重賞ウィナーレポート

2023年09月24日 神戸新聞杯 G2

2023年09月24日 阪神競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サトノグランツ

プロフィール

生年月日
2020年04月03日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:7戦4勝
総収得賞金
157,507,000円
サトノダイヤモンド
母 (母父)
チェリーコレクト(IRE)  by  Oratorio(IRE)
馬主
里見 治
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
友道 康夫
騎手
川田 将雅

 神戸新聞杯(G2)では、父サトノダイヤモンドとの親子制覇を果たしたサトノグランツ。日本ダービー(G1)の後は育成先であるノーザンファーム早来の木村厩舎で鋭気を養ってきた。

 「ダービー(G1)の前から夏はこちらで管理を行うと伝えられていました。ただ、ダービー(G1)を使った後も栗東に戻ることなく、そのまま北海道にやってきたのにはビックリしました」とはノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長。3歳馬の頂点を決める日本ダービー(G1)だけに、ローテーションもタイトかつ、ハイレベルなレースが行われるために、レース後には疲労している馬も多くなる。ただ、サトノグランツに関しては、ほとんどダメージが残らずに牧場へと戻ってきた。

 「中2週でのダービー(G1)出走となっただけでなく、速い上がり(33秒1)も使っていただけに、ガクッと来ているのではとの不安もありました。ただ、見た目には疲れも見られず、歩様をチェックしていても軽快さがあったので、早い時期から立ち上げられると思えました」(木村厩舎長)

 大事を取って到着してから2週間程はリフレッシュに務めたものの、6月中旬から本格的な乗り出しを再開。当初から秋初戦は神戸新聞杯(G2)を目標としていたが、そこまでの逆算に向けて支障となるようなトラブルは現れなかった。

 「これまでは一か月から、一か月半前の入厩を見越して調整を行ってきましたが、今年は全国的に暑かったのでそれよりも早めの予定を組みました。また、友道厩舎の調教過程も分かっていましたし、目標が菊花賞(G1)だったので、目一杯にならないように心がけながら調整を続けていきました」(木村厩舎長)

 久しぶりにサトノグランツの背中に跨った木村厩舎長であるが、育成時から感じていた緩さはまだ残っていたものの、それでも成長の跡を感じさせるかのように動きはしっかりとしていた。

 「レースを使ってきたにも関わらず、テンションもそれほど上がってはいませんでした。ただ、時より気持ちのスイッチが入る瞬間があったので、その辺には注意してきましたが、引っかかるような印象は全くなかったです」(木村厩舎長)

 そして木村厩舎長はゆっくりとした調教でも、身体全体を目いっぱい使って走るように工夫を凝らした。

 「サトノグランツの長所は折り合いの良さだけでなく、跳びの大きな走りにも表れています。管理をしてもらっている友道厩舎の助手の方は、ノーザンファームで働いていた頃からの付き合いともなるのですが、身体を丸め込んで、窮屈な走りにはしたくないとお互いに話しあっていました」(木村厩舎長)

 充実した夏を過ごせたのかが、結果として現れる神戸新聞杯(G2)。今年の日本ダービー(G1)3着馬が出走してくるなど、ハイレベルなメンバー構成となった。一番人気に支持されたハーツコンチェルトが先手を奪う中、前半の1000mは61秒2で通過していく。

 その落ち着いた流れの中でも、サトノグランツは折り合いの不安を見せることなく、最後の直線へと向かっていく。最後の直線では内でファントムシーフが逃げ粘り、そこにサヴォーナが並びかけるも、僅かな馬群の隙間を縫って抜け出てきたのはサトノグランツ。着差はアタマ差ながらも、計時された2分23秒5の勝ち時計は阪神競馬場芝2400mのコースレコードともなった。

 「菊花賞(G1)で状態がピークになるようなイメージを持っていましたが、それでいながらあれだけの勝ち方を見せてくれただけでなく、レコードでの勝利には驚きました。時計を出さない調教でも、前向きな気持ちは途切れさせないようにも気を付けてきましたし、それが最後まで諦めないレース内容にも現れたのではないかと思います」(木村厩舎長)

 父のサトノダイヤモンドは、このレースを制した後に菊花賞(G1)を優勝。その父の後を追うように重賞を制したサトノグランツもまた、父仔での菊花賞(G1)制覇が十分に期待できる。

 「サトノダイヤモンド産駒自体も、育成時から距離が伸びていい馬が多いと感じていましたし、サトノグランツの活躍によって、成長力も示せたのではないかと思います。血統背景だけでなく、折り合いの良さからしても距離の不安は感じられません。そして神戸新聞杯(G2)では瞬発力も示せただけに、菊花賞(G1)が本当に楽しみになっています」と木村厩舎長。思い返せばサトノダイヤモンドも、春のクラシックシーズンは期待されていた通りの結果は残せてはいなかった。それだけにサトノグランツが父と同様に、この舞台で本格化を示したとしても何ら不思議ではない。