2023年11月01日 エーデルワイス賞(中央交流) Jpn3
優勝馬:モズミギカタアガリ
プロフィール
- 生年月日
- 2021年03月31日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:7戦2勝
- 総収得賞金
- 49,291,000円
- 馬主
- (株) キャピタル・システム
- 生産者
- 多田 善弘 (浦河)
- 調教師
- 米川 昇
- 騎手
- 黒澤 愛斗
『グランダム・ジャパン2023』2歳シーズンの第4戦は、門別競馬場1200mが舞台の2歳牝馬ダートグレード「エーデルワイス賞(Jpn3)」。JRAからも4頭の参戦があったが、優勝したのは10番人気の地元馬モズミギカタアガリ。4コーナーをまわって直線に入ったところではまだ遥か後方にいたが、そこから大外一気のごぼう抜きを披露して重賞初勝利をダートグレードの大舞台で飾った。
モズミギカタアガリの生産者は、浦河町杵臼の多田善弘さん。現在は奥様の真知子さんと2人で、10頭の繁殖牝馬とその仔たちを管理している。「当日は夫婦揃って門別競馬場へ応援に行き、ゴール前でレースを見ていたのですが、直線で外から伸びてきた時には思わず大声で叫びましたね。祖父がこの地で牧場を始めて私で3代目になるのですが、生産馬が重賞に勝つのは初めてのことでしたから」と、額縁に飾られたエーデルワイス賞(Jpn3)の口取り写真を眺めながら歓喜の瞬間を思い出す。「前走のブロッサムカップでも追い込んでアタマ差の2着に好走しましたし、当日もパドックでは落ち着いている雰囲気だったので、人気はなかったけど密かに期待していたんです」と満面の笑みで話してくれた。
モズミギカタアガリの母モズソフィはオーナーからの預託馬で、繁殖4年目に多田さんの牧場に移ってきてから4頭の仔を出産。昨年の繁殖セールで購買され、現在は青森の牧場で繁殖生活を送っているそうだ。「母のモズソフィは仔出しが良くて種付けやお産は何の問題もなかったのですが、とにかく注射が嫌いで、嫌なことがあるとすぐカッとなるような性格の馬でした」と母馬との思い出を語る。モズミギカタアガリの血統表を見ると4代母に1981年の桜花賞馬ブロケードの名前があり、さらに遡ると1907年に小岩井農場が英国から輸入した基礎輸入牝馬の1頭であるアストニシメントにたどり着く由緒ある牝系だ。
牧場にいた頃のモズミギカタアガリの印象については、「骨格のしっかりとした馬でしたが、性格的に神経質で繊細な面がありました」と振り返る。1歳9月まで牧場で健やかに育ち、その後、門別競馬場の米川昇厩舎へ移動。育成期間を経て2歳5月にデビューし、その初戦で5馬身差の圧勝をおさめる。夏にはJRA札幌競馬場の芝オープン・クローバー賞にも挑戦。「初めての遠征で神経質な面が出たのか、マイナス14kgと大きく体重を減らしてしまいました。パドックでもあまり元気がないように感じたのですが、それでも逃げて勝ち馬から1秒差の6着。芝でもやれるんじゃないかと思いましたね」と、初めてモズミギカタアガリのレースを現地観戦した日のことを話してくれた。
モズミギカタアガリの次走は、大晦日に大井競馬場で行われる東京2歳優駿牝馬となりそうだ。「輸送が少し心配ですが、距離はマイルぐらいあった方が良いような気もしますし、大井の広いコースと長い直線も脚質的に合いそうなので楽しみですね。応援に行きたい気持ちは山々なのですが、夫婦2人だけでやっているので、なかなか牧場を空けるわけにもいかず…。息子がノーザンファームの天栄で働いているので、代わりに現地へ応援に行ってもらおうかと思っています」と話す多田さんご夫婦。「これからも無事に競走生活を送り、また重賞を勝ってくれると嬉しいですね。そのためにも、気性面で成長してほしいと願っています」とエールを送る。世代唯一の2歳牝馬ダートグレードホルダーとして、今後も右肩上がりの競走生活を送っていってほしい。