2023年08月08日 読売レディス杯(GDJ)
優勝馬:クーファアチャラ
プロフィール
- 生年月日
- 2017年05月18日 06歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:19戦5勝
- 総収得賞金
- 42,115,000円
- 馬主
- (同)NOKKN
- 生産者
- 川島牧場 (新冠)
- 調教師
- 田中 淳司
- 騎手
- 田中 学
『グランダム・ジャパン2023』古馬シーズンの第5戦「読売レディス杯(金沢)」は、ホッカイドウ競馬所属のクーファアチャラが先手を取って逃げ切り勝ち。昨年5月のヒダカソウカップ以来、2つ目のタイトルをつかみ取った。
クーファアチャラの生まれ故郷は、新冠町の川島牧場。同町内の朝日に本場、節婦に繁殖場があり、クーファアチャラは太平洋を望む節婦の繁殖場で幼少期を過ごした。現代表・川島伸二さんの母シズエさんが馬主として所有していた牝馬を養うため、1972年に開場した川島牧場。それから10年ほどは数頭の生産だったが、川島伸二さんが1980年頃から生産牧場の2代目として本腰を入れた。主な生産馬には、1991年の皐月賞(G1)で16番人気ながらトウカイテイオーの2着したシャコーグレイド、1998年の日経賞(G2)を12番人気で制したテンジンショウグン、2011年の小倉サマージャンプ(JG3)を10番人気で優勝したドングラシアスなど、人気薄で激走した馬が目立つ。先日のエニフSを最後方からごぼう抜きしたベルダーイメルも生産しており、川島牧場の出身馬には驚かされることが多い。
今年7月のノースクイーンカップを右前肢球節炎のために取り消したクーファアチャラ。すぐに立て直し、新たに矛先を向けた金沢で昨年の覇者グランパラディーゾ、佐賀ヴィーナスカップ勝ちのジュランビルなどを封じ込んだ。「行き切れたし、距離が短くなったのも良かったと思う。直線が長いとたれるところがあるので、小回りも良かったんじゃないですかね」と川島さん。先行争いを制してハナを切ると、236mの短い直線を味方に踏ん張った。
クーファアチャラの血統をたどると、3代母に米国産馬エシュクアルバーの名がある。川島さんがイギリスまで足を運び、閉場する牧場で30頭の中から選んで購入した繁殖牝馬だ。「いかにも繁殖に良さそうな腹袋をしていたんですよ。小さい馬だけど、容積があってね。この馬は未勝利だったけど、仔出しはいいんじゃないかと思って。いろんなタイプを買ってきたけど、こういうタイプの方が仔出しは安定しているかな」と購入に至った理由を明かす。
エシュクアルバーは来日してから10頭の産駒を産み、JRAで4勝したウインクリアビュー、クーファアチャラの祖母となるウインアンジェラスなどを送り出してきた。「この血統は勝ち上がり率が高いんですが、もうちょっと大物を出したいですね」と川島さんは笑顔を見せる。ウインアンジェラスの1番子であるクーファナインはクーファアチャラの全弟ゼンノナインを出産して数週間後、子宮内出血を発症。2頭の産駒を残してこの世を去った。「もったいなかったね。まだまだ走る仔を出したでしょうね、きっと」と残念そうな表情を浮かべる川島さん。今年で19歳になったウインアンジェラスはまだ現役で繁殖生活をつづけていて、来年には三冠馬コントレイルの仔を出産予定だ。ウインアンジェラスの4番仔クーファエランも川島牧場で繁殖入りし、順調に産駒を送り出している。20年ほど前にイギリスから海を越えてやってきたエシュクアルバーの牝系が、今も川島牧場で枝葉を広げつづけている。
JRAでのデビューが3歳4月と遅かったクーファアチャラは、4歳1月までに2勝を挙げたものの2勝クラスの壁をなかなか突破できず、5歳になってホッカイドウ競馬へ移籍。いきなり重賞のヒダカソウカップに勝利し、その後も安定した成績を残している。「この血統は奥手で、古馬になって復活してくれることが多いんですよ。アチャラは初仔のわりに体が大きく、脚元に負担がかかりやすいんじゃないかと思うけど、皆さんがケアしてくれているから息長く活躍できているんでしょうね」と話す川島さんは、クーファアチャラを支える周囲のサポートに感謝の念が尽きないようだ。