2024年03月05日 ブルーリボンマイル(GDJ)
優勝馬:グレースルビー
プロフィール
- 生年月日
- 2017年03月30日 07歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:37戦5勝
- 総収得賞金
- 62,212,000円
- 父
- ジャスタウェイ
- 母 (母父)
- アナバシュドチャーム(USA) by Silver Deputy(CAN)
- 馬主
- 菅原 広隆
- 生産者
- 森永牧場 (門別)
- 調教師
- 堀 千亜樹
- 騎手
- 達城 龍次
創設15年目となる世代別牝馬重賞シリーズ『グランダム・ジャパン(GDJ)』は、今年から古シーズが春と秋の2シーズン制となり、古馬春シーズンが2月7日のクイーン賞(Jpn3)からスタート。そして3戦目の「ブルーリボンマイル(笠松)」と4戦目の「若草所土古記念(名古屋)」を、大井からの遠征馬グレースルビー(牝7)が快勝。重賞2連勝をおさめ、GDJ古馬春シーズンのポイントトップに躍り出た。
グレースルビーの生まれ故郷は、日高町の森永牧場。2代目場主となる森永秀美さんと奥様の2人で、8頭の繁殖牝馬を管理する家族経営の牧場だ。過去の生産馬には、2010年の函館2歳ステークス(G3)を制したマジカルポケットや、2018年のマーメイドステークス(G3)に優勝したアンドリエッテなどがいる。
「グレースルビーはセレクトセールに上場したのですが、せりの直前に体調を崩してしまい、ギリギリで回復して何とか間に合ったという思い出がある馬なんです。落札していただいたオーナーは以前にも牧場へこの血統の馬を見に来られたことがあって、よほど気に入っていただいたのだと思います」と当歳時のエピソードを明かす。この血統は、森永さんがアメリカに出向いて繁殖セールで購入してきたアナバシュドチャームに遡る。「実は、他の繁殖牝馬数頭に目をつけてキーンランドまで行ったのですが、実馬を見るとイメージが違ったり、競り負けたりして最終日まで買えずにいたんです。そのまま諦めて帰ろうとしていたところ1頭気になる馬がいて、急に思い立って購入することにしました。これも何かの縁なのでしょうね」と繁殖導入の経緯についても話してくれた。
森永牧場へやってきたアナバシュドチャームは、その初年度にダイワメジャー、2年目にアグネスタキオン、3年目にキングカメハメハ、4年目からは3年つづけてディープインパクトを交配。そのラインナップを見ると、森永さんのアナバシュドチャームに対する期待の高さが窺える。そしてディープインパクトとの交配で生まれてきたアンドリエッテは、3歳時のチューリップ賞(G2)で2着して牝馬クラシックへ駒を進め、桜花賞(G1)6着、オークス(G1)5着。秋華賞(G1)でも勝ったミッキークイーンから0.3秒差の4着と好走し、6歳春のマーメイドステークス(G3)で重賞初制覇。現役引退後は生まれ故郷の森永牧場へ戻り、オーナーの預託馬として繁殖生活をつづけている。「アナバシュドチャームの仔はみんなおとなしくて扱いやすかったのですが、アンドリエッテだけは気が強くてやんちゃだったんですよ。ところが競走生活を終えて戻ってくると、すごくおとなしい馬になっていたんです。毎年元気な仔を産んでくれて、母馬としても優秀です」と、グレースルビーの半姉を紹介してくれた。
ジャスタウェイ産駒のグレースルビーは2歳10月にJRAでデビューし、3歳6月の7戦目で初勝利。4歳5月に2勝目を挙げたが、その後は2勝クラスをなかなか突破できず、6歳になって大井へ移籍。そして7歳となり、グランダム・ジャパン古馬春シーズンに照準を合わせてクイーン賞(Jpn3)で5着したのち、ブルーリボンマイル、若草賞土古記念を連勝。新設された古馬春シーズンの初代女王へ向け、視界は良好だ。「この血統は、奥手なのかもしれませんね。ダートの牝馬路線も強い馬がたくさんいますが、せっかく良い位置につけられているので頑張ってほしいと思います」とエールを送る森永さん。生まれたばかりの仔馬が放牧地を元気に駆けまわる日高の春、嬉しいニュースが家族経営の小さな牧場に届けられることを願う。