重賞ウィナーレポート

2024年09月01日 新潟記念 G3

2024年09月01日 新潟競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シンリョクカ

プロフィール

生年月日
2020年01月24日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:10戦2勝
総収得賞金
121,388,000円
サトノダイヤモンド
母 (母父)
レイカーラ  by  キングカメハメハ
馬主
由井 健太郎
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
竹内 正洋
騎手
木幡 初也

 サマー2000シリーズの最終戦「第60回農林水産省賞典新潟記念(G3)」はJRAで初めての暑熱対策開催が実施され、JRA初の雷雨予報による競走取り止め(8月25日)があった第3回新潟開催8日目となる9月1日に良馬場の芝2,000mハンデ戦で行われた。本命と目されていたライトバックが馬場入場後に放馬し競走除外となるアクシデントがあり11頭立てとなったこのレース、勝ったのは4歳牝馬シンリョクカ(父サトノダイヤモンド、母レイカーラ)。生産者は日高町の下河辺牧場。同馬は阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)2着、オークス(G1)5着という実績がありながらもまだ1勝馬。加えて、前走の福島牝馬S(G3)では転倒し競走中止となっていたことから単勝オッズ26倍の8番人気だったが、陣営が馬を立て直し、木幡初也騎手、竹内正洋調教師、馬主の由井健太郎氏にとって全員JRA重賞競走初勝利という記念すべき日となり、下河辺牧場のJRA重賞制覇は4月のマイラーズC(G2)(優勝馬ソウルラッシュ)に次ぐもので、今年3勝目となった。

 下河辺牧場は、1933年(昭和8年)に浦河町に開設。1966年(昭和41年)から日高町での生産をスタートさせ、現在は生産から育成、調教までを行う総合牧場だ。

 総面積は130ha。120頭の繁殖牝馬を繋養し、年間の生産頭数は80頭前後。その歴史の中で2003年の三冠牝馬スティルインラブや2013年の桜花賞馬アユサン、2017年の菊花賞馬キセキなどを送り、昨年は開場以来最多となるJRA年間90勝を達成。その結果、ブリーダーズランキングは総合、そしてJRA部門で、ノーザンファーム、社台ファームに次ぐ第3位となっている。

 下河辺行雄代表取締役社長は「当日は牧場からテレビ観戦でした。前走のアクシデントから陣営がよく立て直してくれたと思います。画面越しでも馬はたいへん良く見えましたし、木幡初也騎手も本当に巧く導いてくれたと思います」とレースを振り返り「騎手、調教師、馬主の方々にとっての重賞初勝利が当牧場生産馬というのは、生産者として嬉しいです」と白い歯を見せた。

 シンリョクカの母レイカーラも下河辺牧場の生産馬。英国のタタソールズ社の繁殖セールで購入したカーラパワーの第6仔となる。「父(下河辺俊行会長)とカーリアン産駒の上がり馬に注目していました。カーラパワーは、アガ・カーン殿下の所有馬で、カーリアン産駒の割にはすらっとした体形で素軽い動きをしていたのが印象に残っています」と思い出しながら「ちょうどその頃、弟(下河辺隆行取締役社長)が愛国ジョン・オックス厩舎でアガ・カーン殿下所有馬シンダーの調教を担当していました。その後シンダーは英国ダービー(G1)を勝ちましたので、殿下の所有馬だったカーラパワーにはシンダーを配合して、日本に輸入したのです」というエピソードを披露してくれた。そして下河辺牧場で繁殖牝馬生活をスタートさせたカーラパワーは、マイルチャンピオンシップ(G1)優勝のダノンシャーク、オープン特別時代のターコイズSを勝ったレイカーラなどを送り一大ファミリーを築き上げる。

 「シンリョクカは、漢字だと〝心力歌〟と書きます。実は馬主の由井氏と私の父、そして私も同じ大学の卒業生なのですが、その校歌の一節にある言葉なのです。そういう縁もあって由井オーナーとはお付き合いいただいております。次走は11月エリザベス女王杯(G1)を予定していると聞きます。ぜひ頑張って欲しいですね」と期待に胸を膨らませている。