2024年04月14日 皐月賞 G1
優勝馬:ジャスティンミラノ
プロフィール
- 生年月日
- 2021年04月09日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:3戦3勝
- 総収得賞金
- 403,069,000円
- 父
- キズナ
- 母 (母父)
- マーゴットディド(IRE) by Exceed And Excel(AUS)
- 馬主
- 三木 正浩
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 戸崎 圭太
最小キャリアタイ(2023年ソールオリエンス)となる、デビューから3戦目での皐月賞(G1)制覇。勝ち時計の1分57秒1はコースレコードでもあり、そして父のキズナにとっては牡馬では初めてのG1馬。
皐月賞馬となったジャスティンミラノは、様々な偉業を打ち立てたが、関係者にとっては1週前追い切りで調教を付けていながら、レース中の事故で4月10日に亡くなった、藤岡康太騎手の思いも背負ってのクラシック制覇ともなった。
「(藤岡)康太騎手が亡くなったことに際して、普段から厩舎の調教を頼んでいた友道調教師。そして、厩舎の調教助手や厩務員の方、そして鞍上を務めてくれた戸崎騎手など、ジャスティンミラノと康太騎手を知る誰もが、勝たなくてはいけないとの思いで臨んだレースだったと思います」とはジャスティンミラノの騎乗育成を行ってきた、ノーザンファーム空港の伊藤隆行厩舎長。皐月賞(G1)当日は中山競馬場に応援へと出向いていたが、藤岡康太騎手を含めた「チームジャスティンミラノ」が仕上げてきただけあって、申し分ない状態でこの舞台へと臨んできていた。
「パドックを見ていい状態だなと思った馬が、2着となったコスモキュランダでした。ジャスティンミラノは輸送を挟みながらプラス10kgの馬体で出走してきたように、この先を見越した仕上げでもあったとは思いますが、コスモキュランダは鞍上もモレイラ騎手だっただけに、どんな走りをするか気になっていました」(伊藤厩舎長)
関西馬であるジャスティンミラノだが、デビュー戦は東京で、初重賞制覇となった共同通信杯(G3)も東京でのレースである。コースだけでなく、輸送の問題もクリアしての皐月賞(G1)出走となった。
「デビュー戦で皐月賞(G1)と同条件のレースを経験していただけでなく、共同通信杯(G3)でも上がりで優秀な時計を記録していました。ただ、この2つのレースがいずれもスローペースであり、流れが速くなった時と、多頭数のレースとなった時でも、過去の2戦と同じようなパフォーマンスを残せるかが課題だと思っていました」
ゲートが開くと、馬群の中からメイショウタバルが抜け出していく。持ち味の先行力を活かすべく、他馬を引き離していった前半1,000通過のラップは57秒5と驚異的なハイペースとなった中、ジャスティンミラノは4,5番手からレースを進めていく。
「戸崎騎手がスタートを丁寧に出してくれました。ただ、モニターに1コーナーを回っていったメイショウタバルの姿を見た時に、後続馬を映し出すまでのカメラアングルが、これまでに見たことの無いような切り替わりだったので、これはかなり速いペースだと思いました」
3コーナーを迎えた時に、ここまでのハイペースの対応ができなかったのか、ジャスティンミラノは道中の反応に陰りが見られる。
「あれだけのペースで走ったことが無かったので、馬も戸惑っていたのだと思います。ただ、戸崎さんが大きなアクションで気持ちを促してくれました」
そこから再始動したかのように、ジャスティンミラノは最後の直線へと向かっていく。その前には先に抜け出したジャンタルマンタル。後続との差を広げていったかに思えたが、ゴール前の急坂を登り切ると、一気にジャンタルマンタルを捉えにかかる。
「ジャンタルマンタルが抜け出してきた時には負けたと思いました。一瞬、勝つためには何が足りなかったのだろうかと思っていたのですが、そこから一気に伸びてきた脚を見た時には、とんでもない馬だと思いました」
スローで流れたこともあり、瞬発力勝負となった共同通信杯(G3)では、上がり3ハロンで32秒6の末脚を見せたジャスティンミラノであるが、この皐月賞ではハイペースを先行していきながら、34秒7の上がりを使っていく。ただ、ジャンタルマンタルとジャスティンミラノを射程圏に置いていたのは、パドックで気になっていたコスモキュランダだった。
ジャンタルマンタルをゴール前で交わしたジャスティンミラノ。そのすぐ横にはコスモキュランダが迫っていたが、クビ差だけ凌ぎ切っていたのはジャスティンミラノだった。
ゴール後に牧場関係者と共に口取りへと向かった伊藤厩舎長となるが、検量室の前では「チームジャスティンミラノ」の関係者が一応に涙を流していた。その姿を見た伊藤厩舎長も、色々な感情が抑えきれなくなっていた。
「改めて、人馬無事に走り切ってくれたからこそ、この勝利があるのだと思いました。康太騎手のためにも、今後も勝ち続けなければいけない馬だと思いますし、日本ダービー(G1)を無事に迎えて、そしてゴールまで走り切ってほしいと願っています」
スローペースでもハイペースでも折り合いの不安はなく、東京コースでも勝利をあげている。伊藤厩舎長は育成時から、「距離が伸びていい馬だと思っていました」と話していたように、初めての2,400mの距離も不安は無い。5月26日に行われる第91回日本ダービー(G1)。伊藤厩舎長、そして藤岡康太騎手を含めた「チームジャスティンミラノ」は、ここで最高のパフォーマンスを見せてくれることだろう。