重賞ウィナーレポート

2023年12月02日 ステイヤーズS G2

2023年12月02日 中山競馬場 晴 良 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アイアンバローズ

プロフィール

生年月日
2017年02月02日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:27戦5勝
総収得賞金
215,125,000円
オルフェーヴル
母 (母父)
パレスルーマー(USA)  by  Royal Anthem(USA)
馬主
猪熊 広次
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
上村 洋行
騎手
石橋 脩

 デビュー27戦目、重賞に挑戦すること15回目のステイヤーズS(G2)で、初のタイトル奪取となったのがアイアンバローズである。

 本馬は、ベルモントS(G1)とメトロポリタンH(G1)を制したパレスマリスの半弟となる。そのパレスマリスは持ち込み馬のジャンタルマンタルが、今年の朝日杯FS(G1)の優勝馬となっただけでなく、来シーズンからはダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスでの繋養も決まっている。

 アイアンバローズの半弟となるジャスティンパレスも、今年の天皇賞(春)(G1)で初G1制覇を果たしている。まさに良血開花を証明するような重賞制覇となったが、そこには関係者たちの並々ならぬ努力もあった。

 「騎乗育成を手掛けたのは、同じノーザンファーム空港内の別の厩舎ですが、3歳以降の夏の期間はこちらで調整を行っています」と話すのはノーザンファーム空港の藤波明厩舎長。近年、レース間隔を取る馬は本州の育成牧場で調整を行う馬もいる中で、アイアンバローズは管理をする上村洋行調教師の意向もあって、気候のいい北海道で疲れを取るだけでなく、オルフェーヴル産駒らしい気性を環境のいい場所において、リラックスさせる狙いもあった。

 「先生からは『このぐらいの馬体重に戻してほしい』との依頼を受けています。3歳から毎年のように夏シーズンの管理を行ってきましたが、3歳より4歳、4歳より5歳と気性面での成長もあったのか、乗りやすい馬になったとの印象がありました」(藤波厩舎長)

 藤波厩舎長の中でも手ごたえを感じていたのが、3歳と4歳時に厩舎へ戻してからの活躍だった。その年、11月の猪名川特別で3着となってからは掲示板を外さないレース内容で、4歳5月の緑風Sを勝ってオープン入りを果たす。

 4歳の夏もノーザンファーム空港で過ごしたアイアンバローズは、その年のステイヤーズS(G2)で逃げに打って出ると、半馬身差の2着に粘り込む。5歳時の阪神大賞典(G2)でも果敢に先行して、3/4馬身差の2着となるなど、ステイヤーとしての才能が開花したように思われた。

 続く天皇賞(春)(G1)でも5着となるも、その後は凡走が続いていく。15着に敗れた宝塚記念(G1)の後、三度、ノーザンファーム空港へと戻ってきたアイアンバローズであったが、藤波厩舎長は乗りやすい馬となっただけでなく、前進気勢が失われてしまったのではとも感じるようになった。

 「ただ、乗ってみると時計を出してもケロッとしている心肺機能の高さだけでなく、身体も使い方も上手くて、省エネの走りができているあたりにも、ステイヤーとしての資質の高さが感じられました」(藤波厩舎長)

 その能力と気持ちにミスマッチが起こっていると感じた藤波厩舎長は、6歳夏の調整で、これまでとは違った管理を取り入れる。過去3年の管理では心身の疲れを取るために、厩舎でリラックスさせる期間を設けていたが、今年は疲れがそれほどでは無かったのを確認した上で、牧場に到着後、それほどの期間を置かずに調教を再開していった。

 「気持ちだけでなく、心肺機能も落としたくなかったとの考えもありました。秋初戦となる京都大賞典(G2)こそ結果は出なかったですが、過去の成績を見ても得意としているステイヤーズS(G2)ならば、一変はあると期待をしていました」(藤波厩舎長)

 その思いは勝利という最高の形で叶えられていく。1周目のゴール前から、一気に後方との差を開いていったアイアンバローズは、2周目の4コーナーで後続馬たちに詰め寄られるも、そこから二枚腰を見せて、直線では再びその差を開いていく。結果は2着のテーオーロイヤルに2馬身半差を付けての快勝。

 ステイヤーとしての身体能力を最大限に生かすかのような、積極的なレース運び。それでいながら、鞍上の指示に応えるかのような、直線での見事な伸び脚と、心身の充実ぶりを証明したこの勝ちっぷりは、まさに「シン・アイアンバローズ」と言っていいだろう。

 「強いレースでした。アイアンバローズの良さが最大限に発揮されたと思います。次走は有馬記念(G1)となりますが、今回のようなレースをして盛り上げてもらいたいです」(藤波厩舎長)

 このレースには半弟のジャスティンパレスも出走を予定。ジャンタルマンタルの活躍も、この血統の優秀さを証明したと言えるだけに、有馬記念(G1)では兄弟でのワンツーフィニッシュもありえるのかもしれない。