重賞ウィナーレポート

2024年07月07日 プロキオンS G3

2024年07月07日 小倉競馬場 曇 良 ダ 1700m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヤマニンウルス

プロフィール

生年月日
2020年05月21日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦5勝
総収得賞金
83,461,000円
ジャスタウェイ
母 (母父)
ヤマニンパピオネ  by  スウェプトオーヴァーボード(USA)
馬主
土井 肇
生産者
錦岡牧場 (新冠)
調教師
斉藤 崇史
騎手
武 豊

 JRA開催日割の変更に伴い、7月7日に小倉競馬場ダート1,700mで行われた第29回プロキオンS(G3)は新冠町錦岡牧場生産で武豊騎手騎乗の1番人気ヤマニンウルス(牡4、栗東・斉藤崇史厩舎)が好位追走からまくり気味に直線に向かって先頭にたつと後続馬の追撃を涼しい顔で突き離しにかかり、後続に3馬身差をつけて優勝。2歳8月のデビュー戦から無傷5連勝で重賞競走初制覇を遂げた。

 この日、ヤマニンウルスの馬体重は584kg。これは、奇しくも昨年のプロキオンS(G3)でドンフランキーが記録した594kgには及ばないが、2019年マーチS(G3)に勝ったサトノティターンの572kgを抜き、JRA重賞勝利馬としては2番目の記録となった。〝ウルス〟とは仏語で熊を意味する言葉。新冠生まれの巨大なヒグマが北九州で大きな勲章を手に入れた。

 武豊騎手のJRA重賞勝利は今年の青葉賞(G2)(優勝馬シュガークン)以来の重賞勝利で通算361勝目。斉藤崇史調教師にとっては、昨年の本レース以来のJRA重賞勝利で通算19勝目となった。

 錦岡牧場は1955年に苫小牧市で創業。その後、広い土地を求めて1979年に現在の新冠町に移転した。かつては1972年天皇賞(秋)に勝ち、同年の最優秀4歳以上牡馬に選ばれたヤマニンウエーブを送り、1990年代には1992,1993年の安田記念(G1)、1993年の天皇賞(秋)(G1)を制して最優秀4歳以上牡馬、同スプリンター、同父内国産馬のトリプルタイトルに輝いたヤマニンゼファーを送り、近年では昨年の中日新聞杯(G3)、今年の新潟大賞典(G3)を勝ったヤマニンサルバムなどを送る老舗牧場で、生産から育成、後期育成までを一貫して行っている。

 「ゴールした瞬間は信じられない気持ちでした」と嬉しそうに話してくれたのは入社5年目でヤマニンウルスの育成を担当していた和田大地さん。小倉競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会うことが出来たという。

 高校馬術部で腕を磨き、前代表と親交があったことから大学進学後も夏休みなどを利用して同牧場で馬に乗っていたという和田さんは、大学卒業後1度は就職したものの馬の背が忘れられずに育成スタッフとして入社したという。

 「パドックでみたヤマニンウルスは育成時代とは見違えるほどに成長していました」。文字通り〝馬体に実が入っていた〟という印象を受けたという。

 牧場時代のヤマニンウルスについては「1歳秋の終わりころからトラックコースで騎乗育成を始めました。当時は身体が薄くて、まだ後躯(とも)も緩かったですが、跳びが大きく背中も柔らかい。フットワークのバランスが良かった馬でした」と話してくれた。錦岡牧場の騎乗者は和田さんを含めて4名いるそうだが、誰もが声を揃えて「オープン位まではいくはず」という逸材だったという。

 だから、536kgという雄大な馬体でデビュー戦を大差レコード勝ちしたときは「デビュー戦は牧場からの応援でしたが、ニュースになるほどの大差勝ち。今回と同じくらいに嬉しかったです」と相好を崩した。

 「今回、ヤマニンウルスは精神的にも大人びたように見えました。大きな馬なので間隔をあけながら大事に使われているようですが、もっともっと大きなレースも勝ってくれると思います」と期待している。