重賞ウィナーレポート

2023年08月13日 関屋記念 G3

2023年08月13日 新潟競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アヴェラーレ

プロフィール

生年月日
2018年03月29日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:14戦5勝
総収得賞金
130,356,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
アルビアーノ(USA)  by  Harlan's Holiday(USA)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
戸崎 圭太

 現役時はデビューからの3連勝でフラワーC(G3)を優勝。その年の秋にもスワンS(G2)で重賞2勝目をあげたアルビアーノは、500kgを優に超える雄大な馬格で逃げて良し、差しても良しとオールマイティなレースを見せていた。

 繁殖入りしてからこれまでに、5頭の産駒を誕生させているが、その初仔となるアヴェラーレがデビューから14戦目となる、5歳の関屋記念(G3)で重賞初制覇。繁殖牝馬となった母に初めての重賞タイトルを授けることとなった。

 ただ、514kgの馬体でデビューした母のイメージとは違って、アヴェラーレのデビュー時の馬体重は424kgであり、そして、母を凌ぐような切れのある末脚を武器としていた。

 「母も厩舎長時代に育成を手掛けていた馬となります。その母を知っていただけに、アヴェラーレを初めて見た時には骨格からして小さい上に、馬体も薄くて、ちょっと心配になるほどでした」とはノーザンファーム空港の飯野義勝育成主任。この馬体の小ささは初仔ならではとも言えたが、ただ、アヴェラーレは母のアルビアーノを彷彿とさせるかのような、前向きな気性を有していた。

 「調教も馬体の成長を待ちながら、じっくりと進めていきました。ただ、目立ったトラブルも無く、順調さを欠いたことはありませんでした。坂路調教では前半から力む面も見受けられましたが、そこで我慢させるように心がけていきました。それがこの馬の持ち味である、爆発力のある末脚となっていったのかもしれません」(飯野調教主任)

 2歳10月のメイクデビュー東京、続く春菜賞とメンバー中最速の末脚で勝利。母と同じく3連勝での重賞制覇が期待されたニュージーランドT(G2)では、直線で伸びを欠き15着に敗れるも、直線の長い東京、中京、新潟でレースを使われながら、確実にクラスを上げていく。

 「ニュージーランドT(G2)とフリーウェイS以外は、掲示板を確保していました。成長と共に馬体も良化していったことで、更に末脚も安定感を増してきた印象もありました。母とは違った成長曲線だったかもしれませんが、その姿にどこか好感を持てていました」(飯野調教主任)

 2度目の重賞挑戦となる京王杯スプリングC(G2)では、直線で前が壁となる不利がありながらも、勝ち馬よりも速い末脚を使って4着に入着。そして、3度目の正直とばかりに挑んだ関屋記念(G3)において、ついに初重賞制覇へと突き抜けた。

 「この馬に向くような展開になればとは思っていました。レースの途中から勝ちパターンになったのではと思っていましたが、戸崎騎手も最高の騎乗を見せてくれたと思います」(飯野調教主任)

 5歳にしての初重賞制覇となったが、クラブの規定で来年春での引退が決まっている。

 「管理をしていただいている木村先生に、初めての重賞タイトルを授けたのがアルビアーノとなります。僕らだけでなく先生や厩舎スタッフの皆さんなど、母からこの血統を知る人間にとっては、感慨深い勝利ともなりました。いずれは繁殖牝馬として牧場へ戻ってくるのでしょうが、まだまだ重賞タイトルを重ねてもらいたいです」と飯野調教主任。その切れのある末脚が発揮されたのならば、更なる重賞タイトルどころか、母が果たせなかったG1制覇も娘が叶えてくれるのかもしれない。