重賞ウィナーレポート

2024年01月28日 根岸S G3

2024年01月28日 東京競馬場 曇 良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エンペラーワケア

プロフィール

生年月日
2020年05月02日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:7戦5勝
総収得賞金
93,716,000円
ロードカナロア
母 (母父)
カラズマッチポイント(USA)  by  Curlin(USA)
馬主
草間 庸文
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
杉山 晴紀
騎手
川田 将雅

 優勝馬にはフェブラリーS(G1)への優先出走権が与えられる第38回根岸S(G3)が1月28日、東京競馬場で行われ、道中は好位を追走していた川田将雅騎手騎乗の1番人気エンペラーワケアが残り200m標付近から先頭に立ち、2着馬に2馬身半差の快勝。キャリア7戦目、初の重賞挑戦で重賞ウィナーの仲間入りを果たしている。川田騎手の重賞勝利は24年愛知杯(G3)に続くもので通算133勝目。杉山晴紀調教師の重賞勝利も24年シルクロードS(G3)に次ぐもので通算19勝目。

 同馬の生まれ故郷は日高町の下河辺牧場。その歴史は1933年に創立された千葉県香取郡の牧場からスタートしている。その後、浦河町を経て、現在の日高町に牧場を開場させたのは1966年。95年からは育成牧場を併設させ、総合牧場として歩を進めている。2023年のブリーダーランキングはJRA、総合ともに3位と過去最高を記録している。

 この日、根岸S(G3)には生産馬を2頭出し。競馬場には育成部門で責任者を務める下河辺隆行さんが足を運んで声援を送った。

 「同期の生産馬2頭を重賞競走に送り出せたことは牧場としてはとても光栄な事ですが、パドックでの様子はまったく対照的でした。エンペラーワケアが非常に落ち着いて馬体ものびのびとしていたのに対して、人気を二分していたサンライズフレイムは馬番を守れずに2人引きで離れた後方をずっとカリカリして入れ込みながら歩いていました。でも、これは牧場の育成時代から同じでしたね」と、自分が手掛けていた当時のことを思い出しながら振り返ってくれた。

 「どちらもまだ底を見せていないという意味では同じでしたが、エンペラーワケアは、まさに平常心といった雰囲気でしたし、杉山調教師もレース前から自信ありげの様子でした。なので、私も落ち着いて馬を見守ることができました」と話してくれた。

 道中は手応え十分に好位を進んでいたエンペラーワケアと、同馬をマークするような位置でレースを運んだサンライズフレイムだったが、534kgという雄大な馬格を躍動させて4角を回ったエンペラーワケアに対して、サンライズフレイムはそこで置かれてしまった。

 「直線の坂下くらいでエンペラーワケアの勝利を確信しましたし、一度は離されかけたサンライズフレイムもゴール前では盛り返して3着。どちらも重賞初挑戦で頑張ってくれました。ダート短距離は層が厚いといわれてますので、その中でどちらも結果を出してくれたことは、嬉しかったです。とくに勝ったエンペラーワケアは2勝クラスからの3連勝。まだ底を見せていないので、先々が楽しみですし、サンライズフレイムもまだまだ頑張ってくれると思います」と白い歯を見せた。

 ロンドンブリッジやダイワエルシエーロ。近年ではダノンシャークやキセキなどの活躍で2000年からブリーダーズランキングの総合(JRA+NAR)、JRAランキングでベストテンから漏れたことがない下河辺牧場はさらに高みを目指して、今から4年ほど前から育成部門に大きなメスを入れた。屋内坂路を延長し、素材をウッドチップに変え、日々のメニューも、より高い負荷をかけるようにした。戸惑うスタッフもいたというし、下河辺さん自身も葛藤する日々が続いたが、そうした不安を吹き飛ばすように最初の世代からドライスタウト(全日本2歳優駿(Jpn1))ノットゥルノ(ジャパンダートダービー(Jpn1))が出て、2世代目からドルチェモア(最優秀2歳牡馬)ロンドンプラン(小倉2歳S(G3))が出てくれた。

 「馬も本当に頑張ってくれたと思いますが、何よりもスタッフが頑張ってくれた。みんなに感謝したいし、牧場にとっても大きな自信になりました」と充実した表情で話してくれた。