2024年08月31日 札幌2歳S G3
優勝馬:マジックサンズ
プロフィール
- 生年月日
- 2022年03月25日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:2戦2勝
- 総収得賞金
- 38,641,000円
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 須貝 尚介
- 騎手
- 佐々木 大輔
今やクラシックに直結するレースとなった感もある札幌2歳S(G3)であるが、来年のクラシック候補と呼べるようなスケールのあるレースを見せたのは、ノーザンファーム生産馬のマジックサンズとなった。
育成を手掛けたのはノーザンファーム空港の高見優也厩舎長。これまでも数多くのクラシックホースや、重賞馬を送り出した凄腕厩舎長の元から、また名馬誕生を予感させる。
「乗り慣らしの頃から大人しく、若いスタッフでも背中に乗ったことがあるような馬でした。その頃から操縦性も高かったので、距離もあった方がいいタイプだと思っていました」(高見優也厩舎長)
気性面では幼さものぞかせていたが、それも調教を重ねていく中で解消されていった。
「本当に良くなるのはまだ先だと思っていましたが、それを差し引いても順調さが勝っていたので、早期移動を目指して更に調教を進めていきました」
7月のメイクデビュー函館を1番人気に答えて勝利したマジックサンズは、その後、ノーザンファーム空港に戻ってきて調教が行われていく。
「レースを使ったこともあるのか、いい意味でのオンとオフの切り替えができるようになっていました。ここでは8月上旬まで調整を行ってきましたが、当初から札幌2歳S(G3)を目標に据えていましたし、先生とも『出るからには勝ちたいですね』と話していました」
調整も上手く進んだことを証明するかのように、前走からマイナス2kgでマジックサンズは札幌2歳S(G3)へと臨んでいく。そのパドックには高見優也厩舎長の姿もあった。
「新馬戦とは違って落ち着いて周回できていただけでなく、どこか堂々としているようにも見えました」
まさに万全の状態でレースへと臨んだマジックサンズは中団からレースを進めていくと、3コーナー過ぎから一気に捲っていき、最後の直線では先頭へと躍り出る。
「ゴール前では声も出ました。それだけに勝ってくれた時は物凄く嬉しかったです。2歳の重賞は決して多くは無いですし、しかもレースの直前まで調整を任せてもらえた馬の重賞勝利は格別でした」
この勝利を含めて、今年、北海道開催では14勝をあげてリーディングトレーナーとなった須貝調教師であるが、そのうちの9勝が高見優也厩舎長の元で管理がされてきた馬となる。
「これも先生と上手くコミュニケーションを取りながら、調教を進めて来られたことが大きいと思います。先生や厩舎スタッフの皆さんには感謝しかありません」
レース後、マジックサンズはノーザンファーム空港へと戻ってきて調整が行われている。
「レースを使ったダメージも無く、順調に調整を行っています。この勝利で距離適性を証明できたのは大きいですね。今後はゆとりのあるローテーションを組んでいけるだけに、先生と相談しながらいい時期に厩舎に送り出したいと思います」
ちなみにマジックサンズは、長きに渡って高見厩舎長が管理を行ってきたC1厩舎の育成馬としては、最後の世代の管理馬ともなる。
「送り出すときはC1厩舎で、戻ってきた時はB6厩舎となりましたが、C1厩舎を知る最後の馬として、大きいところを勝ってくれたらと思っています」と高見厩舎長。過去の名馬たちと同じ環境で育てられてきたマジックサンズは、その先輩たちの後を追いかけていくだけでなく、いつしか追い越すような活躍を見せるのかもしれない。