2023年12月24日 有馬記念 G1
優勝馬:ドウデュース
プロフィール
- 生年月日
- 2019年05月07日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦6勝
- 総収得賞金
- 1,250,497,000円
- 父
- ハーツクライ
- 母 (母父)
- ダストアンドダイヤモンズ(USA) by Vindication(USA)
- 馬主
- (株) キーファーズ
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 武 豊
クリスマスイブとなる12月24日に行われた、2023年の有馬記念(G1)。ちなみに過去のイブに行われた有馬記念(G1)で2度(2006年…ディープインパクト、2017年…キタサンブラック)勝利していたのが武豊騎手。そのデータ通りに2023年の有馬記念(G1)ではドウデュースに騎乗すると、見事にイブの有馬記念(G1)3勝目をあげた。
ファンを前にしたインタビューで武豊騎手は、「ドウデュースも私も帰ってきました」と話していたが、パートナーであるドウデュースもまた、これが2023年の京都記念(G2)以来、G1だと2022年の日本ダービー(G1)以来の勝利。復活を待ちわびていたファンに最高のクリスマスプレゼントを届けた。
その復活を誰よりも待ちわびていたのは、2023年の夏にノーザンファーム空港で調整を行ってきた、木村純一厩舎長とも言える。
「ドバイの遠征時に痛めた左前肢の治療もあったので、本格的に乗り出た時期は遅くなりました。ただ食欲が旺盛な馬であり、馬体調整には特に気を使いました」(木村厩舎長)
怪我から回復しただけでなく、十分な休養を取ったことで、すこぶる元気になったドウデュースは、余りある元気ぶりを人だけでなく馬に向けても出していくようになる。
「元気のバロメーターとでもいうのか、性別に関わらず馬っ気を出すようになっていきました。ただ、順調に復帰に向けて進められたのではなく、筋肉量の多い馬ということもあるのか、記録的な暑さとなった夏には夏負けしそうになるなど、苦労した思い出の方が多かったです」(木村厩舎長)
それでいながら、天皇賞(秋)(G1)での復帰は青写真として描かれていた。木村厩舎長としては急ピッチだったと話すが、それでもドウデュースは天皇賞(秋)(G1)で復帰を果たしていただけでなく、2番人気という高い評価も受けていた。
「送り出した時点では、このメンバーを相手にしても恥ずかしくない競馬ができるなと思っていましたが、レースの後には、まだまだ牧場でできたことはあったのではと思いました。続くジャパンC(G1)は一度レースを使ったことで、気持ち的にもガス抜きができたとの印象があっただけでなく、馬体も絞れていましたが、まだ能力を発揮できていないのではとも思いました」(木村厩舎長)
復帰からの叩き三戦目となった有馬記念(G1)。ハイレベルな秋の古馬三冠を戦ってきたにも関わらず、パドックを周回するドウデュースの姿は、TV観戦していた木村厩舎長の目にも、この秋では最高の状態に映っていた。
「ノーザンファームしがらきのスタッフが、一週前の追い切りを見に行っていて、物凄くいい状態だと言っていました。また、これで関東圏の競馬には3度目の輸送だったにも関わらず、プラス2kgで臨んできた時には、この馬は凄いなと思いました」(木村厩舎長)
万全な状態のドウデュースに乗るのは、怪我から復帰したばかりの武豊騎手。ダービー(G1)を制したコンビの復活は鬼に金棒とも言えた上に、内枠が有利とされる有馬記念(G1)で3枠5番からの出走。お膳立ては整った。
大歓声の中、有馬記念(G1)のゲートが切られる。後方からの競馬となった武騎手とドウデュースではあったが、2周目の3コーナーから一気にポジションを上げていく。
「後方からレースを進めていくのではと思っていましたが、仕掛けた時の反応が秋の2戦とは違っていたので、直線を向いた時にもう一伸びがあれば、前の馬を交わせるのではないかと思いました」(木村厩舎長)
最後の直線、前で逃げ粘るタイトルホルダーを射程圏内に置いたドウデュースであるが、インコースから進路を変えたスターズオンアースも、そのタイミングに合わせるかのように脚を伸ばしていく。
2頭は並ぶ間もなくタイトルホルダーを交わしたが、その勢いが更に勝っていたドウデュースが、スターズオンアースを競り落としてゴール板を駆け抜けた。
「感動しただけでなく、びっくりもしました。後でレース映像を見直してみると、右手前のまま走り切っていたのですが、レース後にケロッとしていたと話していたところを聞くと、体力や肉体面もとんでもない馬なのかもしれないと思いました」(木村厩舎長)
国民的レースとも言える有馬記念(G1)で、千両役者とも言える武騎手が勝利。レース後のインタビューを、「メリークリスマス!」で締めたあたりにも、改めて武騎手のスター性と、そして共にコンビを組んだドウデュースの復活もまた、実にドラマティックに思えてくる。
「出来すぎたドラマですよね。しかも、武騎手はこのレースだけに騎乗して勝つのも凄いなと思いました。この結果は武騎手だけでなく、友道先生や厩舎の皆さん、ノーザンファームしがらきのスタッフもそうですが、育成時とは違って、新しい騎乗スタッフとも協力しあった成果だと思います。育成時に手掛けてくれた騎乗スタッフも含めて、この喜びや感動を、更に多くの仲間たちと分かち合えたのが、自分としても嬉しかったです」
レース後、馬主である(株)キーファーズの松島正昭代表は、友道調教師に対して、「忘れ物を取りに行こう」と話したという。
「その忘れ物はドバイターフ(G1)なのかもしれませんし、凱旋門賞(G1)なのかもしれません。ただ、今のドウデュースならば、その忘れ物を両方取り戻せると思いますし、2024年の活躍が今から楽しみです」と話す木村厩舎長。ドウデュースのファンや関係者にとっては、まさにプレゼントをもらったかのような有馬記念(G1)となったが、今年はクリスマスに関係なく、いくつものプレゼントがもたらされることになりそうだ。