2024年06月09日 エプソムC G3
優勝馬:レーベンスティール
プロフィール
- 生年月日
- 2020年03月08日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦4勝
- 総収得賞金
- 195,746,000円
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- 広富牧場 (門別)
- 調教師
- 田中 博康
- 騎手
- C.ルメール
春の東京開催を締めくくる古馬重賞「第41回エプソムカップ(G3)」が6月9日に東京競馬場で行われ、中団を進んだ日高町広富牧場生産で1番人気レーベンスティールが最後の直線で堂々と馬場の真ん中を突き抜けて、1分44秒7(良)で優勝した。手綱を取ったC.ルメール騎手は今年のオークス(G1)(優勝馬チェルヴィニア)に続くJRA重賞勝利で通算150勝目。管理する田中博康調教師は昨年のチャンピオンズカップ(G1)(優勝馬レモンポップ)以来のJRA重賞勝利で通算7勝目となった。
広富牧場は1973年(昭和48年)、現在代表を務める高橋裕子さんの亡夫で馬術選手としても活躍していた修さんによって設立された。現在は裕子さんの長女、三千代さんを中心に三人のスタッフで「人間と対話ができるような馬」を目標に、毎年10~15頭前後を生産している。
この日、高橋三千代さんは東京競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会う事ができたそうだが、例え1日とはいえ牧場を留守にするか、どうか前日の夜まで悩んでいたそうだ。
「実は、1週間前には生産馬2頭が東京競馬場の新馬戦に出走したのです。牧場にはまだ出産を控えている馬もおりましたし、妊娠鑑定を行わなければならない馬もいたので」と躊躇する高橋さんの背中を押したのは裕子代表だったという。
「日帰りなら」と決めて東京競馬場へと向かい、一般ファンに混じるようにパドックでレースを待ったというが、そこで聞こえてきたのは、気合を表に出して周回を重ねるレーベンスティールを心配する声だったという。
「馬の状態はとても良く見えました。パドックでイレ込むのは想定内でしたが、やはりレース前に消耗しすぎないかどうかは心配でした。そんなレーベンスティールを周囲のみんなが心配してくれていました。自分と同じ目線で馬を見てくれているということが嬉しかったですし、何だかたくさんのファンの方々から励まされているような気持ちになりました」と高橋さん。そんな高橋さんが何よりも心強かったのは、この馬を知る田中博康厩舎のスタッフだったという。
「2人引きでの周回中はなだめるわけでもなく、叱るわけでもなく『いつも通りだから、安心して大丈夫だよ』って無言のまま馬に語りかけているように淡々と馬を曳いていました。おかげで馬は安心したと思います」と感心しきり。
そしてジョッキーを乗せぬまま地下馬道に入ったあとは場内モニターで確認。「コースへと向かう途中でルメール騎手が騎乗したのが確認できました。実戦では初騎乗でしたが、ジョッキーを迎えて、馬がさらに安心して落ち着いたようにも見えました」と感謝の言葉を重ねた。
母トウカイライフのファミリーはテンションが上がりやすいところがあるというが、それは高い競走能力の裏返し。「あそこまでお膳立てしていただければ」と安心してゲートインの時間を迎えられたという。
「本当に大事にしてもらえて、嬉しい。生産者冥利に尽きます。これから、どのようなローテーションを歩むのかはわかりませんが、素晴らしいホースマンに囲まれてレーベンスティールは幸せ者です」と、穏やかな笑顔を広げている。