリスマスパレードは、年明けの水仙賞で2勝目をあげる。

 「初戦と2戦目のレースを見ていて、キタサンブラック産駒らしく、しっかりと前で競馬ができていて、直線でもばてない走りができていると思いました。レースセンスも物凄く良かっただけに、フローラS(G2)でも権利を取ってくれないかと期待をしていました」

 だが、フローラS(G2)は外枠からの発走となったのも影響したのか、4着となってオークス(G1)出走を逃してしまう。その後は初のダート戦となった関東オークス(Jpn2)へと出走。戸惑いもあったのか9着に敗れると、その後はノーザンファーム天栄で秋に向けて鋭気を養っていく。

 「中間の調整はレポートに目を通していましたが、順調に来ているとの確認ができました。紫苑S(G2)は新馬戦、水仙賞と2度勝っている条件だったので、いいレースは出来るだろうと思っていました」

 だが、クリスマスパレードは「いいレース」どころか、「強くて速いレース」をこの紫苑S(G2)で見せていく。この日の中山競馬場の芝コースでは好タイムが続出していたが、逃げたイゾラフェリーチェを前に置きながらレースを進めていくと、最後の直線では先頭へと躍り出る。

 後続馬も迫ってくる中、中山の急坂を登り終えても、そのスピードには陰りは見られない。結果はミアネーロをクビ差振り切っての勝利。しかも勝ち時計の1分56秒6は、中山競馬場の従来のコースレコード(ジャスティンミラノの1分57秒1)を0秒5も更新してみせた。

 「残り3ハロンで加速していったラップを見て、凄い馬だと思いました。レースは携帯で見ていたのですが、ゴール前でテレビで見ていた知り合いから電話が入って、その時に『勝ったのだな』と思いました」

 携帯と地上波のタイムラグがもたらした、先取りの喜びの声ともなったわけだが、それをいち早く伝えたいと知り合いの方も思えたように、この紫苑S(G2)におけるクリスマスパレードの勝ち方は実に鮮やかでもあった。

 「元々高い能力を持っていた馬だったのでしょうが、そこに気性の成長も相成って、これだけのレースができているのだと思います。秋華賞(G1)も楽しみですが、今後、心身ともに更に成長してくれると思うだけに、来年以降にも繋がるレースとなりました」

 まずは残り1冠をかけた秋華賞(G1)を目指していくこととなるが、イクイノックスの活躍にも証明されたように、本格化したキタサンブラック産駒は手に負えないような活躍を見せていく。秋華賞(G1)でも他を寄せ付けないようなタイムで勝利した暁には、幾つものG1タイトルを手にする名牝ともなっていきそうだ。