2023年11月05日 みやこS G3
優勝馬:セラフィックコール
プロフィール
- 生年月日
- 2020年02月01日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:5戦5勝
- 総収得賞金
- 139,188,000円
- 母 (母父)
- シャンドランジュ by マンハッタンカフェ
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 寺島 良
- 騎手
- M.デムーロ
3歳2月のデビューから、無傷の5連勝でみやこS(G3)を優勝。まさにダート界に表れた新星となったセラフィックコールであるが、イヤリングからの移動時から、現在のダートでの活躍を想像させるような好馬体をしていた。
「馬体は筋肉隆々ながらもそれほど体高は無く、ヘニーヒューズ産駒らしい前向きな気性も相成って、ダートの短距離を中心とした活躍を見せてくれるのだろうと思っていました」とはノーザンファーム空港の木村純一厩舎長。『噛んだり、立ち上がったりと、気性面で手を焼いた時期もありました』と苦笑いも浮かべるが、こうしたトラブルが些細に思えたほどに、牧場時代のセラフィックコールは、脚元のトラブルに悩まされた時期も続いた。
「2歳の4月には左前の骨軟骨腫除去手術を行っていますが、手術の前から十分に乗り込めなかった時期もあっただけに、同世代の馬と比較すると、体力面では物足りなさを感じていました。それだけに当時はここまでの活躍をするとは想像できなかったですね」(木村厩舎長)
それでも目立ったトラブルもなく、その年の11月上旬にはノーザンファームしがらきへと移動。12月には管理先となる寺島厩舎に入厩し、ゲート試験にも合格するも、その後はノーザンファームしがらきへ放牧がされて、最入厩を果たしたのは3歳の1月となった。
ただ、3歳の2月に迎えた新馬戦で、セラフィックコールはいきなり能力の片鱗を見せていく。そのレースではスタートのタイミングこそ合わなかったものの、果敢に先行していくと、最後は2着馬に8馬身差を付けての勝利。続く3歳1勝クラスでも後方からのレースとなったが、道中で捲り上げていくと、直線では前にいた馬をせり落として優勝。2勝クラスの八王子特別こそハナ差での勝ちとなったが、3勝クラスのJRAアニバーサリーSでは、また豪快な捲りを見せて、2着馬に3馬身半差を付けての快勝。クラスの壁など全く感じさせないようなレースを続けていく。
「初戦からあれだけの競馬を見せてくれたのは嬉しかったのですが、育成をしてきた自分たちからすると、能力で勝っているだけで、まだスタートが普通に出て欲しいですし、道中もスムーズな競馬をして欲しいと思っていました。新馬戦の後にもムルザバエフ騎手が6割しか力を出していないというコメントを目にして、6割の力しか出し切れないようなコミュニケーションの馬を送り出したのかと、反省しきりでした」(木村厩舎長)
だが、卓越した能力を持っていたセラフィックコールを、木村厩舎長や牧場のスタッフが大事に育てていったことが、現在の活躍に繋がっているのは間違いない。唯一の3歳馬かつ、過去のレースよりもメンバーが強化されたみやこS(G3)では、スタートのタイミングが合わずに、後方からのレースを余儀なくされていく。
「レース前は掲示板があればぐらいの気持ちでしたが、スタートの後にデムーロ騎手が、一生懸命に馬を追っている姿を見た時には、掲示板も無いかなあと思いました」(木村厩舎長)
しかも、1000m通過は61秒2と言う重賞としては非常にゆったりとしたペース。後方から中団まで押し上げていったセラフィックコールではあったが、最後の直線で大外に進路を向けると、そこから36秒1の末脚を繰り出して他馬をごぼう抜きにしていく。結果は2着のメイクアリープに3馬身差を付けての快勝。クラスだけでなく、重賞の壁も全く感じさせないレースを見せた。
「勝った時には本当に驚きました。脚質的にデムーロ騎手とも手が合っているのでしょうし、管理をしていただいている寺島先生や厩舎の皆さん、そして、ノーザンファームしがらきのスタッフも、気性面も含めて苦労をかけているのではないかとも思うので、この場を借りてお礼を言いたいです」(木村厩舎長)
次走はチャンピオンズC(G1)を予定。前身のジャパンカップダート(G1)時代を含めて、デビューからの6連勝、そして3歳での戴冠となれば、2019年の優勝馬であるクリソベリル以来4年ぶり、2頭目の快挙ともなる。
「前走のレース内容を見ていても、まだまだ心身ともに成長できる馬ですし、完成するのはまだ先だと思いますが、チャンピオンズC(G1)でどんなレースを見せてくれるか楽しみになってきます。その結果として、連勝が続いていたら嬉しいです」と木村厩舎長。チャンピオンズC(G1)の行われるダート1800mはここまで4戦4勝。中京コースでのレース経験こそ無いが、同じ左周りの八王子特別も勝利しており、データ面からは無敗でのチャンピオンズC(G1)制覇が現実味を帯びてきている。