2023年10月22日 菊花賞 G1
優勝馬:ドゥレッツァ
プロフィール
- 生年月日
- 2020年04月24日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦5勝
- 総収得賞金
- 306,539,000円
- 父
- ドゥラメンテ
- 母 (母父)
- モアザンセイクリッド(AUS) by More Than Ready(USA)
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 尾関 知人
- 騎手
- C.ルメール
遅れてきた実力馬とも言えるドゥレッツァが、牡馬クラシック三冠で最も強い馬が勝つと言われる菊花賞(G1)を、2歳未勝利戦からの5連勝で優勝した。
騎乗育成を手掛けてきたのは、ノーザンファーム空港の足立稔厩舎長。初のG1制覇となったドゥレッツァと同様に、足立厩舎長にとっても、これが厩舎長となってから初めて手掛けたG1馬となった。
「これまではG1の度に『おめでとう!』と声をかけていく立場だっただけに、牧場のみんなから多くの祝福の言葉をかけてもらった時には、普段から切磋琢磨しあっている関係ながらも、改めて仲間っていいなと改めて思いました」
足立厩舎長の悲願を叶えたドゥレッツアは、2021年の秋に、ノーザンファームイヤリングから、ノーザンファーム空港へとやってきた。
「線が細めで華奢な部分も見受けられましたが、完成の暁には素晴らしい馬体になると思っていました。4月24日産まれと言うことで、同世代の育成馬たちよりゆっくり目に進めていった中で、騎乗馴致やブレーキングで跨った時には、背中の良さに驚かされました」(足立厩舎長)
その頃、足立厩舎長は厩舎のスタッフたちとの会話の中で、「これは菊花賞馬になるな」と冗談交じりで話していたと教えてくれる。
6月には管理をする尾関厩舎へと移動し、そこでゲート試験にも合格。ノーザンファーム天栄で再調整が行われると、8月下旬には尾関厩舎で調教を重ねていき、9月19日にはメイクデビュー中山で初戦を迎える。結果は3着だったが、11月に東京で行われた2歳未勝利戦を勝利すると、そこから連勝街道が始まっていく。
デビュー3戦目となる山吹賞に続き、古馬とは初めての対戦となるホンコンJCTも勝利。3勝クラスの日本海Sも勝ち上がっていく姿を見た時に、足立厩舎長はデビュー前にスタッフと話していた、『菊花賞(G1)』の言葉が現実に近づいてきたことを思い出す。
「クラブの関係者の方が厩舎に来られた時に、冗談交じりで『菊花賞(G1)に行きましょうよ!』と言ってみたこともあります。それだけに、菊花賞(G1)出走が決まった時には、いいところがあるのではとの期待も膨らんできました」(足立厩舎長)
今年の菊花賞(G1)にはダービー馬のタスティエーラと、皐月賞馬のソールオリエンスが揃って出走。その年の皐月賞馬とダービー馬が、菊花賞(G1)で対戦するのは、2000年以来、23年ぶりとなったが、その他にも春の牡馬クラシック戦線を沸かした馬たちも出走してくるなど、ハイレベルな一戦となった。
その中で4番人気の支持を集めたドゥレッツァは、大外枠の不利も跳ねのけるような積極的なレースで果敢に先頭を奪うと、1週目のゴール板を先頭で通過。その後はポジションを上げてきたリビアングラスとパクスオトマニカの後ろに控えるも、最後の直線では再び先頭へと躍り出ると、みるみるうちに後続との差を広げていく。
「枠を見た時には後ろからレースをするのかと思っていたので、ゲートが開いてからはまさかとの思いでした。あのレースはルメール騎手しかできないでしょうし、直線で先頭に躍り出た時にはテレビの画面に向かって叫んでいました」(足立厩舎長)
その声が京都競馬場まで届いたかのように、ドゥレッツァはダービー馬タスティエーラと、皐月賞馬ソールオリエンスの追撃を振り切って優勝。2着のタスティエーラにつけた着差は3馬身半差と、この世代でトップクラスの実力を持ち合わせている事実を、この菊花賞(G1)で証明してみせた。
「勝った瞬間はやっとG1勝てたというのか、ホッとした思いもありました。自分たちがここでできるのは、無事に競馬場に送り出すという仕事であり、ドゥレッツァを菊花賞(G1)まで導いてくれたのは、尾関先生や厩舎の皆さん、ノーザンファーム天栄のスタッフだけでなく、最高の騎乗をしてくれたルメール騎手のおかげです。また、会員の皆さんや、応援していただいたファンの方にも感謝したいです」(足立厩舎長)
ドゥレッツァは年内は休養に充てており、現在はノーザンファーム天栄で調整中。今後は来年以降のレースに備えていく。
「勝ったことも嬉しいですが、菊花賞(G1)のレースぶりにも表れたように、競馬でも折り合って、自由自在に動ける馬を育てられたのも嬉しかったです。まだまだ強くなると思えるだけに、また、G1で活躍する姿を見せてもらいたいです」と足立厩舎長。来年は2020年世代のトップホースとしてだけでなく、日本競馬のトップホースとなる活躍を期待したくなる。