重賞ウィナーレポート

2024年04月27日 青葉賞 G2

2024年04月27日 東京競馬場 曇 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シュガークン

プロフィール

生年月日
2021年03月05日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:4戦3勝
総収得賞金
74,142,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
シュガーハート  by  サクラバクシンオー
馬主
辻子 依旦
生産者
ヤナガワ牧場 (門別)
調教師
清水 久詞
騎手
武 豊

 上位2着馬までに日本ダービー(G1)への優先出走権が付与される第31回テレビ東京杯青葉賞(G2)が4月27日、新緑の美しい東京競馬場芝2,400mで行われ、武豊騎手騎乗のシュガークン(父ドゥラメンテ、母シュガーハート)が優勝した。

 シュガークンの生まれ故郷は日高町のヤナガワ牧場。これまでキタサンブラックほかフェブラリーステークス(G1)連覇、JBCクラシック(Jpn1)連覇を遂げたJRA賞最優秀ダートホースのコパノリッキーはじめ、数えきれないほどの活躍馬を輩出してきた。

 JRA顕彰馬キタサンブラックの異父弟である同馬は単勝4.5の2番人気に支持されていた。兄同様ゲートは上手。パワーホールが逃げを打つなか、道中は内々5~6番手をすすみ、最後の直線400m過ぎで外に持ち出されると、2着馬をアタマ差抑えてデビュー4戦目で重賞初制覇を成し遂げた。

 手綱を取った武豊騎手はチューリップ賞(G2)(スウィープフィート)に続く重賞勝利で今年3勝目。管理する清水久詞調教師にとっては今年の中山牝馬S(G3)(コンクシェル)に続く重賞勝利で今年2勝目。ヤナガワ牧場にとっては23年小倉サマージャンプ(JG3)(テーオーソクラテス)以来の重賞勝利となり、“競馬の祭典”第91回日本ダービー(G1)への参戦権を得ることになった。ほぼ毎年のように重賞競走に勝利しているヤナガワ牧場とはいえ、生産馬を日本ダービー(G1)の舞台へと送り出すのは2015年(キタサンブラック)以来のこと。

 同牧場の梁川正晋代表はシュガークンの勝利について「日本ダービー(G1)は、牧場にとって夢の舞台。そこに行けることになり本当に嬉しいです。半兄キタサンブラックは日本ダービー(G1)では負けてしまっているので、弟には頑張って欲しいです」と白い歯を見せた。

 祖母のオトメゴコロは、梁川代表が大学を卒業後、修行の場として選んだノーザンファームの生産馬。縁あってヤナガワ牧場の土を踏み、サクラバクシンオーを配合して、偉大なる母シュガーハートが生まれている。シュガークンはシュガーハートの9番目の仔だ。

 「シュガーハートにはその年の最高の種牡馬を配合しようと、ドゥラメンテを配合しました」。いうまでもなく、兄キタサンブラックが出走した年の日本ダービー馬である。「それもありますが、ドゥラメンテの3代母でオークス馬ダイナカールは修業時代によく厩舎で見ていた馬です。その血がエアグルーヴへと繋ぎ、アドマイヤグルーヴ、そしてドゥラメンテと最高の形でこの血統を日本に遺した関係者への敬意と憧れとが、ドゥラメンテを選んだ理由です」と話してくれた。

 牧場時代のシュガークンは「馬格は普通サイズで気性も普通。病気も怪我もなく。良い意味であまり印象に残らないような健康優良児でした」という。

 「生まれてすぐにキタサンブラックでお世話になった清水調教師が牧場に来てくれました。先生はたいへん気に入った様子でした。“ぜひ自分の厩舎でやりたい”との熱意から、せりに出さずに清水先生にお任せすることにしました」という経緯を話してくれた。

 「今年は生産馬コパノリッキーの仔テーオーパスワードでケンタッキーダービー(G1)に出走(5着)することができました。それに加えて日本ダービー(G1)への参戦。日米ダービー(G1)を同一年に出走させられるなんて牧場にとっては夢のようです」と頬を紅潮させ「繁殖牝馬40頭規模の当牧場ですが生産馬の約半分は牝馬。また配合もダート向き、芝向き、短距離、中距離、長距離系とすると、日本ダービー(G1)向きの血統の馬なんていうのは年間で2頭も生産できればよい方です。ですから青葉賞(G2)を勝ったときは感無量というか言葉に表せない気持ちでした」と喜びを表現した。

 「育成牧場、武騎手、清水先生などかかわってくれたすべての方々に感謝したいです。キタサンブラックはたくさんのファンから愛された馬ですから、その弟が武騎手を背に日本ダービー(G1)へと無事に駒を進めることができれば、きっと喜んでくれる思います。そういった方々のためにも無事に、悔いのないようなレースをしてくれたら生産牧場としてこれ以上嬉しいことは無いですね」とエールを送っている。