2023年11月03日 JBCスプリント(中央交流) Jpn1
優勝馬:イグナイター
プロフィール
- 生年月日
- 2018年04月13日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:25戦12勝
- 総収得賞金
- 328,640,000円
- 母 (母父)
- ビアンコ by ウォーニング(GB)
- 馬主
- 野田 善己
- 生産者
- 春木ファーム (門別)
- 調教師
- 新子 雅司
- 騎手
- 笹川 翼
11月3日に大井競馬場1200mコースを舞台に行われた農林水産大臣賞典第23回JBCスプリント(Jpn1)は15頭立てで行われ、やや離れた3番人気に推されていた兵庫県園田競馬所属の5歳牡馬イグナイター(父エスポワールシチー、母ビアンコ)が優勝した。地方所属馬による同レース制覇は07年フジノウェーブ、19年ブルドッグボス、20年サブノジュニアに続く4頭目で、南関東所属馬以外では初の快挙。イグナイター自身にとっては4つめのダートグレード制覇が、初のJpn1制覇となった。デビュー11年目の笹川翼騎手、園田競馬所属の新子雅司調教師のいずれもJBCシリーズは嬉しい初勝利となった。
同馬の生まれ故郷は日高町清畠の春木ファーム。日高山脈南西部を源流とする良質な水が流れる慶能舞川からほど近い場所に位置する牧場で創業は1965年。現在代表を務める春木順二氏の祖父、三雄さんによってアングロアラブ種の繁殖牝馬数頭から牧場の歴史がスタートしている。その後少しずつサラブレッドへと切り替えて、先代の昭雄さんの時代には東海菊花賞に勝ったヒデノデュレンなどを送り出しているが、ダートグレード競走は初。
レース当日、大井競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会うことができた春木順二代表は「こんな大きなレースを勝てるなんて夢のようです。繁殖牝馬9頭の典型的な家族経営の牧場。それでもJpn1とか勝てるのだなあと感慨もひとしおです」と開口一番、声を弾ませた。
家族労働ゆえに、なかなか牧場を離れることができず「JRAの競馬場も含めて、競馬場は年に一回行くかどうか」という春木さん。イグナイターの姿を見るのも昨年の盛岡競馬場でのJBC以来だったという。それでも「パドックではずいぶん逞しくなったなあと思いました。離された3番人気(単勝1,340円)でしたけど、ひょっとすると!という気配をしていました」と予感めいたものはあったという。
結果は、単勝1.2倍と断然人気を集めていたリメイク、そして7.0倍のリュウノユキナといった1、2番人気を従えての先頭ゴールイン。「スタートも良くトップ集団にいたので直線に入った時には応援する声も大きくなっていきました。ゴール前200mで加速をしたときはまさにイグナイター(点火薬の意)の脚でした。1着で駆け抜けたときは、もちろん嬉しかったのですが、信じられない気持ちでした」と声を弾ませた。
牧場時代のことを訪ねると「手がかからない、本当におとなしく利口な馬でした。オン・オフがはっきりつけられる馬で精神力も強かったですね」と表現してくれた。北海道市場サマーセールで現在の馬主によって落札されている。
母ビアンコは「もともとは馬主さんからお預かりしていた繁殖牝馬で、仔出しの良い馬でしたが、16歳のときに産んだ子を最後に譲っていただきました。イグナイターは18歳のときに生まれた子です。エスポワールシチーを配合したのは丈夫な馬をつくりたいと思ったからです。当時、供用4年目で産駒デビュー前。予算的なこともありました」と、少し照れながら配合の理由を話し「もともとJRAからデビューして東京競馬ダート1600mの新馬戦に勝っているくらいですから能力はあったのでしょうが、今のこの馬があるのはイグナイターをここまで育ててくれた方々のおかげ。この勝利で牧場としても夢が広がりました」と笑顔を広げている。