2024年04月21日 佐賀ヴィーナスC(GDJ)
優勝馬:アンティキティラ
プロフィール
- 生年月日
- 2019年04月14日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:42戦11勝
- 総収得賞金
- 60,864,000円
- 母 (母父)
- ネオヴァシュラン by エンパイアメーカー(USA)
- 馬主
- 組)志士十二組合
- 生産者
- 下河辺牧場 (門別)
- 調教師
- 別府 真司
- 騎手
- 多田羅 誠也
『グランダム・ジャパン2024』古馬春シーズンの第6戦「佐賀ヴィーナスカップ(佐賀)」を制したのは、高知から遠征してきた3番人気アンティキティラ。多田羅誠也騎手が出ムチを入れて3番手につけると、3コーナー過ぎには早くも先頭に立ち、クリノメガミエースの追い上げを1馬身封じて4度目の重賞制覇を飾った。
アンティキティラの生まれ故郷は、日高町福満に居を構える下河辺牧場。1966年に開場し、2003年に三冠牝馬となったスティルインラブや、2017年の菊花賞馬キセキなど、数多くの名馬を送り出してきた名門牧場だ。現役馬では、マイル重賞3勝のソウルラッシュ、5歳になって交流重賞2勝と復活を遂げたJpn1馬ノットゥルノ、昨年夏から短距離交流重賞を3連勝したサンライズホークなどが重賞戦線を沸かせている。
「すごく強かったですね。よく伸びてきたし、いいレースだったと思います。ホッカイドウ競馬の出身馬は強いんだと再認識しました」と快勝劇を振り返るのは、同牧場の専務で育成・調教部門を担当する下河辺隆行さん。アンティキティラは2歳時にホッカイドウ競馬でデビューして3勝を挙げ、冬期間に門別開催が終了するタイミングで高知競馬に移籍。高知所属馬として重賞4勝を含む8勝を積み重ねてきた(2024年6月15日現在)。「ホッカイドウ競馬は2歳競馬を前面に押し出していますが、その門別出身の馬たちが各地で活躍してくれることがすごく嬉しいんです」と隆行さんは笑みを湛えた。
2022年6月、アンティキティラは高知優駿で5着したのち、下河辺牧場へ一度〝里帰り〟。故郷で2か月半近く滞在した。「うるさいところがあると聞いていたんですが、帰ってきたらすごくいい子でした。オンオフがしっかりできる馬なんでしょうね」と隆行さん。スイッチをうまく切り替えられることが、佐賀、園田、名古屋、大井など各地に遠征しても好結果を出す秘訣なのだろう。生まれつき右トモの寛骨が曲がっていて競走馬になれるかどうか心配したそうだが、ここまで43戦を消化。2022年は10戦、2023年は14戦とコンスタントに走りつづけるタフネスぶりに「別府さんがうまくやってくれているんでしょうね」と、隆行さんは管理する別府真司調教師に感謝する。
アンティキティラの母ネオヴァシュランは、昨年は父マテラスカイの牝馬、今年は父モズアスコットの牡馬を出産。同牧場の社長で繁殖部門を担当する下河辺行雄さんは「マテラスカイの牝馬は、栗毛でお父さんに似ていると思います。スピードが出るだろうなという感じで、小気味いい歩きをしますよ。モズアスコットの牡馬は、余裕があるというか、緩みがあるというか。ボリューム感、胴伸びはこちらの方がある感じ。そこはやっぱり(モズアスコットの父の)フランケルかな」と説明。ネオヴァシュランは、配合相手の長所を産駒に伝える繁殖牝馬のようだ。父を連想させる明るい栗毛のネオヴァシュラン2023は、夜間放牧をこなしながらすくすくと育っている。
ネオヴァシュランの産駒で、これまでに競走馬としてデビューできたのはアンティキティラ1頭のみ。「安定して子どもを出せていなかったのですが、去年、今年と非常にふっくらしていい子が生まれました。健康面や肢勢も非常にいいので、ようやく繁殖牝馬として安定してきたかなという感じです。その点、アンティキティラは決してパーフェクトではありませんでしたが、潜在能力があったからこれだけ活躍できているのでしょうね。去年と今年の産駒は非常にしっかりとしているので、これから花開くのが楽しみです」と行雄さんは期待を膨らませる。行雄さんが米国キーンランドのせりで手に入れたティルティングからオーパスワン、ピサノキャニオン、ネオヴァシュランと大切につないできた血統。下河辺牧場を支えてきた血脈の枝葉は、今後もさらに広がっていきそうだ。