2024年03月02日 チューリップ賞 G2
優勝馬:スウィープフィート
プロフィール
- 生年月日
- 2021年04月05日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:6戦2勝
- 総収得賞金
- 93,864,000円
- 馬主
- (株) YGGホースクラブ
- 生産者
- 聖心台牧場 (静内)
- 調教師
- 庄野 靖志
- 騎手
- 武 豊
桜花賞(G1)を占う重要な1戦「チューリップ賞(G2)」は武豊騎手騎乗の5番人気スウィープフィートが後方待機策から後方3番手を追走。最後の直線で外に持ち出されると豪快に伸びて1分33秒1(やや重)で優勝。2度目の重賞挑戦で重賞ウィナーの仲間入りを果たした。騎乗した武豊騎手は今年の京都牝馬S(G3)に続く重賞勝利で通算359勝目。管理する庄野靖志調教師は2020年北九州記念(G3)以来の勝利で通算15勝目。昨年、初年度産駒がブレイクして話題の父スワーヴリチャード産駒にとっては3つ目の重賞タイトルとなった。
スウィープフィートの生まれ故郷は、新ひだか町の聖心台牧場。1988年に静内町(現在の新ひだか町)の大典牧場で専務を務めていた渡辺和典氏が、実親から分離独立する形でスタートした牧場だ。JRAの重賞勝利は、生産馬の重賞初勝利を記録した1999年カブトヤマ記念(G3)(テイエムトッキュー)以来となる。
今回は、創業者である渡辺和典さんにお話を聞いた。「レースは実家(大典牧場)のテレビで見ていました。重賞競走ともなれば、私たちのような家族労働の牧場にとってはなかなか勝てるものではありません。道中は、ずいぶんと気分よさそうに走っているなぁと思っていましたが、最後は想像以上に弾けましたね。びっくりしましたし、本当に嬉しかったです」と笑顔を広げた。
実際、スウィープフィートの牧場同期生は4頭。そのすべてが牝馬だったが、その中の1頭が大仕事をやってのけた。
スウィープフィートの母ビジュートウショウはノーザンファーム繁殖牝馬セールで買い求めた。「ビジュートウショウ自身は1勝馬でしたが、スイープトウショウの仔で父はダービー馬。牧場の基礎牝馬となる可能性を持った馬だと考え、現在の尚典代表と話し合いながら購入しました。そのときに受胎していたスワーヴリチャード産駒がスウィープフィートです。よい肌馬を手に入れることが出来てよかった」と経緯を話してくれた。
「生産牧場は、やはり良質な繁殖牝馬を求めるもの。父親(大典牧場の渡辺典六氏のこと)は1ドルが200円以上の時代に米国からトウショウボーイの半姉リトルマネーメーカーを導入し、その孫世代からテイエムトッキューが出てくれた。今回の勝利で、そんなことも思い出させてもらいましたよ」と懐かしんだ。
牧場時代のスウィープフィートは「母のビジュートウショウもまったく同じなのですが、ピリピリしたところがほとんどなく、物怖じいない馬。どちらかといえば、おとなしい馬でした」と振り返る。「預かってくれたコンサイナーさんのおかげで、サマーセールでオーナーと巡り合うことができました」と感謝の言葉を続けた。
「祖母のスイープトウショウもチューリップ賞(G3)を勝っているということは、レースの後に気が付きました。今回のような競馬ができるのなら、桜花賞(G1)はもちろん距離伸びても楽しめると思います」と渡辺さん。
「名血は、長く頑張っていれば必ず戻ってくれるもの。競走馬の生産もあきらめずに続けていけば、良いことがある。そんなことを馬から教えてもらったと思うし、あの馬に携わったすべての関係者のおかげと感謝したい」と言葉をつづけ「スウィープフィート自身もまだまだ奥があると思う。幸い、武騎手がそのまま手綱を取ってくれるというので、悔いのないような競馬を期待したいと思います」と遠く離れた北の空からエールを送っている。