重賞ウィナーレポート

2024年02月11日 共同通信杯 G3

2024年02月11日 東京競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ジャスティンミラノ

プロフィール

生年月日
2021年04月09日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
403,069,000円
キズナ
母 (母父)
マーゴットディド(IRE)  by  Exceed And Excel(AUS)
馬主
三木 正浩
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
友道 康夫
騎手
戸崎 圭太

 2歳11月のデビューから、連勝での共同通信杯(G3)優勝。まさに、牡馬クラシック戦線に現れた超新星と言えるジャスティンミラノ。育成を手掛けてきたノーザンファーム空港の伊藤隆行厩舎長は、「決して、何かがずば抜けていたというわけではないのですが、乗り味の良さを含めて、トータルでポテンシャルの高い馬といった印象がありました」と育成時を振り返る。デビューまでの期間には、運動をセーブしていた時期もあったが、そこで一息入れたことが馬体の成長だけでなく、体幹の強さも養われていく。

 「夏の終わりころに本州へ移動したのですが、厩舎の育成馬の中には既にデビューしていた馬もいた中で、この状態ならば決して引けを取らないとも思っていました」(伊藤厩舎長)

 ただ、ジャスティンミラノは競走馬としての総合力の高さを持ち合わせていた一方で、過去に携わってきた名馬たちが持ち合わせていた余りある才能が、その段階では感じられずにいた。それだけに牧場時代には経験させていない一つ上のスピードを、競馬で使えるかどうかにも疑問だった。

 「新馬戦もスピード能力の片鱗を見せてくれたらとの思いでレースを見ていました。それだけに、あれほどの上がりを使ってきた時には驚きました」(伊藤厩舎長)

 芝2000mの条件で行われた、11月のメイクデビュー東京に出走してきたジャスティンミラノは、好スタートから2番手を確保する。4コーナーを前に外から捲り上げてきた馬と並走状態となるも、折り合いを欠くことなく、4コーナーでは競り落とすかのようにして、逃げる馬を射程圏内に置く。

 残り1ハロンを前に先頭に躍り出ると、後方から追い込んできた馬の追撃を振り切っての勝利。長くいい脚を使った事実を証明するかのように、3ハロンの上がりは33秒4ながら、4ハロンの上がりは45秒9と、東京芝2000mに出走した後のG1馬を上回るタイムを記録した。

 充分過ぎるほどのレース内容だったにも関わらず、この共同通信杯(G3)に向けて、ジャスティンミラノは更に状態をあげていく。レースに向けての調教では、同じ友道厩舎の重賞2勝馬であるサトノグランツを、後方から追いかけていくと、最後は突き放していくという圧巻の走りを見せたのだ。

 その調教で見せた走りは本物だった。昨年の朝日杯FS(G1)の勝ち馬であるジャンダルマンタル、そして2着馬のエコロヴァルツも出走してきたように、ハイレベルなメンバーが揃った今年の共同通信杯(G3)。ジャスティンミラノは4番人気の評価となったが、残り1400mを過ぎたあたりで人気馬2頭を外から交わして2番手まで上がっていく。

 その後も鞍上とのコンタクトを図ったまま、直線へと向かっていくと、メイクデビューの再現と言わんばかりに、残り1ハロン手前で逃げ粘るパワーホールを交わして先頭へと躍り出る。先頭に立ってからも脚色に陰りは見られることなく、後方から追い込んできたジャンダルマンタルの追撃を振り切って優勝。上がり3ハロンの時計は32秒6となったが、その中でゴールに向けての1ハロンごとのラップは、10秒9-10秒8と10秒台を2度も掲示してみせた。

 「出入りの激しいレースとなった中で、あのポジションでおり合えたのは大きかったと思います。スローで上がり勝負のレースになったとは言えども、あの上がりタイムもさることながら、G1で好走してきた出走馬を相手にあの競馬ができるのは、ジャスティンミラノの強みだと思います」(伊藤厩舎長)

 次走は皐月賞(G1)を予定。中山コースは初めての経験となるが、むしろ先行力のあるジャスティンミラノなら不得手とすることはなさそうだ。それどころか、この勝利で東京コースを2勝となれば、日本ダービー(G1)制覇も十分射程圏内に入ってくる。

 「デビューして2戦目だけに、これから覚えていかなければいけないこともまだまだあります。ただ、ここで重賞を勝てたのは、クラシックに向けて1つのハードルを越えられたとも思っています。それだけにまずは無事に、クラシック本番を迎えてもらいたいです」(伊藤厩舎長)

 デビュー3戦目の皐月賞(G1)制覇となれば、昨年のソールオリエンスに続く、史上2頭目の最少キャリアともなる。その向こうには日本ダービー(G1)制覇も見えてきた感もある、ジャスティンミラノの走りから目が離せない。