重賞ウィナーレポート

2024年02月10日 クイーンC G3

2024年02月10日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クイーンズウォーク

プロフィール

生年月日
2021年03月14日 03歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
46,862,000円
キズナ
母 (母父)
ウェイヴェルアベニュー(CAN)  by  Harlington(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
中内田 充正
騎手
川田 将雅
  • 育成馬のクイーンC(G3)優勝はアドマイヤミヤビ以来となる
    育成馬のクイーンC(G3)優勝はアドマイヤミヤビ以来となる
  • 今年も期待の2歳馬たちがデビューに備えている
    今年も期待の2歳馬たちがデビューに備えている

 「名は体を表す」という言葉があるが、「クイーン」という馬名の通りに、今年のクイーンC(G3)を制したのが、ノーザンファーム生産馬のクイーンズウォークとなった。

 父キズナ、母ウェイヴェルアベニューで、半兄には朝日杯FS(G1)と阪神C(G2)を優勝して、今シーズンから社台SSでスタッド入りしたグレナディアガーズの名前もある良血馬。サンデーサラブレッドクラブから7,000万円で募集をされると、1歳の夏からはノーザンファーム早来の村上厩舎でデビューに向けての育成が行われていった。

 その血統背景だけでなく、調教も順調に進められたクイーンズウォークは、昨年の2歳馬取材でも期待の1頭として、村上隆博厩舎長から名前が挙がっている。

 「骨量と体高を備えていたように、馬体のサイズ感に恵まれていました。それでいながらまだまだがっしりとしてきそうな伸びしろも残していたので、将来性の高い馬だと感じていました」(村上厩舎長)と当時の印象を話す。育成時のクイーンズウォークは、しっかりと走れるフォームを先に作っておくという意図で調整を行ってきた。それは500kgを優に超えながらも、デビュー戦から3戦連続でメンバー中の上がり最速を記録した、末脚の確かさにも証明された感がある。

 「育成時はしっかりとしていた中に、軽さも備わった動きをしてくれていました。本州への移動時期は2歳の5月と早くなりましたが、その後、ノーザンファームしがらきと、中内田厩舎でじっくりと調整していました。牧場にいた頃よりも馬体重は50kgほど増えているかとは思いますが、ノーザンファームしがらきのスタッフも、馬体、動きともに更に良くなっていると話していただけに、デビューが楽しみになりました」(村上厩舎長)

 11月のメイクデビュー京都では、逃げた馬を捉え切れずに2着に敗れるも、12月の2歳未勝利戦では2着馬に2馬身差を付けての快勝。クイーンC(G3)でも重賞好走馬を退けて1番人気を集めていた。

 「デビュー戦はもたつくところもありましたが、2戦目は一度使った効果もあったのか、しっかりとした反応を見せてくれました。あの勝ち方を見た時に、上のクラスでも楽しみな馬だと思うようになりました」(村上厩舎長)

 これが重賞初挑戦となったクイーンC(G3)ではあったが、この後にクラシックを戦っていくには、勝たなければいけないレースとの思いが村上厩舎長にはあった。

 「ただ、これまでのレースより1ハロン距離は短くなったことで、前が忙しいレースになることが気がかりでした」(村上厩舎長)

 前半の1000m通過は58秒7と、よどみのないペースで流れていく。後方に待機する形となったクイーンズウォークであるが、3コーナー過ぎから徐々に先行馬たちとの差を詰めていき、最後の直線では馬場の真ん中に進路を向けていく。

 「いい脚で上がってきてくれたので、行けるのかなと思いましたが、周りの馬の脚色も鈍って無かったので、最後の1ハロンからはヒヤヒヤしながらレースを見ていました」(村上厩舎長)

 内からアルセナールが伸びてくるも、その追撃をクビ差凌ぎきっての勝利。東京の長い直線を味方に付けたとは言えども、長くいい脚を使える馬であることを改めて証明してみせた。

 「ここでキッチリと勝ってくれたのは大きいと思います。桜花賞(G1)もそうですが、同じ東京競馬場で行われるオークス(G1)に向けても楽しみが広がりました」(村上厩舎長)

 そして、このクイーンC(G3)は村上厩舎長の管理馬では初めて重賞を勝利した(2017年のアドマイヤミヤビ)レースともなる。

 「勝った時にはその時の思い出も蘇りました。クイーンC(G3)の勝ち馬がクラシックに迎えるのも嬉しいですし、クイーンズウォークにはいい状態で桜花賞(G1)に向かってもらいたいです」(村上厩舎長)

 桜花賞(G1)を制した先には、距離の不安が皆無なだけでなく、コース実績のあるオークス(G1)。そして、更なる成長力で秋華賞(G1)制覇も見せてきそうなクイーンズウォーク。史上8頭目となる三冠牝馬への道のりが、今、始まろうとしている。